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好きなじかんわり

まーくんは、一年生。
「ねえねえ、にっくー(私のニックネーム)
      すきな じかんわりは、なーに?」

休み時間、仕事机で丸付けしている私に、まーくんが 話しかけてきた。
丸付けの手を止めて、考えを巡らす。まーくんは、じっと、私を見つめている。

「うーん、そうだなあ。 図工と、給食かなあー。
まーくんは?」

「ぼく? ぼくはねー、たいいくと、中休みと、ひるやすみ。 そして、にっくー」

ニコニコしながら教えてくれた。

わあ!

彼の言葉を聞いて、気持ちがひろがっていく感覚を、覚えた。
花が開いてくときの気持ち。
なんてわからないけれど、自分のなかの真ん中あたりが、揺さぶられて掴まれて、緩んでいく感じ。

「そうなの。 うれしいなーー。」

そうこたえると、日だまりのような笑顔を返してくれた。 

休み時間と並んで好きという、引出しに入れてもらっているんだなー。

ありきたりな言葉だけど、
あー、なんて幸せ。

小学生はじめの一歩の年を生きている彼らと共に生きている私は、そう思う。
心を悩ますことも多い仕事だけれど、時々、こんな瞬間に出会えることがある。そして、それは「大変な」ことを遥かに凌駕するエネルギーを、持っている。

晩秋の午後、教室に差し込む陽射しがあたたかい。
私の心もぬくもりに充ちている。


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