にくまんさん

書くことは、愉しい、同じくらい苦しい。人のことは解らない前提にたち、私とあなたの関係を…

にくまんさん

書くことは、愉しい、同じくらい苦しい。人のことは解らない前提にたち、私とあなたの関係を豊かに結びたい。今はそれが私の願いであり課題のようです。小学校教諭。不登校5年目になる思春期娘とのやり取りは、学ぶとは生きるとは等の問いを苦くも豊かにしてくれている。

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ことばと、私

今、思うと私は バメンカンモクジだったのかな?と思う。 外来種生物ではない。場面緘黙児。 小学一年生、二年生の2年間、学校では、ほぼ発声しない子どもだった。求められた必要最小限度の言葉を小声で発するだけ。 授業内容もよく理解していたと記憶している。わからないことや困っていることは、記憶のなかには ほぼ、ない。 心のなかは、さまざまに躍動していた。感じたり考えたり。 40人の子どもがひしめき合う教室で、ひっそりとそっとしておいてもらえた。そのありがたさを時々思う。(いや、

    • 夕やけ みあげて

      1日の終わり。  祝福のような せつなさのような 蒼と紅

      • 余地

        もういいかい まーだ だよ かくれんぼ。 その遊び自体も、考えてみればおもしろいな。 かくれている私をみつけてね。なんだから。 もういいかい? なんて尋ねてくれる。 まだ、だよ。 と応えることができる。 決めることを、相手に尋ねたり、まだだよ待っていて と応答を繰り返す。 そんな余地。 私もかくれてたい。 できれば、見つけないでほしい。

        • 無題

          心も身体も行き場がなくて、ひとり夜の駅前ベンチに腰を降ろしている。 声をあげて泣いた。 いつぶりだろうか、声を上げて泣いたのは。 街にベンチがあってよかった。 今は、ここに居られる。

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        ことばと、私

          追憶 夏の音 風 ひかり

          日々のあれこれは、浮かんで消える。 浮かんでは、消える。 このところのあまりの暑さに 風鈴をさげてみた。 庭で風に揺れる様をぼんやりと眺めていたら、 幼き頃、亡き祖母が買い求め、縁側に下げていた風鈴の音や色形が記憶のそこで動き出す。 幼い私は、縁側に寝そべり青空にくっきりとした入道雲を眺めながら、その音色をきいていた。 ただ、ただ、それだけ。 風が吹く。    風鈴を揺らす。 風鈴の下にぶら下がっている長細い紙は、なんという名前なのだろう。 それが、風に吹かれ宙を行った

          追憶 夏の音 風 ひかり

          きのうと、今日

          ねえねえ、きょうのぼくと、きのうのぼく。どこがちがうでしょう? 朝の会が始まる前の教室。さとくんが話しかけてきた。 えー? うーん、と。 どこかなぁ? 身長が2メートルのびた? などと、お笑い半分に返していると、 じゃじゃーん! なんと!ここの歯がぬけたの。 いーっ という顔をして、下の歯を見せてくれた。 ほうほう。 これはいい空間ができましたな! ここからプリンやゼリーをニュルニュル出せるね! 歯抜け記念日おめでとう! そういうと、さとくんはにやにやして納得!

          きのうと、今日

          突きうごかすもの

          梅雨の晴れ間の青空が、一面にひろがっている。 あの あおいそらのように           すみきった心になるように ひろがる空に向かって、1年生の女の子二人がうたっていた。 歌い終えると、二人は屋上に向かってはしりだした。空がより近くに見える場所だもんね。 青い空。   習ったばかりの歌。       一緒にうたってくれる友だち。 つい、歌っちゃう。歌いたくなる。 人を突き動かすものって、こういうものなのかも。 かなしみ 忘れまい  小さな僕たちだけど あの青いそ

          突きうごかすもの

          見守られて

          仕事帰りに 見上げる空。 シャボン玉のような移り変わる彩りの空。 ぽっちりと在る月のひかり。 見守れている、安堵感。 今日も、お疲れ様でした。

          わからないことからのはじまり〜思春期娘と更年期母〜

          察したつもりで関わるのは、危うい。  2週間に一度通っているカウンセリング。心理士からの言葉だ。 思春期ピーク.不登校の娘と、あるやり取りで関係が悪化し、言葉をほぼ交わさない日々が続いていた。ちょうど、というのもなんだが私自身喉の不調で発声がままならなかったので会話がない状態をなんとなく仕方ないかと思いながら過ごしていた。 しかし、だ。 同じ屋根の下、夫私娘の三人家族。夫とは会話するがあからさまに私との会話は避けているのが如実に態度で判る。その状態を続けていくのはさすが

          わからないことからのはじまり〜思春期娘と更年期母〜

          明日も

          あの人が呟いた、夕焼け空を見上げて。 明日も、いいお天気になるといいね。 笑顔も涙もあるけれど、見上げる空は1日の終わりを鮮やかに告げている。

          切なさは

          バスの中、娘と同じ年齢の子たちの会話が耳に入る。 テストの点数、部活の話、お弁当のおかず。 私は、娘のフリースクール面談の帰り。 同じでなくていいんだ。 同じでなくていいんだ。 なのに、切なくて鼻の奥がツンとする。 マスクを上げて、涙をかくす。 何が切ないのだろう。 何が切ないのだろう。 生きてくれたら、元気でいれくれたら、 それていい。

          嵐と共に

          中2病と言われる嵐  子にも親に吹き荒れる    生きてくれればいいというこたえに辿り着く         

          見上げれば

          見上げれば 緑。    たくさんのみどりが、語りかけてける5月。

          春に放りだされ

          春は、苦手だった。 そんなことを思い出した、雨降りの春の日。 今日みたいな雨の日。 つめたい雨。 昨日まで属していたものから、一度解かれる年度末という、終わり。そして、「新しく」始まる年度始め。 春は、終わりと始まりの間に放り出される時間だ。 私は、そんなに簡単に終わりにも出来ないし、そんなに簡単に始まりを準備出来ない。 私は春に放り出された。 間に心許ない気持ちを抱え震えながら。 家族のいさかいの声を、空気を、感じをまといながら、寄る辺ない時空間を生きていたあの

          春に放りだされ

          祝🌸蕾

          さくらの蕾がほんのり色づいている。 見上げる木々の葉を揺らす風がゆるんでいく。     蕾のなかは、なにがあるのだろう。 蕾は、にぎりしめている拳に似ている。 掌をゆっくりひろげていくように、蕾がひらく。 掌のなかには、まだ見ぬ未来。 掌のなかには、抱いていた希望。 蕾のさくらを見つめながら、君のことを想う。 卒業だよ、おめでとう。

          あなたと私の影

          空を見上げるのが好きだ。 風に吹かれ揺れる木々の様子や、葉っぱたちの奏でる音に足をとめる。 葉っぱたちは、重なり合いその緑を濃くする。 彼らを照らす光や、揺らす風、そして自ら存在することによっておとされる影。それらすべてがあいまって、ひとつの木としてたち現れる様にしばし心うばわれる。 二つの影を重ねたら、もっと影は濃くなるのだろうか? 映画PERFECTDAYでは、登場人物が互いの影を重ねそのことを確かめようとする場面があり、とても印象的だった。 今を生きている私とあな

          あなたと私の影