20年前は約2%だった高校中退率。私が高校(高専)を中退したのも約20年前で、2%のほうだったということになる。
何故そんなことを今更考えるようになったかというと、父親と飲んだ話を書いた際に、「統計上は98%以上もの生徒が普通に乗り越えている壁でもある」という一文を入れる為だけにわざわざ調べたからである。最初に数字を見た時は驚いた。高校を中退する生徒なんて20年前ですら2%、今では更に半減しており、日本の高校生の98%以上は3年もの長期にわたり通学し続け、ちゃんと必要単位を取得した上で卒業している。ありえないと思った。
1.3年間のビハインド
私は今の会社に中途入社してから6年以上も経過したが、37歳にもなって未だに平社員のままである。一方で、私より後から入った20代の社員が何人も昇進している現実。中には新卒入社から僅か2年、若干24歳で私を超えた社員も確かに存在する。もし、有能な彼等と無能な私を区別する決定打が「大学のランクの差」、あるいは「高校を卒業したか否かの違い」だとしたら……。
常連の読者様には繰り返しの説明になって申し訳ないが、高校中退後の私は猿でも合格できる大検(現在の高卒認定試験)を取得した上で、チンパンジーでも入れる私立Fランク大学に進学し、一時はピンチに陥ったが(ゴリラでも余裕なのに)何とかギリギリで卒業に至った。つまり最終学歴は一応「大卒」ということになる。
別の高校に入り直さず、大検の道を選んだ理由はただ一つ、「ビハインドの無い状態にする為」だった。大検を取得すれば高卒者と同じ18歳で大学に進学できるが、高校中退後に別の高校に入り直せば最低でも1年の遅れ、ビハインドを抱えてしまう。だから前者を選んだ。
それは間違いだった。確かに別の高校に入り直せば1年のビハインドだが、高校3年間で得られる多くのものを放棄した私は事実上「3年のビハインド」を抱えたまま大学進学したことになるからだ(高専は5年制なのだが、話がややこしくなるので置いておく)。もっと言うと、大学でも遊んでばかりだったので、ビハインド期間は合計で7年にも及ぶとも言えるのである。
2.『となりの怪物くん』に学ぶ
当時16歳で未熟だったとはいえ、3年間のビハインドを抱えず、高校を辞めずに卒業する方法は本当に無かったのか。
2012年11月。当時の私のブログにはこんな記事が残されていた。
私が高専を中退した理由を一言で表すなら「何もかもが嫌になった」からだが、その「何もかも」を科目別に分類すると、性質はそれぞれ微妙に異なることに気付かされる。
これだけでも(1)数学・英語・プログラミング、(2)機械実習・化学実験、(3)剣道、(4)体育で性質が異なっている。(1)は学力さえ高ければ、(2)は仕事力があれば、(3)は運動・スポーツ好きなら、(4)なんてコミュ力だけで余裕で乗り越えられたはず。そのいずれも欠けている人なんて居るのか。ここまで考えてようやく、私がいかに特殊でアブノーマルなダメ人間だったかに気付かされる。
否、それ自体が問題ではない。高専時代にその事実に気付いていれば良かっただけの事なのだ。そうすれば、中退したとしても大検ではなく「通信制の高校に入り直す」という選択肢に辿り着けたはずだから。
3.『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』に学ぶ
『青ブタ』劇場版第3作『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』が公開中で、私も本日観に行く予定である。その予習として、第2作『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』の配信を先程まで見返していた(既に劇場で視聴済みの、陽キャのB子にはハマらなかったアレである)。
これもネタバレになってしまうのだが、花楓は最終的に「通信制の高校に進学する」ことを選んだ。
原作があるとはいえ、綿密に取材したであろうリアルな説明の数々。物語の後半では、全日制高校中退を経て、現在は通信制高校に在学中のアイドルグループ・スイートバレットのリーダー・広川卯月の話が花楓の心を動かす。
16歳当時の、あんな感じだった私には通信制高校がピッタリだったのだろう。ビデオ受講の予備校が私には合わなかったので、通信制高校の映像授業さえも付いていけない可能性はあったが、「ちゃんと担任の先生もいる」(花楓談)そうなので、先生にも相談しながら何とか乗り越えていたのかもしれない。
そうやって、高校で得られる多くのものをちゃんと得ていれば、仕事での私は今頃……
今更考えてもどうにも出来ないのだが。