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アニメに学ぶ、高校中退と通信制高校
高校の中退率については減少傾向が続き、20年前は約2%だった中退率は、令和2年度には約1%となっています。高校の生徒数自体も減っていることから、令和2年度には約3万5000人まで中退者数は減少し、20年前の半分以下となっています。
20年前は約2%だった高校中退率。私が高校(高専)を中退したのも約20年前で、2%のほうだったということになる。
高専に入ってからは、全てが上手くいかなかった。
中学時代に友達を失ったトラウマはかなり大きく、人付き合いに積極的になれず、友達は全く出来なかった。
学力も急激に下がった。数学や英語さえも30点台に落ちぶれ、専門科目は0点すらあった。受験でトップ合格なんて何の意味もないことを証明してしまった。
機械を動かせなかった。操作が複雑で、手順の説明を聞いても頭に入ってこなかった。
化学実験さえもろくに出来ず、グループに迷惑ばかりかけた。
大好きなPCの授業も、プログラミングでいきなり挫折した。
製図の授業も嫌だった。
剣道の授業すら辛かった(なぜ高専に剣道という科目があるのか)。
高専の何もかもが嫌になっていたところに、体育の「グループを作って下さい」でとどめを刺された。ぼっちの私は何もせず突っ立っているだけに終わり、メンタルは完全に崩壊した。
何故そんなことを今更考えるようになったかというと、父親と飲んだ話を書いた際に、「統計上は98%以上もの生徒が普通に乗り越えている壁でもある」という一文を入れる為だけにわざわざ調べたからである。最初に数字を見た時は驚いた。高校を中退する生徒なんて20年前ですら2%、今では更に半減しており、日本の高校生の98%以上は3年もの長期にわたり通学し続け、ちゃんと必要単位を取得した上で卒業している。ありえないと思った。
1.3年間のビハインド
私は今の会社に中途入社してから6年以上も経過したが、37歳にもなって未だに平社員のままである。一方で、私より後から入った20代の社員が何人も昇進している現実。中には新卒入社から僅か2年、若干24歳で私を超えた社員も確かに存在する。もし、有能な彼等と無能な私を区別する決定打が「大学のランクの差」、あるいは「高校を卒業したか否かの違い」だとしたら……。
常連の読者様には繰り返しの説明になって申し訳ないが、高校中退後の私は猿でも合格できる大検(現在の高卒認定試験)を取得した上で、チンパンジーでも入れる私立Fランク大学に進学し、一時はピンチに陥ったが(ゴリラでも余裕なのに)何とかギリギリで卒業に至った。つまり最終学歴は一応「大卒」ということになる。
別の高校に入り直さず、大検の道を選んだ理由はただ一つ、「ビハインドの無い状態にする為」だった。大検を取得すれば高卒者と同じ18歳で大学に進学できるが、高校中退後に別の高校に入り直せば最低でも1年の遅れ、ビハインドを抱えてしまう。だから前者を選んだ。
それは間違いだった。確かに別の高校に入り直せば1年のビハインドだが、高校3年間で得られる多くのものを放棄した私は事実上「3年のビハインド」を抱えたまま大学進学したことになるからだ(高専は5年制なのだが、話がややこしくなるので置いておく)。もっと言うと、大学でも遊んでばかりだったので、ビハインド期間は合計で7年にも及ぶとも言えるのである。
2.『となりの怪物くん』に学ぶ
当時16歳で未熟だったとはいえ、3年間のビハインドを抱えず、高校を辞めずに卒業する方法は本当に無かったのか。
2012年11月。当時の私のブログにはこんな記事が残されていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1701643342271-iuotJNdaEH.png)
10月から『となりの怪物くん』というアニメが放映中である(以下ネタバレ注意)。
成績にしか興味のなかった冷血女子・水谷雫は、プリントを届けたことがきっかけで問題児・吉田春に気に入られてしまう。
そして、それをきっかけに雫の人間関係が著しく変わっていく。
(Wikipediaより)
とまあ、3行どころか2行でまとまってしまう少女漫画原作の王道ラブコメなのだが。
一番感動したのは今更ながら2話である。
ネット世界にしか友達がいない人見知り美少女の同級生・夏目あさ子が
追試で赤点を免れるべく勇気を出して雫に勉強を教えてほしいと迫る。
重度のお馬鹿さんだった夏目だが、春も協力し3人で一夜漬けまでして追試に臨み、
ギリギリの点数(36点ぐらい)で見事にパスし、
初めて雫というリア友を作るきっかけにもなったちょっといい話なのだ。
当方もこんな高校生活を送りたかった……
高専は追試も補修も無かった。
本試験一発勝負で何科目も赤点取って終了。
そもそも赤点じゃなくて「不可」なんだけどね(とことん大学チック)。
夏目のようなドラマを作りたかった。イヤ、作るべきだった。
どんなに馬鹿でも誰もがそうやって高校生活を乗り越えてきたというのに
中退する人なんて少数だというのに
当方は途中で逃げ出した。
追試も補修も無いのはただの言い訳であるのは解っている。
本試験を頑張れば良いだけの話だから。
そもそも友達が居なかった時点で終了していたのだ。
あの厳しさを一人で乗り越えられるわけが無い。
ああ、高校からやり直したい……
私が高専を中退した理由を一言で表すなら「何もかもが嫌になった」からだが、その「何もかも」を科目別に分類すると、性質はそれぞれ微妙に異なることに気付かされる。
◎数学・英語 → 中学時代に得意だったが故に、初めての挫折にショックを受けることしか出来ず、対処の仕方が分からなかった(逆に中学時代から苦手だったなら既に挫折を経験済みなので、対処できたのかもしれない)。
◎機械実習 → 座学とは性質の全く異なる、説明を聞いてその通りに操作するという(仕事では当たり前のことなのだが)16歳には難しいと感じ挫折。これは私が特殊であり、高専に入りたくて入った学生ならむしろ得意な人の方が多いと思う。
◎化学実験 → 機械実習とほぼ同じ理由。
◎プログラミング → PCが得意だと自負していたからこそ、理解できないショックは大きかった。数学・英語と同じ感じだろうか。
◎剣道 → そもそもスポーツ全般が苦手だった(中学は科学部)。
◎体育で孤立 → コミュ力があれば何の問題も無かった。
これだけでも(1)数学・英語・プログラミング、(2)機械実習・化学実験、(3)剣道、(4)体育で性質が異なっている。(1)は学力さえ高ければ、(2)は仕事力があれば、(3)は運動・スポーツ好きなら、(4)なんてコミュ力だけで余裕で乗り越えられたはず。そのいずれも欠けている人なんて居るのか。ここまで考えてようやく、私がいかに特殊でアブノーマルなダメ人間だったかに気付かされる。
否、それ自体が問題ではない。高専時代にその事実に気付いていれば良かっただけの事なのだ。そうすれば、中退したとしても大検ではなく「通信制の高校に入り直す」という選択肢に辿り着けたはずだから。
3.『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』に学ぶ
![](https://assets.st-note.com/img/1701645962992-myIFZEydZk.png)
『青ブタ』劇場版第3作『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』が公開中で、私も本日観に行く予定である。その予習として、第2作『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』の配信を先程まで見返していた(既に劇場で視聴済みの、陽キャのB子にはハマらなかったアレである)。
#青ブタ 劇場版
— 当方128 (@128Sand) July 28, 2023
花楓が高校受験するだけの話だが、不登校のビハインドと“かえで”との比較に悩みながらも猛勉強し、その結果を受けて自分で答えを見つけるまでの物語としてはお手本とも言うべき良さがある。生きづらい人なら何かを感じるだろう。#青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない pic.twitter.com/abWslIfUWF
これもネタバレになってしまうのだが、花楓は最終的に「通信制の高校に進学する」ことを選んだ。
友部先生(スクールカウンセラー)「学校ごとに特色は違いますが、用意された映像授業などを見ながら、自分の家で自分のペースで勉強を出来るのが通信制高校の特徴です。クラスに馴染めないといった問題からは距離を置けますし、高校の卒業資格を取得するという点では全日制の高校と何ら違いはありません。
(中略)
通信制高校の全てが良いと申し上げるつもりはありません。勉強はきちんと自分のペースを見つける必要がありますし、その為にはご家族の協力がとても大切になってきます」
原作があるとはいえ、綿密に取材したであろうリアルな説明の数々。物語の後半では、全日制高校中退を経て、現在は通信制高校に在学中のアイドルグループ・スイートバレットのリーダー・広川卯月の話が花楓の心を動かす。
卯月「学校って決められた時間に決められ場所で決められたみんなと集まって決められた授業を受けるものだと思っていたんだ。(中略)でも、学校説明会では『そうじゃなくて良いんだよ』って言ってくれたんだ。学校に自分を合わせるんじゃなくて、自分に合ったやり方で出来る学校を自分で決めて選べば良いんだって」
16歳当時の、あんな感じだった私には通信制高校がピッタリだったのだろう。ビデオ受講の予備校が私には合わなかったので、通信制高校の映像授業さえも付いていけない可能性はあったが、「ちゃんと担任の先生もいる」(花楓談)そうなので、先生にも相談しながら何とか乗り越えていたのかもしれない。
そうやって、高校で得られる多くのものをちゃんと得ていれば、仕事での私は今頃……
今更考えてもどうにも出来ないのだが。
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