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新社会人に伝えたい7つの現実

 新社会人の皆様、就職おめでとうございます。

「頑張って」「応援しているよ」「あなたはやれば出来る子」「自分を信じて進め」……既に家族や友人、恩師などからこのような「希望に満ちたメッセージ」を散々いただいていることと思いますが、私はあえて、目を疑いたくなるような厳しいことを書きます。

 社会人を13年間やってきて見えてきた「現実」とは――。いずれ知ることになるのだから、今ここで知ったほうが得かもしれませんよ。

現実1:努力は必ずしも報われない

「努力は報われる」と良く言うが、確かに勉強やスポーツには当てはまるかもしれない。だが仕事は「努力の内容」が重要になり、報われるのは「正しい努力」「求められている努力」をした者のみである。どうでも良いことや必要とされていないことをいくら頑張っても報われることは無い。

 そして「多大な時間を費やす」「遅くまで残って作業する」ことを「努力」だと思ってはならない。仕事における時間の考え方はここ数十年で大きく変化しており、「時間をかけて頑張る人」より「短時間で効率良く動く人」のほうが評価されやすい傾向にある。

現実2:誰も褒めてくれない

 入社して最初のうちは怒られることもあるだろうが、実は辛いのは怒られることではなく「褒められない」ことだとやがて気付くことになる。

 どんなに頑張っても褒められることは無いと思って欲しい。厳しい言い方をすれば、見返りを求める努力は真の努力とは言えない。

 ならば、自分で自分を褒めれば良い。毎夜、自宅の鏡で自分の顔を見ながら、自分自身を褒める。真希波マリの言葉を借りて「君は良く頑張っているよ」なんて言ってみたりする。それだけでも幾分かは心が救われるはず。


現実3:大事なことは誰も教えてくれない

 これは申し訳ないが抽象的な話になる。上司や先輩は、仕事の仕方は事細かく丁寧に教えてくれるだろうが、成長したり昇進するには、仕事の仕方とかそういうのではない「大事なこと」に気付かなければならない。それが何かは人によるので具体的な正解を書くことは出来ない。

 いつかの先輩は私に「何かが分かれば全部分かる」と伝えたが、それが何なのかは一切教えてくれなかったし、私も気付くことができなかったので成長もろくに出来ず、結局その仕事を辞めてしまった。

 貴方が仕事で成長する為に必要な「大事なこと」とは何か。それを教えてくれる人はまず居ない(上司や先輩とも異なる答えだから、貴方にしか分からない)ので、自分で気付くしかない


現実4:社会は矛盾と理不尽で出来ている

 こんなに頑張っているのに評価されない。貴方はこの先、何度もそう嘆くことになるだろう。当然である、人間が人間を評価するほど曖昧なものは無いからだ。

 例えば貴方の評価が「ミスが多い」だとする。しかし実際に犯したミスの回数を数えれば、それほど多くはないだろう。要するに、上司や先輩に「ミスが多い」というイメージを植え付けるほどの回数にはなっているということだ。あるいは「同じミスが多い」という評価だったとしても、実際は同じミスは2回しかしていなかったりしないだろうか? たった2回でも感覚的に「多い」と感じてしまう人は多いのだ。

 このように、人が人を評価するというのは正確性に欠けるのだ。勤務能力を数値化するシステムがあれば分かりやすくて良いのだが、残念ながらそれを実行している会社は少ない(もちろん獲得件数だけで評価される「新規開拓営業」など例外はあるが)。なので、仕事で高い評価をもらうには、ただ努力するだけではなく「相手に伝わる、認められる努力」「相手に気に入られる工夫」が必要になってくるのだ。「自分は頑張っている」という主観で終わらせてはならない。「相手から見た自分が頑張っているかどうか」という客観が評価の分かれ目となるのだ。

 そしてもう一つ。「なぜあいつは自分より頑張っていないのに評価が高いのか」などと、他者を憎むことも今後あると思う。それも結局「評価システムの曖昧さ」が生み出した結果であり、その「あいつ」は人柄が良いとかコミュ力が高いとか、勤務能力以外の面で気に入られる工夫をしている、要するに「上手くやっている」に過ぎない。

 他者を気にしても自分の成長には繋がらないので、これについては自分が納得する理由を早々に見つけてケリを付けてほしい。

 例えば私なら「社会は矛盾と理不尽で出来ている」「人間は分かり合えない生き物」と自分に言い聞かせることで無理やり納得させている。

 あるいは北上ミドリの言葉を借りて「もう、明日生きていくことだけを考えよう」


現実5:ただ「報連相」するだけではダメ

 仕事では「報告・連絡・相談」略して「報連相」が大事だと良く言うが、これほど無責任で投げやりなアドバイスも無いと私は思う。確かに「報連相」自体はとても大事なことだが、それをしている全ての人が評価されているかといえばNOである。

 ただ報告・連絡・相談をすれば良いというわけではない。少なくとも私は過去に不用意な報告をして怒られたことがあるし、最近では真面目な相談をしたのに怒られている

 例えば相談には「分からないことを聞く」というのも含まれると思うが、その為には前提条件として「疑問に思う」「違和感を覚える」必要がある。失敗する人の原因は「疑問点を相談しなかった」ではなく「違和感に気付かず、疑問に思うことすらしなかった」からである。これを履き違えてはならない。

 報告も、どうでも良い報告をしたら「なぜそんなことを言うのか」と言われることだってあるし、報告の内容によっては人間関係の崩壊にも繋がる。何を言うべきで何を言わないべきかの線引きを正しくしなければならない。

 そして連絡という行為には話を簡潔にまとめ要点だけを伝えるという「説明能力」が問われるし、まさか商談中などの大事な時に割り込んで伝えるわけにもいかないので「伝えるタイミング」、そして口頭か電話かメールかLINEかという「伝える手段」も重要になってくる。

 以上をまとめると、報連相をする為には「違和感に気付く」「疑問に思う」「言うべきか否かの線引き」「説明能力」「タイミングを見計らう」「手段の選別」「コミュ力」と、これだけの能力が必要になってくるのだ。言い換えると、正しい報連相が出来る人はそもそも勤務能力が高い人である。能力の低い人が何も考えずただ報連相をするだけでは逆に怒られる可能性もあるということを念頭に入れて欲しい。


現実6:精神論は仕事において無意味

 受験生の頃は、松岡修造氏のメッセージ動画に励まされた人も多いと思う。あの方の言うことは「精神論」「根性論」の塊である。

「諦めるな」「やれば出来る」「気持ちの問題だ」……受験勉強ならこれらの言葉は励みになり、ひいては合格に繋がるかもしれない。

 しかし仕事では、これらの精神論を全て捨てるべきである。

 確かに「俺はあいつに負けたくない一心で昇進した」という上司も過去にいた。しかしその上司が昇進できた理由は「誰かに負けたくない気持ち」ではなく、「細かいことに気付いて即実行に移す」などといった数々の「行動」の結果である。

 精神論が結果に結びつくことはない。大事なのは「具体的に何をしたか」である。冷静に考えればそりゃそうだよね。


現実7:あなたはまだ子供

 20歳を過ぎれば肉体的には「大人」かもしれないが、精神的には貴方はまだ「子供」である。実際はどうあれ、今はそう思っていて欲しい。

 では「大人」とは何か。それについて私は説明できないし、説明が不要とも言える。大人であれば一目で「この人は大人だなあ」と分かるのだ。

 私は25歳の頃、漫画喫茶の店員として数多のお客様と接してきた。提示された身分証を見て年齢を計算し、「自分と同い年なのに、なぜこの人の立ち居振る舞いはこんなに大人びているのだろう」と何度も思った。25歳にもなれば30代や40代にも引けを取らない完璧な大人になっている人はごまんと存在する。

 貴方の周囲にいる25歳くらいの人たちを見て欲しい。自分より何倍も大人びていることだろう。今の貴方が大卒の22歳だとして、これからたった3年でこんな立派な大人になれるだろうか。そう思っている時点で、貴方はまだ子供である。まずは一刻も早く大人になろう。

 ちなみに私は35歳だが、未だに子供だと思っている。10年前に見た25歳の大人たちに近付けてすらいない。

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 以上、目を背けたくなる現実の数々をあえて書かせていただきました。これを読んでも今はピンと来ないかもしれませんが、いずれ分かる時が来ると思います。

 しかし、厳しい現実を知ったところで「こんな希望の無い世界で成長や昇進なんて出来るわけがない」と諦めてはなりません。矛盾と理不尽に満ち溢れた環境下においても成長や昇進する人はいくらでも居るのです。現実という事実は変えられませんが、それをネガティブに受け止めるか前向きに捉えるかであなたの思考や行動は良くも悪くも大きく変わることでしょう。

 何があっても絶望せず、前向きに受け止め乗り越えて下さい。


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