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人間性が試される一年でもあった「コロナ禍」の2020年

 あと5日で2020年が終焉を迎える。

 人間は年の瀬に一年を振り返りがちな生き物であるが、実際のところ、年末というのは仕事がとても忙しく、今を何とかやり過ごすことに精一杯で、一年を振り返るなんて呑気なことをやっている場合では無いという人も自分を含め一定数いるはずなのだ。

 それでも今年だけは振り返る必要があると強く感じた。東京オリンピックでお祭り騒ぎになるはずだった2020年は、どこで選択肢を誤ったのか、新型コロナウイルス、COVID-19に世界が振り回される2020年となってしまった。

 日本においては、緊急事態宣言が発動していた4月~5月のあたりが一年で最も印象深い時期になったのではないだろうか。一斉休校、オンライン授業、STAYHOME、テレワークにリモート会議、飲食店の休業や時短営業、買いだめで客が殺到した小売店、悲鳴を上げる医療現場、ライブや舞台などあらゆるエンタメの中止、ゴーストタウンと化した都心、どの風景を切り取っても目を疑う異様な光景だった。

 その2ヶ月間、多くの国民が終息を信じてSTAYHOMEを続けた成果は確かに表れていた。特に都内の感染者数が急減していったのは誰の目にも明らかだった。やれば出来る、努力は報われることを証明した。

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 しかし同時に、この2ヶ月は2つの意味で「人間性」が問われる期間でもあった。

 一つ目は言うまでもなく3密回避を無視した人々の人間性である。密集する街や店に出向いたり、江ノ島などへの観光や、沖縄など感染者数の少ない地域への逃亡、実家へ帰省といった「不要不急の外出」の数々は、緊急事態宣言の最中はなるべく避ける必要があった。これをするかしないかで人間性が問われた。

 そして二つ目はあまり語られていないが、3密回避を優先するあまりコミュニケーションが上手くいかなかった人々の人間性も同時に問われていたということである。

 例えば友人5人のグループがあったとする。そのうちの一人が「居酒屋で飲み会をしよう」と提案し、3人が同意したとする。そこで残る一人だけが「行けない」と断ることすら容易でない場合もあるし、「緊急事態宣言中だしリスケしない?」と、相手を苛立たせぬよう差し障りなく中止を提案するのはもっと困難である。それが突発的な飲み会ならまだしも、半年前とか1年前から計画していた、誰もが楽しみにしていた旅行だとしたら、尚更中止なんて言い出しにくいだろう。カップルならデートもろくに出来ない期間となってしまい、励まし合うなどの人間性が無いと破局すら有り得たのではないか。これは明確なルールが存在しない「コロナ対策」への考え方や意識の強さが個々人で微妙に異なることにも起因している。なのでこの2ヶ月間、人間関係に苦労したコミュ障はかなり多かったのではないだろうか。

 さっきから2ヶ月、2ヶ月と繰り返し書いているが、この問題は緊急事態宣言の2ヶ月間だけの話ではない。むしろ都内の日別新規感染者数が700人、800人、900人を余裕で超えるようになってしまった今こそ考えねばならない問題なのだ。2つの意味で人間性が問われた2020年だが、このコミュニケーション地獄は2021年も続くし、もしかしたら2022年以降も終わりが来ないかもしれない。

 こんな理不尽の数々は一刻も早く終わりにしたい。誰もが一つでも共通の意識を持っていれば、お互いが譲り合いの心を持ち、人間性やコミュ力の格差を是正できるのではないか。そして、その持つべき共通の意識とは何か――。

「私には人の命より大切なものが何かはわかりません」
(元NGT48 山口真帆)

 突然何の前触れもなく元アイドルの1年半以上も前の言葉を引用してしまったが(忘れている人多そう……)、人命を最優先に考えることが持つべき共通認識なのではないか。事実、コロナによる死者数こそ大々的に報道されなくなったが、重傷者が増えていることは毎日のように言われている。病床が足りなくなれば、医療が崩壊すれば重傷者の命が助からない可能性があるということも――。

 人の命を第一に考えることで、あらゆる問題が解決に向かうような気がする。


 2021年は、自分の命、そして大切な人の命を守る一年でありたい。

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