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『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦』は生きづらい大人こそ観るべし

芋子「今回は8月4日に封切られたばかりの『クレヨンしんちゃん』劇場版最新作のぶっちゃけ感想を語っていきます」

小野「アナログのセル画時代から制作していたクレしん映画も、31作目にして初の全編3DCGアニメーション。技術の進化を感じるなあ」

芋子「毎回言っていますけど、ネタバレ全開で行きますのでご注意下さい。まずは公式の予告編を貼っておきます」


1.深キョンで流れが変わる

芋子「では早速、当方128さんのTwitter……もとい『X』に書いた短評から見ていきましょう」

小野「正直、前半の幼稚園のシーンあたりで退屈になってしまったけど、中盤で深キョンの曲が流れてから流れが変わったね」

♪キミノヒトミニコイシテル/深田恭子(2001年・当時18歳)

芋子「選曲がカオスすぎるんですよ(誉め言葉)。過去にも『ロボとーちゃん』(2014)で五木ひろしさんの曲を使用したりしていましたけど、クレしん映画は時々こういうぶっ飛んだことしてくるから油断できないですね」

小野「深キョン以降はほぼ全部見所というくらい面白かった。戦闘シーンはCGならではの迫力もあったし、随所のギャグも客席の子どもたちには結構受けていたしね」

2.充の心の闇について

芋子「では、ネットでも賛否両論になった終盤の『しんのすけがみつるの心の闇を取り除くシーン』について語りましょうか」

小野「松坂桃李さん演じる“非理谷充ひりや みつる”は、30歳にして弱者男性という自身の現状を世の中のせいにしている、早い話がひねくれた性格であり、その負のエネルギーで悪役と化してしまうわけなんだけど……」

芋子「充は終盤で巨大な怪物になり、しんのすけを飲み込んでしまいます。その体内でしんのすけは幼少期~学生時代の充に遭遇します。親の帰りを一人で待つ、運動会で一人きり、小学校ではいじめられ、離婚で別居する両親と最後の手巻き寿司パーティー……と、充がひねくれる原因ともなった生い立ちが判明するあのシーンについてです」

小野「めっちゃ感動したよ。あれは現状に生きづらさを感じる大人にこそ刺さるんじゃないかな。しんのすけがおならでいじめっ子を撃退するシーンで客席の子どもは笑っていたけど、話の根本をちゃんと理解していたかは疑問である」

芋子「逆にそういう下ネタが随所にあるから子どもも飽きずに見続けられるんでしょうけどね」

小野「完全に大人向けに作りつつ、ギャグや下ネタで子どもにも見てもらう工夫をしたって感じかな」

3.現実を生きねばならない

芋子「では、この作品が伝えたかったことって何でしょうか?」

小野「現実世界がどんなに辛くても頑張って生きなければならないんだよ。『日本の未来は真っ暗だ』と嘆く弱者男性に、ひろしを始め野原一家は『ガンバレ』『ガンバレ』しか言わなくて、俺は頑張るという言葉が嫌いだからあのシーン自体は好きになれないんだけど、言いたかったのは『頑張るしかない』ってことなんじゃないかな」

芋子「一応、あのシーンは無責任にガンバレと言っているだけではなく、どう頑張れば良いかについても少しだけ言及していますからね」

小野「宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』にも“現実世界で生きねばならない”というメッセージがあったと俺は思うし、要するに逃げちゃダメなんだよ。令和に入って更に辛いことが増えたかもしれないけど、今年だけでも幾つもの作品が“ユートピアに逃げず、理不尽で無慈悲な現実で生きることを選択する人”を取り扱っている。ドラえもん映画最新作もそうだったよね。つまりはそういうことなんだよ」

4.【おまけ】月9『真夏のシンデレラ』感想

芋子「ここからはおまけです。今期のフジテレビ月9ドラマについても少しだけ触れましょうか」

小野「これさ、観ていない人は信じられないと思うけど、マジで90年代のトレンディドラマをそのままやっているからね。↓このシーンとか観れば伝わるんじゃないかな」

芋子「緑黄色社会の曲、めっちゃ良いですね。それはさておき、スマホがある時代にこんな再会の仕方なんてありえないわけですが、夏海が慣れない東京でスマホを失くしたからこそ成立したわけです。それはそれで良くある手法ですけど」

小野「うーん……欲を言えば、青春ドラマのベタベタをあえて令和にやる試み自体は悪くないけど、ベタの先に令和ならではの新しい何かを見たいんだよね。そういう意味では2話のプロジェクションマッピングは現代らしくて凄く良かった」

芋子「あと、随所に差し込まれる江の島の風景も現代だからこそ撮れる美しい映像だと思いますよ。あとはどうしても言及したいのが、ネットが騒然となった『海斗(夏海の弟)の彼女 二股&妊娠発覚事件』についてですが……」

小野「秋香ちゃん、一見清楚系なのに実は二股(しかも性行為あり)をするビッチだった。世の男性の幻想を打ち砕くのがある意味令和らしいかもね」

芋子「どういう意味ですか?」

小野「今年だけで何人の若手女性声優が結婚したと思っているんだ。大空直美さんとか春野杏さんとか、昨日は和氣あず未さんが突然結婚発表したし、もう誰も信じられない

芋子「アイドルや声優に幻想を抱くの、いい加減やめましょうよ」

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