公衆電話で交渉【はじめてレッズをみた日】#3
浦和にあるレッドボルテージに向かった。
今では浦和駅に直結しているが、当時は本屋の須原屋の近くにあった。
レッドボルテージの店内にある掲示板には「チケット譲ります」のメモがいくつか貼ってあった。個人情報の管理が厳しい現在では信じられないかもしれないが、連絡先として電話番号が書かれていた。
観戦したいチケットを持っている方の電話番号をメモして公衆電話に向かった。当時はまだ携帯電話すら普及していなかった。
「もしもし」
「もしもし」
「レッドボルテージで掲示板を見たのですが」
「レッズのチケット?」
「そうです!まだありますか?」
「あるよ」
「是非、譲って頂きたいのですが」
「いいよ。定価でいいかな?」
「もちろんです」
「今から、北朝霞に来れる?」
「はい、行きます!」
「じゃあ、北朝霞駅に着いてたらまた電話して」
初めてのことで緊張したが思いのほか簡単に交渉が成立して、喜び勇んで北朝霞に向かった。
北朝霞駅に到着して連絡すると車の特徴を教えてもらい、駅前のロータリーで待合せすることになった。10分程度でその車がやってきたので大きく手を振った。
「ここでーす!」
「電話くれた人?」
「そうです」
「はいこれ、チケット」
「ありがとうございます」
「それじゃあ、しっかり応援頼むよ」
こうして、初めて浦和レッズのチケットを入手したのだった。
これまでのお話
#1 興味はなかった
#2 掲示板にすがる
サポートして頂いたら有料記事を購入します!