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英語&翻訳解説【So Jah Seh】

まず曲を理解する

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「互いを愛し、助け合うんだ」

食べるものすら十分に確保できないゲットーで生きていかなければいけない貧しく奪われた人たちに神からの大切な言葉を伝えているナンバーです。

でもこの曲のメッセージはゲットーの住人だけに向けられたものではありません。隣人愛を実践しながらまっとうに生きることは誰にとってもすごく難しいことです。

だからこそボブはわたしたち全員にこう強く呼びかけています。

「でも諦めるな、がんばるんだ」

愛し合い助け合うわたしたちをJahは必ず救ってくれる、どんなにつらくても信じて生きるんだ。ハッキリとそう歌ってます。もろくて弱いわたしたちこころに希望とパワーを与えてくれる曲です。

英語表現と訳し方

So Jah seh
Jahとは旧約および新約聖書で語られている神(Lord、God)のことです。

ボブは意識的にJahとLord(主=神さま)という言葉を使い分けている節があります。

なので、Jahと歌われている箇所はそのままJahと訳しました。

Sehはパトワです。英米式の英語だとsaysです。

倒置されてsoが一番前に来ています。通常の語順だと、Jah says soです。「Jahはこう言われた」という意味です。

Seeds
「種子」を指す一般名詞ですが、聖書的には「子孫」という意味があります。

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The seed of Abraham(アブラハムの子孫=ヘブライ人)という風に使います。

旧約聖書によれば、人間を創ったのは全知全能の神です。

この箇所のように聖書の神さまがseedsと言う場合、すべての人間を指します。

Sidewalk
「舗装された歩道」のことです。

イギリス英語では、pavementと言います。

Moving sidewalks言えば、「動く歩道」という意味になります。

テラス席のあるオ-プンカフェはsidewalk cafesと言います。

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Beg ~
「~を請う」、「~を懇願する」、「~を頼む」と言う意味の動詞です。

Beg one’s breadで「食べ物を乞う」とか「乞食をする」という意味になります。

英会話テキストの定番表現I beg your pardonのbegです。

Verily
「まことに」、「確かに」という意味の古い英語です。

現代英語のtrulyとかreallyに相当します。

マタイによる福音書5:18にVerily I say unto youという一節があります。日本語の新共同訳では「はっきり言っておく」と訳されています。

Thou
古い英語です。

現代英語の二人称単数you と同じです。

二人称複数の場合はyeに変化します。

対応する所有格はthy、目的格はtheeです。

Inite
ラスタが用いる独特のボキャブラリーI-wordです。

語頭の音を「I」に置き換えています。Unite(ひとつになる、協力する)という動詞のラスタバージョンです。

Imanity
これもI-wordです。

標準英語のhumanityに相当します。

集合的に「人類」とか「人間」とか「人」を指すラスタ用語です。

Pasture
「牧草が生えているところ」、つまり「牧草地」のことです。

周囲を柵で囲った「牧場」ではなく、牛や羊や馬などを「放牧する場所」を指します。

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草を食べさせるために、羊飼い(shepherds)が羊の群れを連れてくる場所です。

関連した単語にpastorsというのがあります。

今では牧師という意味になっていますが、古い時代には「羊飼い」を指しました。

I and I
非常によく使われる代表的なI-wordです。

一般的な使い方では、I(わたし) + I(わたし)でwe(わたしたち)という意味です。

ただしボブは、I and Iに「神と人間がひとつになる」という意味を込めることがあります。

なので歌詞の内容によっては、I(神) + I(わたし)で「神と人間」という意味になる場合があります。この点は注意が必要です。

Hang on
日常会話でよく使われる表現です。

「しがみつく」、「頑張る」、「辛抱強くやり続ける」という意味です。

Let go ~
「~を手放す」、「~を開放する」という意味の動詞表現です。

Let me goと言うと「わたしを自由にしてくれ」という意味になります。

Abide
古い英語です。

Live(住む)とかstay(留まる)という意味です。

Fear not
Do not fearと同じです。

「畏れてはならない」という意味です。

Mighty dread
Mightyは「偉大な」とか「強大な」という形容詞です。

イギリスの香りがする言葉です。

形式的に添えられているだけでほぼ無意味な場合も多いです。

Dreadは辞書的には「恐ろしいもの」、「恐怖の的」を指します。

ここでは髪の毛をdreadlocksと呼ばれるラスタ独特のスタイルにしている人のことです。

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レゲエに関する限り、dread=ラスタと考えてOKです。

韻を踏んでいる箇所

以下の二か所で韻を踏んでいます。

And verily, verily, I’m saying unto thee, I
Inite oneself and love Imanity

’Cause puss and dog, they get together
What’s wrong with loving one another?
Puss and dog, they get together
What’s wrong with you, my brother?

翻訳で迷った点

神が語る部分が多い歌詞なので文体をどうするか大いに迷いました。

ボブが愛した英語版聖書King James Version(欣定訳)に呼応する古めかしい日本語訳は「文語訳」というバージョンです。

最初は文語訳に文体を合わせようかと思いましたが、歌詞である以上、格調よりも分かりやすさを重視すべきだと考えなおして、平易な言葉でなるべくわかりやすい訳を心がけました。

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