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Three Little Birdsに関するあれこれ


神の愛

Natural Mysticに関するあれこれ1(ターニングポイント)でも触れましたが、アルバムExodusは完全に2部構成となっていて、前半5曲(オリジナルLPレコードのA面)が「何を信じて生きていくのか」、後半5曲(B面)が「生きるために必要な愛と恵み」をテーマとしています。

男女間の恋愛について歌った直前の2曲(Waiting in VainTurn Your Lights Down Low)から一転して、このThree Little Birdsと次の曲One Loveは人間に対する神の愛をテーマとするナンバーです。

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三羽の小鳥とは?

主人公にメッセージを伝える「三羽の小鳥」が一体何を指すのか、ネット上をくまなく検索してみましたが、信頼しうる説明は存在しません。

いろんな説がありますが、代表的なのは三つです。

ひとつ目はジャマイカ首都キングストンのボブの家(通称Hope Road、現在のBob Marley Museum)に実際にやってきた小鳥説。

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ボブの長年の友人ギリー・ギルバート(Gilly Gilbert)は玄関先で3羽のカナリアがさえずっているのを見たボブがその場で一気に曲を作ったと主張しています。

どうなんでしょうね?

ふたつ目はボブのバックコーラスを務めた女性シンガー3人組アイスリーズ(I-Threes)説です。

I-Threes (from left to right, Judy, Rita and Marcia)

3人のうちのひとりマーシャ・グリフィス(Marcia Griffiths)は3羽とは間違いなく自分たちのことだと断言しています。

第三の説はキリスト教の神、三位一体の神を表わしているというものです。

三位一体(Holy Trinity)とは、父なる神(Father)、子なる神(Son)、聖霊なる神(Holy Spirit)がそれぞれ別々に存在するのではなく、同じひとつの神だという信仰のことです。

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3という数字

キリスト教において3は象徴的な数字です。

旧約聖書(Old Testament)創世記(The Book of Genesis)に登場するノア(Noah)には3人の息子がいます(ShemHamJapheth)。

彼らが3人が全人類の祖先です。箱舟(Noah's arc)に乗ったノア一家以外の人間は大洪水で滅びたからです。

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またイエスは荒野(「あれの」と読みます)で3回悪魔に誘惑されます。

この世を去る時も他の罪人2人とエルサレム(Jerusalem)のゴルゴタの丘(Calvary)で3人一緒に十字架にかけられました。

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そして息を引き取ってから三日三晩の後にイエスは「復活」します。

三位一体の神

ラスタになってからのボブは、キリスト教信仰を公言しませんでしたが、三位一体の神を信じ続け、多くの曲で子なる神イエスについて記したキリスト教の聖典=新約聖書(New Testament)を引用しています。

ボブにとってJahとはラスタの多くが救世主と信じるエチオピア皇帝ハイレ・セラシエ(Haile Selassie)のことではありません。

三位一体の神ヤハウェ(Yahweh)こそがボブが見上げて賛美したJahなんです。

ハレルヤ(主を賛美せよ、Hallelujah)という言葉の最後の三文字と同じJahです。

ハレルーヤ!

Jah=ヤハウェ=全能の神であり、創造主です。

説明し始めると長くなってしまうので、そのへんはまた機会をあらためて書きたいと思います。

人+神+人

話を三羽の小鳥に戻すと、キリスト教に基づいた説がもうひとつあります。

三羽が「人+神+人」という関係性を表しているという説です。

ひとりでは生きていけない人と人の間に愛で二者を結び付ける第三の存在=神さまがいるんだという考え方です。

目には見えませんが、この二人の間にも・・・

包容力ある歌詞

おそらく上記の説のどれかということじゃなく、全部が正しい答えなんだと思います。

いろんな解釈ができるところがボブの歌詞の豊かさです。

そしてそれが彼の歌がいつまでも愛され続ける理由でもあります。

元になった聖書箇所

ただ一つはっきりと言えるのは、この曲の「何も心配しないで、どんな小さなこともうまくいくから」という歌詞は新約聖書マタイによる福音書(Gospel According to Matthew)6章34節に出てくる次のイエスの言葉がベースになっているということです。

So do not worry about tomorrow, for tomorrow will bring worries of its own. Today's trouble is enough for today.

(New Revised Standard Version) 

だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である

(新共同訳)

私にまかせておけばだいじょうぶという神さまからのパワフルなメッセージです。

明日起きるかもしれないことに関してあれこれ今日思いわずらう必要はないんです。

この教えを普段着の言葉にして多くの曲でボブはEverything is gonna be all rightと歌っています。

いつもどんな時にも神さまは一緒にいて我々を守ってくれている。だから何も心配することないよと伝えてくれてるんです。

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何度も書いていますが、ボブの歌詞をどう解釈するかは個々のリスナーの自由です。

でも神の愛を伝えたいという本人の使命感と明確な意思は知っておくべきだと思います。

その熱い思いこそが彼の音楽活動の原動力だったからです。

以上、今回のあれこれは三羽の小鳥の意味と鳥たちに託されたメッセージについてでした。

それじゃまた~


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