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詩のすすめ

現代詩手帖に掲載なさっている谷川俊太郎さんのあたらしい詩を読んだばかりなので、私にとって彼はいまでも身近な存在でした。

そして2020年ごろまでは朗読会もなさっていたらしく、足を運べなかったことに遅すぎる後悔が募ります。

今日は、「詩のすすめ」というテーマで書きたいと思います。
少しだけお付き合いください。

ふと詩集を手に取る時、多くの人は精神的にも時間的にも余裕がある時が多いんじゃないかな。

詩に限らず、SNSでは切り取られた一部の言葉のみが流れてくる機会が多いと思います。そうして折に触れて目にすることは本当に良いことだから、気になったら一度立ち止まってみて、その作家さんの詩集を読んでみてほしいです。


ひとたび詩の世界に入ってみると、私はいつも心の中にお家ができるような気持ちになります。薪ストーブの炎で丸ごとあたためられたログハウスのようなお家です。

有名な、好きな詩の書き出しを紹介します。

生きる/谷川俊太郎
生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみすること
あなたと手をつなぐこと
...


彼の詩をよむといつも、生命をいとおしく思う気持ちと、生まれてきて良かったなというぼんやりとした心地よさ、優しさに包まれます。

目の前のことにいっぱいいっぱいの時、誰のことも信じられないような気持ちになる時、自分の価値を他人に委ねてばかりいる時、ひとたび詩に触れると、全てが取るに足らない事に思えるし、ずっと大きなスケールで物事を俯瞰できるような気がします。

詩をよんでいると言葉の奥行きをつい考えたりして頭がせわしなく働いてしまうときは、エッセイ集もおすすめします。わたしは谷川俊太郎さんの「ひとり暮らし」が、ユーモアに溢れていてとても好きです。すいすい読めてしまう。エッセイというか、何やろな、「おもしろひとりごと集」みたいな感じ。

好きなエッセイの一つに「葬式考」というものがあります。「結婚式より葬式が好きだ。葬式には未来がなく過去しかないから気楽だ。結婚式は夫婦の暗い未来を想像して心配が尽きない」みたいな書き出し。笑
これが皮肉というふうでもなく、どことなく淡々としているから面白い。


私は谷川俊太郎さんの他にも、茨木のり子さんの詩が好きです。半年前に読んだ「おんなのことば」という詩集がとても素敵でした。
一番最後の「汲む」という詩を読んだとき、胸がいっぱいになったことをよく覚えています。ぜひ読んでみてください。

訃報があった日、PCから離れて谷川俊太郎さんの詩集を手に取り、それからずっと夢中で読んでいました。いまひとたび人生の軌道修正をしたような気持ちに。

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