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映画・芸術・漫画評論

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2019年7月の記事一覧

『煙を抱く』

『煙を抱く』



山西竜矢とは面白い男だ。
半分漫画のキャラのようで、実利に親和的であり、合理的であり、利己的であり、利他的でもあり、尖っているでも決して、野蛮な尖方はしない。いいやつなのだ。創作になると、奥にある奇妙なエゴイズムをいとも簡単に作品に変えてしまう。

僕はこんな人です!
こう思っています!
と、心の底を決して明かさない。
すなわち、黒バックなのだ。背景は分からない。今の存在からスタートする。

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ガザの美容師

ガザの美容師

今回紹介するのはガザの美容師

あらすじ

場所はパレスチナ自治区、ガザ。クリスティンが経営する美容院は、女性客でにぎわっている。離婚調停中の主婦、ヒジャブを被った信心深い女性、結婚を控えた若い娘、出産間近の妊婦。皆それぞれ四方山話に興じ、午後の時間を過ごしていた。外では男たちが紛争を始め、ミサイルや機関銃の音で美容室の中の女性たちは震えている。

まず、この映画の中では分かりやすく
男性と女

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中村屋酒店の兄弟

中村屋酒店の兄弟

本日紹介したい映画は白磯大知監督の映画である『中村屋酒店の兄弟』です。

主演はダブル主演で、藤原季節と長尾卓磨の二人です。

簡単にストーリーを説明すると

とあるところに男の兄弟がいます。兄(ヒロフミ)は実家の酒屋を継ぎ、認知症の母の介護をしながら店を守っています。弟(カズマ)は東京に上京しています。ある日弟のカズマが帰ってきます。その後、カズマは母が認知症ゆえに兄のヒロフミを自分の息

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おおかみ子供の雨と雪

おおかみ子供の雨と雪

今回の紹介するのは細田守監督の「おおかみこどもの雨と雪」を紹介しようと思います。

そっ直な観測から言うと「素晴らしい」の一言。

細田監督の他作でありながら、近いモチーフを描くバケモノの子よりもはるかに純度が高く美しい作品でだった。

簡単にストーリーを説明すると

主人公である女性、花は大学時代に狼と人間のハーフの狼男に恋をし、その二人の子供を授かる、姉は雪といい、弟は雨と言う。子供は

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クリーピー 偽りの隣人

クリーピー 偽りの隣人

今日紹介する映画は「クリーピー 偽りの隣人」

今回の映画の内容を簡単に説明すると、主人公夫妻が引っ越してきた先の隣の家が実は連続殺人犯の“サイコパス”の家族の家であった。
主人公(西島秀俊)は元警官で今は大学で犯罪心理学を教えている。嫁は竹内結子で専業主婦。隣の“サイコパス”一家は偽りの家族で、家族のお父さん役が香川照之で、昔から隣人を洗脳しては自分の手は汚さず殺す、一家殺人事件が得意な“サ

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主戦場

主戦場

今回取り上げようと思うのは、主戦場という映画。アップリンクで観てきた。

内容を簡単にいうと、“リベラル”と“保守”が従軍慰安婦があったかなかったかを色んな“知識人”に聞くドキュメンタリー。作っている側は“リベラル”サイドなので、保守が論理的に欠落しているように描かれる。

始めは慰安婦問題で、韓国に対する従軍慰安婦はあった、保守側は無かったというし、慰安婦もそれなりに楽しくやっていた、という

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