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高齢出産#2 妊娠判定の日

妊娠判定の日のこと。

いきなり重い話だが、去年、流産した後
ストレスで体重が4kgも増えてしまった。

今年になってダイエットする気になり
3ヶ月かけて、その4kgを減量した。

ぶかぶかになった服を着て、
不妊治療クリニックに行った。

自宅でフライング検査をしていたので
陽性反応が出ると分かっていた。

マタニティマークは付けなかった。

本来なら、特に妊娠初期は
外見だけでは妊娠中と分からないので

マタニティマークを付けるべきだが、
他の不妊治療患者への遠慮が勝つ。

これは思いやりか、同調圧力か。
こんなことで悩むのは日本人だけだろうか。

診察の前に尿を提出する。
トイレの中に提出窓がある。

私の通っている不妊治療クリニックは
医師が一人しかいない小さい所だ。

胚移植後の患者の診察は
他の患者が終わった後らしい。

少し待ち時間があった。
と言っても30分ほど。

夫婦で来ている人がいて、
クリニック卒業みたいだった。

旦那さんは車椅子だった。

一緒に内診室に入って、エコー画像を見て
内診から出てきて、静かに泣いていた。

夫婦が子供を授かって本当に良かった。
不妊治療って素晴らしい。

卒業の日は、スタッフ全員に菓子折りと
医師に謝礼金を用意すべきか、迷っていたが

夫婦でお礼を言う方がよほど良い。
私もそうしよう、と思った。

私が呼ばれて、陽性反応が出た、と告げられた。
内診の経腟エコーで胎嚢を確認する。

エコー画像では黒い豆みたいに見える。
医師が言うには順調らしい。

「今の段階でこれだけ大きく育っていたら、
 今回は大丈夫だと思いますよ」

看護師が笑顔で言う。
「おめでとうございます」

採血と黄体ホルモンの筋肉注射をして
女性ホルモンの薬をもらう。

「妊娠した!」みたいな実感はまだ無くて、
でも帰り道は、晴れ晴れとした気持ちだった。

苺のショートケーキと
苺のタルトケーキを買って帰った。

ショーウィンドウに映った自分を見て
服が大きすぎる事に初めて気づいた。

帰宅すると、夫がそわそわして
「どうだった?」と言うので

もらったエコー画像を見せたが
まだ何なのか全然分からない。

お茶を淹れて、ケーキを食べた。

タルト生地すら、油っぽくて受け付けない。
軽くつわりが始まっているようだ。

この子も苺とケーキを味わっただろうか?

これからは、ちゃんとした
栄養のあるものを食べよう、と思った。

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