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『超言葉術』と阿部広太郎さんと 時々 わたし ⑥

折れそうな心を抱きしめながら、這いつくばってでも前に進もうとしてきた阿部広太郎さんだからこそ、わたしたちは心を鷲掴みにされてしまうのかもしれない。

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阿部広太郎青年「僕」の葛藤や切ない気持ち、悔しさ、エネルギーを目の当たりにするような表現が、わたしは本当に好きです。



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🍀 今日の言葉 🍀〈6〉

『待っていても、はじまらない 。 潔く前に進め』の中からランダムにチョイスして…


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緊張しながら、マイクをぎゅっと握りしめて、ときおり噛んだりもしながら、渾身の企画を説明する彼らは、すごくきらきらしていた。勘弁してほしいくらい、いい表情をしていた。まぶしいくらいに、彼らにひかりを感じる。なんだろう、なんなんだろう、僕のこの気持ちは。プレゼンが終わるたびに拍手をするけれど、僕の心は全然弾んでいなかった。ただただ、教室のいちばん後ろで突き刺さるように立ち尽くしていた。

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「君には、営業の方が向いてるよ。クリエーティブの気持ちがわかる営業になってよ」ランチから会社に戻るまで道で、真剣な顔をしたクリエーティブディレクターに言われた。

 「いやいやいやー!」と、僕はいつもより多めの笑顔で応えた。

向いてないかもね宣告。無理かもしれない。クリエーティブディレクターがそう言うのなら。そう1ミリでも思いこまないように、とりあえず笑顔をつくるしかなかった。最初からうまくいくはずなんてないじゃないか。いいじゃん下手くそでさ。簡単に書けたら、逆に困るよ。できるかできないかじゃなくて、やりたいかやりたくないか。気づいたら、人生の経験すべてで勝負できる広告コピーの世界が大好きになっていた。

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「受かりました!」

「なんかの間違いなんじゃないの?」

クリエーティブディレクターは笑っていた。

僕は「いやいやいやー!」と、心の底から笑って応えた。

コピーライターになる。僕の夢が動きはじめた。

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「お前はもっと人を傷つけたほうがいい」

 人の心がわかっていないということを、見透かされたような気がした。あの時、よく泣かなかったなと思う。普通の顔を装うのが精一杯だった。

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毎週、ぎりぎりの生活だった。仕事。課題。仕事。課題。仕事。課題…。たいていの金曜日の夜は、会社か、ファミリーレストランで朝までコース。注文したアイスコーヒーのアイスは溶けきって、得体の知れない飲み物に。朝になるとノートにインクの染み。疲れと眠気で僕は泥のようになっていた。

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自分の現実から感じた、悔しさ、そして情けなさは、僕の中で、ニトログリセリンになった。自分を突き動かす爆薬を手に入れた気がした。

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こんなことまでして、何やっているんだろう…でもなんかこう必死な自分こそ、自分らしいかもな。そんなことを思いながら、自販機で、コーンポタージュ缶を買った。いままで飲んだ中でいちばんうまく感じた。120円で世界一幸せになれる飲み物なんじゃないかと思った。


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阿部さんが当時の「僕」に丁寧に寄り添った言葉で語られているから「信頼感」が増すのかもしれない…

そんなことを思いながら今夜のnoteを書きました🍀

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