15. インバウンドマーケティング【DX】 ペルソナの好奇心を湧き立たせ、商品へ誘導する
前回は「デジタルマーケティング」をテーマに取り上げました。
今回のテーマは、デジタルマーケティングの中で最もシンプルで、自社のリードナーチャリングに貢献する「インバウンドマーケティング」について、お伝えします。
インバウンドマーケティング
インバウンドマーケティングとは、以前「セールス」の章でもお伝えしたように、セールスが「プッシュ型」から「プル型」へと進化しているのと同様に、マーケティングも今までの【プッシュ型】マーケティングから【プル型】マーケティングへの進化、具体的には見込み客の購入リスト(購買行動)から広告を設置、DMやEmailで潜在顧客にリーチしてきたのを、ペルソナ(顧客像)に対して、「興味があるであろう情報コンテンツ(関連情報含む)」をブログなどで発信することで、製品・サービスへ誘導していく手法です。
顧客を想定しコンテンツの内容などを決めるにあたり、まず初めにポイントを「成果を上げるヒント」として紹介します。
続いて実際にブログなどを入口として、製品・サービスにどのように誘導していくかについて、詳しくお伝えします。
成果を上げるヒントは
1. ターゲットとする市場を定義する
適切にターゲット市場を得ることが重要です。
「彼ら(顧客)が解決したい問題(課題)は何か?」
「提供するサービスは彼ら(顧客)の興味を引くか?」
「彼ら(顧客)が最も反応するメディアは何か?」
2. 価値を高める
提供しようとしているサービスは見込み客のニーズにマッチしているか?
彼らが望む(反応する)プロモーションやインセンティブは何か?
を考える。
あなたの話を聞くために顧客は忙しい時間を割くことになります。時間を割いてもらうには強力なインパクトのある内容、デモ、事例も必要です。
彼らにこのサービスを一度でも経験(体感)させれば、注目を浴び、いかに役に立つかを理解してもらえます。
3. 目立つ、際立つ
最適な結果に行きつくために、まずは適切なデータが必要になります。
グラフィックデザイン、画像等メディアは顧客の目を捕まえます。
製品サービスが際立つデザイン、顧客を楽しませる、喜んでもらえるDM、メッセージ、Webページを創ってください。
見込み客が、
必ず手に取って読んでくれるDM
必ずアクセスするWebページ
必ず開封してくれるEメールメッセージ
必ずクリックしてくれるWebページ
を、創ってください。見込み客がクリックしてくれるインセンティブを顧客(クライアント)から引き出してください。
4. フォローアップ
顧客(リード)はキャンペーンで反応しても時間とともに(直ぐに)興味は下がっていきます。顧客が反応して3日以内でフォローアップしてください。顧客(リード)はすぐに「冷めて」しまいます、再度獲得するには大きな手間と時間がかかります。もしくは失ってしまいます。
5. タイミング
顧客にメッセージが届くタイミングは重要です。例えば月曜日は様々なミーティング、確認等でメールをゆっくり見る時間はありません。
休日、長期休暇を取るシーズンも考慮すること。
A/B テスティング
A/BテスティングはWebページの2つのバージョン(デザイン)を比較し、どちらがパフォーマンスが高いかを調査するテストです。Webサイト訪問者を顧客にするために、コンバージョンレートの最適化を実施します。
A/Bテストを行うには、まず2種類のページを用意します。
次に同レベルのテスト用に選出したターゲットグループを2グループに分けます。そして初めのアプローチがDMの場合、またはEメールの場合にはそれぞれ2種類のデザイン/表現の違う物を作りWebページに訪問させコンバージョンレートを比較します。
2種類のマーケティングメッセージを載せたDM、Email を選出したターゲットに送り、テスティングを行います。ターゲティングする顧客は、類似したプロフィールを持つ顧客で行うことが必要です。特に大規模なキャンペーンを実施する場合に頻繁に行われます。
顧客の育成(リードナーチャリング)
マーケティングでは、見込み客の過去の購入リストに対して広告を配置したり、DM やE メールを送ることで潜在顧客にリーチしてきました。
しかし、インバウントマーケティングは想定される顧客像(ペルソナ等)に対し、興味があるであろう情報コンテンツ、好奇心を沸き立たせる関連情報を提供することで顧客を製品/サービスへ誘導していきます。
コンテンツ・マーケティングの考えを基にして、マーケターは顧客を自社のサイトに誘導するため様々なメディア(オウンドメディア/ブログ、Podcast(ポッドキャスト)、YouTube、eBook、ホワイトペーパー、ニュースレター、メルマガ、SEO、SNS など)を活用し、時間をかけて顧客の育成(リードナーチャリング)をしていきます。
マーケティングアクション
オウンドメディアの1つである、
「Webサイト(※ブログ含む)やソーシャルメディア等で、顧客が興味を持つであろう情報を発信し続け、顧客に発見してもらい、見込み顧客(リード)を獲得、育成して顧客になってもらうまで」
の、マーケティング手法ですが、時系列で見ると以下の通りです。
1. ブログ:顧客の興味を引くコンテンツ
商品・サービスの情報は基より、その周辺を含めて掲載することで顧客の興味を上げる。SNSからの誘導も。
2. SNS:顧客同士が互いに興味を持つ
共通の興味・趣味で集った顧客に対して情報発信をする。個人への情報発信を行い、意見情報を収集、自社サイトへ誘導する。
3. キーワード:見込み客がネット検索した際に、見つけやすく関連するキーワードを使う。1. のブログ・コンテンツが豊富になると、更に検索ワードにかかりやすくなる。
4. Webサイト: 製品とサービスにおけるポータルを提供し使いやすく多くの情報を持つWebサイトを設計する。
5. LP(ランディングページ):特別にあつらえるカスタマイズされたページの準備。商品・周辺情報を、さらに興味が沸いて情報を入手したくなるコンテンツを用意する。
6. オンラインフォーム:フォーム経由で連絡先情報を収集。インセンティブとして、eBookやホワイトペーパーを提供する。一般的には「ログインさせる」。個人の情報(連絡先など)を入力させる。
※5と6は対と考える。コンテンツの内容が興味あるであろう情報程良い。
またはインセンティブを用意する。
7. 連絡先(顧客):新規獲得したリード情報をDBに保存
↓ 以下はMA(マーケティングオートメーション) ↓
8. リードスコアリング:顧客を質と購入意欲により格付け獲得したリードの質を見極める。点数が高い順に数段階、または同様のコンテンツに反応するグループに分類。
9. リードナーチャリング:購入に繋がるように、収集した顧客を育成するために関係性を深める。8. で反応したコンテンツに紐づけた情報を発信し、その際には顧客が反応(答える)するコンテンツ内容を含めて発信する。
10. 報告・分析:分析者を使い、顧客の行動をモニタリングし、マーケティング効果を評価する。9. でのログ解析による最適なメッセージ・コンテンツの提供。
11. 顧客の保持(エンゲージメント):営業は顧客との関係のスタートにすぎない。関係を深めるため育成。顧客と関わり合う。
インバウンドマーケティングを機能させるには
■ コンテンツの作成
商品/サービスに関する質の高い情報(関連情報含む)を提供することは、顧客の興味、好奇心(ニーズ)を引き付け、引き付けられた顧客は以降のフォローアップコミュニケーションを求める場合が多く、この場合、ソーシャルメディア(SNS)等が有効に働きます。
■ コンバージョンファネルの絞り込み
営業ファネルの各段階で、段階毎の最適なマーケティングコンテンツが必要になります。製品(商品)の情報をリサーチしている顧客に対し、価格(特別オファー等)の情報、購入オプションの情報にはあまり反応しません。
同様に価格、購入オプションの情報をリサーチしている顧客は製品スペックの情報には反応しません。
彼らは目的ごとの最適な情報提供を求め、最適情報を提供することは高評価に通じます。
■ パーソナライゼーション
最新のマーケティングテクノロジーは、仕掛け方次第で顧客情報の深い所まで入手することが可能です。マーケティングキャンペーン毎に様々な顧客情報を細部にわたり入手することが出来るので、顧客に対し最適なメッセージ情報を発信することが出来ます。
■ クロスチャネル/オムニチャネル
顧客は時と場合によって、様々なメディア経由で企業に関わりを持ちます。
クロスチャネル(オムニチャネル)は、チャネル毎に顧客の行動を想定し、それぞれのメディアに合った(得意な)表現でのメッセージが必要です。また顧客は、様々なシチュエーションで自分にとって最適なメディアを選択してアクセスします。その場合、各メディア(チャネル)の持っている特性で顧客を分析する必要があります。
■ インテグレーション
各メディア(チャネル)毎の顧客DBでの分析結果を統合し、更に精度の高い顧客情報に仕立て上げることは、より良いパーソナライズ化、さらに最適なメッセージ情報を発信することが可能になり、メディア/チャネル特性を活かしたアプローチが可能になります。
【おわりに】
デジタルデータによって、顧客のパーソナライズ化がなされ、スマートフォンに代表される高度なデジタルツールが普及し、生活にインフラとして定着してきました。それにより、顧客へのパーソナライズメッセージと共に、アプローチが進化していきます。
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