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【まったり骨董日記_vol.29】猫に小判、豚に真珠、我が夫には骨董品?

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骨董好きの我が夫、気は穏やかだけれど少々偏屈。
独自のルールとスタイルで営まれるその暮らしは、ときどきちょっとヘンテコです。お役に立つ情報はありませんが、くすっと笑ってもらえるような話をひとつ。
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ここしばらく、我が夫が日本酒をまったく飲みません。
暑い夏の時期にはよくあることですが、新酒が続々と店頭に並ぶ冬に、こんな状態になったのははじめてのことです。

「おお、まさか健康状態になにか問題が?」と心配するまでもなく、我が家のクローゼットを着々と占領しはじめているのが、ウイスキー。

ついこの間までは、「日本人の口に合うのは、やっぱり日本酒だよね」と、したり顔で語っていたのに、最近では「日本酒はもう、おいしいってわかっているから驚きがない」などと言い出す始末です。

なんとも薄情すぎる心変わりではないですか。
「ちょっとお酒は控えたら?」なんて口を酸っぱくして言い続けていた私ですが、今回ばかりは日本酒の味方。
「今までお世話になってきている日本酒に謝らんかい!」と夫にハリセンツッコミ(絶滅危惧語?)したいところです。

そういえば、ある時期、ワインに目移りしていたこともありました。
ただし、ワインについては我が夫の未熟な味覚では、多彩な味わいの違いがほとんどわからなかったうえに、コスパにもイマイチ納得感がなかった様子。

セブン-イレブンの限定ワイン「ワールドプレミアム」シリーズ6種を一巡してからは「もう世界のワインを知り尽くした」と胸を張り、あっさり日本酒へと回帰していましたが、今回はどうなることでしょう。。。

どうやらウイスキーの場合、我が夫の節約精神をほどよくくすぐるコスパの良さがあるらしいのです。
夫いわく、
①日本酒やワインは開栓後、数日程度で飲み切らないとおいしくないけれど、ウイスキーならまったくといっていいほど劣化がなく、長く保管して楽しめる。
②しかも常温で置いておけるから、冷蔵庫を要する日本酒やワインよりも保管の効率がいい。
③日本酒やワインは食事と一緒に味わいたいので夕食の時間が長引いてしまうけれど、むしろ食後に楽しみたいウイスキーなら食事はさっと済ませられるので夜の時間が有意義に使える。
④アルコール度数と価格の比率で考えると、日本酒やワインよりもウイスキーがおトク。

ちなみに④を考えるにあたって、フチが黄ばむほどの古いメモ用紙に熱心に計算式を書き込んでいた我が夫。そのちまちまとした小さな文字のしみったれ度合いも、なかなかのものです。

しかし、それならいっそのこと、お酒をまったく飲まないのがいちばんおトクなのでは?という私の賢明なる金言が夫の前頭葉に響かないのは、一体、なぜなのか。。。
お酒とは、ホントに怖い飲み物ですね。

さて、これまで日本酒を飲むときは、お気に入りの李朝盃や唐津盃を使っていた我が夫。ウイスキー用に用いているのは、スイスのツェルマット土産のグラスです。
んんん?
以前、「お酒は骨董の器を“育てる”ために飲んでいる」と言っていた、あれは何だったのでしょう?

しかも最近、地震が多いせいで、骨董・古美術品のたぐいを部屋に飾るのも怖がっており、主な品々は厳重に収納されたまま、とんと表に出てこなくなってきました。

これでは宝の持ち腐れ。
猫に小判、豚に真珠、我が夫には骨董品というものです。

本人は今のところ、「持っているだけで幸せだし、またいつか使う日が来るのも楽しみでしょ」と言っていますが、まさか日本酒離れとともに、このまま骨董離れも進むことはあるのでしょうか?

それはそれで、さらにコスパ抜群になる気もしますが、なにせ移り気な夫のこと。しばらく様子を見守っていきたいと思います。



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