映画#136『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』
今年のMCU、及びフェーズ5の門出を飾った『アントマン&ワスプ/クアントマニア』。しかし評価はあまり芳しくなく、フェーズ4からの人気低迷も相まってMCUの行く末が少々危ぶまれる事態にまで発展していった。
そしてGW、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ(以下「ガーディアンズ」)の最新作にして最終作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』が公開された。監督は前作に引き続きジェームズ・ガン。クリス・プラット、ブラッドリー・クーパー、ゾーイ・サルダナなど、シリーズの壮大な幕引きにオリジナルキャストが再び集結した。
全体的な感想を述べると……も〜〜〜とにかく最高の映画体験だった。とにかく「俺らのガーディアンズが帰ってきた!!」「これこそがMCUよ!!」と声を大にして言いたい。
何がそんなサイコーだったかって、頭から尻でずっっっっっと楽しいこと。いつものガーディアンズらしくギャグもシリアスも感動も丁度いい塩梅で、それに加えて所謂「ジェームズ・ガン節」なる監督の個性出まくりなアクションシーンも合わさり……その様はまさに「THE・ガーディアンズ」。我々ファンが第一に望んでいたものが実現したのだ。
一時期はジェームズ・ガンがMCUから追放され、それに伴い今作の監督を降板させられそうになる、というハプニングも発生したが……やっぱりガーディアンズはガン監督じゃなきゃ。もし他の監督が手がけていたら、今作の出来栄えも評価も180度変わっていただろう。
マーベルの競合社であるDCコミックにて、映画『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』と、ドラマシリーズ『ピースメイカー』を手がけたジェームズ・ガン。どちらも「正義のヒーロー」とは言い難い一癖も二癖もある奴らが集結し、世界を救うべくチームを組んで戦うという物語。
筆者は両作とも未鑑賞のため説得力のせの字もないが、今作がこれら二作品に強く影響を受けているのは言うまでもないだろう(具体的にどう影響されているのかを語るには、二作品とも鑑賞せねばにっちもさっちもいかないが)。
また今作ではアダム・ウォーロックというキャラクターが登場。黄金の肌を持ち、赤いマントをたなびかせながら高速で飛行し、スーパーパワーで立ちはだかる全てを薙ぎ倒す謎の男。
序盤ではガーディアンズを強襲し、無双ムーブをかました後ロケットに瀕死の重傷を負わせるなどして、強敵ポジションとしてガーディアンズの前に立ち塞がる……といっても厳密にはヴィランではないのだが、ここでジェームズ・ガンがDC映画にて今後展開していくという「DCユニバース」、その初陣となる『スーパーマン:レガシー(原題)』を想起させられた。
若き頃のスーパーマンを描くという本作だが、これは母の愛を欲するアダム・ウォーロックにも重なる部分だ。「きっとガン監督はこういう『スーパーマン』を撮りたいんだろうなぁ」という思いがひしひしと伝わってきた。
『ガーディアンズ〜』シリーズの主役は当然ながらガーディアンズたちだ。だが前作がピーターと父の物語であったように、今作はロケットの秘密と過去にフォーカスを当てた物語となる。背中に見られる改造跡、身体に仕込まれた謎のプログラム……
真実の鍵を握るは「完璧な生命体」の創造を目論む狂気の科学者「ハイ・エボリューショナリー」。巷では「MCU史上最低最悪のヴィラン」「サノスやエゴよりもやってることがエグい」との噂………作中においても、そんな悪役を演じたチュクウディ・イウジの怪演は凄まじい存在感を放っており、そのクズキャラっぷりがかえって今作の「清々しさ」を助長させている。
またロケットの過去もこれまた残酷かつ美しく………檻に入れられた仲間たち4人同士で名前を付け合うシーンは涙無しでは観られない。「コイツら4匹全員が幸せになることはないんだろうなぁ」と考えると尚更心苦しくなる。
前2作と比べると、ややダークかつ陰鬱なイメージが強調されている今作。だがそのラストシーンは、誰もが笑顔に・ハッピーになれる、まさにガーディアンズの終焉に相応しいエンディング。
それぞれの道を歩むことを決意したガーディアンズは、音楽に合わせて笑い、歌い、踊る。妻子を失い「デストロイヤー」となったドラックスも、再び相棒同士としてコンビを組むロケットとグルートも、最初はガーディアンズに敵意剥き出しだったが今やれっきとしたガーディアンズのメンバーとなったネビュラも、皆。
まるで絵に描いたようなハッピーエンド、その光景に思わず涙してしまう程………。
「ガーディアンズの終わり」と共に、ある意味「MCUのリスタート」の象徴にもなった今作………こればっかりは「MCUとジェームズ・ガン、天晴れ!!!」と言わざるを得ない。言葉にしてみると、改めてガーディアンズの幕引きにピッタリだなぁと感服してしまう。
素敵な映画を本当に、本当にありがとう。
それではまた、次の映画にて。
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