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映画#144『007/慰めの報酬』

『007/慰めの報酬』(”Quantum of Solace”)

監督:マーク・フォスター
原作:イアン・フレミング
出演:ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、マチュー・アマルリック、ジャンカルロ・ジャンニーニ、ジェマ・アータートン、アナトール・トーブマン、イェスパー・クリステンセン、デヴィッド・ハーバー、ロリー・キニア、ティム・ピゴット=スミス、ホアキン・コシオ、ジェフリー・ライト、ジュディ・デンチ、他
主題歌:アリシア・キーズ、ジャック・ホワイト『アナザー・ウェイ・トゥ・ダイ』
製作会社:イーオン・プロダクションズ、ダンジャック、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、ユナイテッド・アーティスツ、コロンビア ピクチャーズ
配給:ソニー
公開:2008年10月31日(英国)11月7日(米国)2009年1月24日(日本)
上映時間:106分
製作国:イギリス、アメリカ合衆国

Wikipediaより引用

【あらすじ】
傷ついた心が、共鳴する。初めて愛した女・ヴェスパーを失ったジェームズ・ボンドは、ヴェスパーを操っていたミスター・ホワイトを尋問し、背後にいる組織の存在を知る。早速捜査のためにハイチへと跳び、知り合った美女カミーユを通じて、組織の幹部であるグリーンに接近。環境関連会社のCEOを務める男だが、裏ではボリビアの政府転覆と天然資源の支配を目論んでいるのだった。ボンドは復讐心を胸に秘めながら、グリーンの計画阻止に動くが……。

Filmarksより抜粋

画像出典:映画.com

ダニエル・クレイグによる『007』、その2作目。展開は前作『007/カジノ・ロワイヤル』から地続きとなっており、ヴェスパーの死の真相を探るべく「Mr.ホワイト」なる人物の足跡を追う所から物語がスタートする。


今回のボンドは、任務よりも復讐に重きを置いているのが特徴的。初めて愛した女を失った、その喪失感からか非常に人間臭い一面を見ることができるその一方で、ボンドの心情的な描写に重きを置いている代わりに前作のようなオシャレ・スタイリッシュな雰囲気はなくなっている。

「任務」と「復讐」、彼が選ぶ選択とは。

これを「ボンドの人間らしい一面を見ることができる唯一の映画」と捉えるか「前作と比べると物足りなく感じてしまう残念な作品」と捉えるかどうかはその人次第だが、これもまた前作の記事にて述べた「ダニエル・クレイグ版『007』のオリジナリティ」の一部だと言えるだろう。


と言ったものの、ストーリーが前作と比べ大分薄味になっているのは否めない。『007/カジノ・ロワイヤル』では「カジノでのポーカーによる心理戦」や「初めて1人の女性へ真摯な愛を抱いたボンド」と言ったように、そのタイトルを象徴するメイン要素が含まれている。

今作に於けるメイン要素は言うまでもなく「愛する人を奪われたボンドの復讐」が該当するのだが………作中にてそういった描写が十分に行われていたか?と聞かれたら首を傾げざるを得ない。そういう割にはボンドが感情的になることも無かったし、一応任務であるが故に平静を装っているにしても隠された激情とやらを探し当てるのは正直至難の業だ。

アクションのスケールや完成度はいつも通り高いが故に勿体無さも感じる。

これらのことから「よく観るような在り来りなスパイアクション映画」という淡白な印象が見受けられるというのが率直な感想だ。私個人としてはもう少しボンドの感情を大胆に表現しても良かったのでは?と思う。


が、しかし………前作はシリーズ最高の大ヒットを記録、更に次回作『スカイフォール』はシリーズ最高記録を更新、イギリスでの歴代興行収入において第二位という爆発的なヒットを記録した超大作なのである。

そう考えれば、今作が若干埋もれてしまったのも些か仕方ないのでは?と思えてしまう。前哨戦と言ったら聞こえは悪いが………私は無理やりそう解釈することとする。

それではまた、次の映画にて。

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