映画#153『M3GAN/ミーガン』
唐突だが私はホラー映画が大の苦手だ。劇場で観るホラーであれば尚更。特に大きな音で観客を驚かせる演出「ジャンプスケア」には毎回ビビり散らかしている。手で顔を覆ったりスクリーンからなるべく意識を逸らそうとしたり………色々と工夫はするのだがあまりにもビビりすぎて友達からは笑われる始末だ。
が、そんな私でもあまり怖がらず、むしろ心の底から楽しめたと胸を張って言えるのが今作『M3GAN/ミーガン』だ。『ソウ』シリーズのジェームズ・ワンと『ハロウィン』のブラムハウス、ホラー映画におけるビッグネームが奇跡のコラボを果たしたことで誕生した。
話の内容としては『チャイルド・プレイ』とよく似た、人形が殺人マシーンと化して人々に襲いかかってくるというもの。テンプレート的な世界観と感じるかもしれないが、もちろん『チャイルド・プレイ』にはない決定的な特徴が今作には存在する。
それが、ミーガンが人に襲いかかるのは「ケイディを守るため」という純粋な理由によるものだということ。事故で両親を失い、孤独に悲しむケイディを「家族の一員」として守り抜く、それがミーガンに定められた使命。一見すると恐ろしいAI人形にしか見えない彼女だが、いざ事情を知ってしまうとなんだかとても頼もしく思えてしまうのが今作に仕掛けられたトリックだと言える。
こういった「家族愛」的な側面は作中においてかなり根強く、それも相まってか「ホラー映画」というよりは「ハートフルな家族映画」という印象が強い。従って、今作はホラー映画が苦手な人でも十分に楽しめる作品となっている(ホラー映画好きからすると今作は少々物足りないらしいが)。
更に言えば「AIの暴走」というテーマは、近い将来に起こり得るかもしれないものであるということも加味しなければならない。『ターミネーター2』における機械と人間の全面戦争のような、SF作品にありがちな展開が我々の世界でも起こってしまう可能性だってゼロではないのだ。
今作『M3GAN/ミーガン』におけるミーガンの暴走は、まさに「AIとの戦争」の先触れとなるのではなかろうか。今回の事件もミーガンが自意識を持ち始めたことがキッカケであり、必殺仕事人の如き勢いでケイディを傷つける者たちを処理していく様はまさしく『ターミネーター』だ。
世界的な大ヒットを記録した今作、ともすれば続編が制作されるのも当然の流れと言える。だがその続編ではどう話の風呂敷を広げていくのだろうか?それこそ「人類vsAI」的展開が始まってしまうのではないか?そうなったらジェームズ・キャメロンあたりを呼ばなくちゃならないだろうが………
と、いうわけで今回はここまで。
それではまた、次の映画にて。
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