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エッジの効いたトークは遥かに美味より勝る。

My Sabbatcial Journal 13
2024/04/15/正午 @ I-House

 4月の晴れた日にしても、気温が24度近くまであがり、さすがに汗ばむ。4月からこの調子ではもうすぐ地球上が沸騰してしまいそうだ。自宅から六本木駅まで移動し、六本木から東洋英和女学院を通りながら旧岩崎邸に位置するI-Houseにやってきた。某財団からランチ懇談会の申し入れがあったためである。12時半から理事長、担当者と会い、日韓関係の今後について話し合う。どんな話になるかはお楽しみ。

 久しぶりにそれなりの服装で赴かなければいけないランチの席である。ソメイヨシノは葉桜になり、八重桜もところどころ葉桜になりはじめた4月の中旬である。昨日は八重桜でも見ようかという話になり、隣町を少しだけ散歩した。なかなかきれいではあったが、もう数日早く出かけてくればもっときれいな八重桜を楽しめたかもしれない。人も桜も気候変動に惑わされている。

 I-Houseは日本の戦後につくられた知的ネットワークを構築するための一つの社交クラブ的な存在でもある。社交クラブといえばロータリーやライオンズクラブのように男性中心、お金持ち、成功者の集いというイメージもあるが、I-Houseは落ち着いた感じに包まれ、お金の香りがプンプンしない。日本のモダニズムを表す建築も素敵だ。https://ihj.global/architecture/

ANUのUni Houseを思い出すなかなか頻繁に訪れることはないが、たまには来たくなる素敵な東京の名所でもある。https://unihouse.anu.edu.au/

 
  初対面でもあり、若干緊張するようなランチでもあるから早めに家を出た。遅刻したり汗だくの姿で息をハァハァ吐きながら会うには少し格好悪いと思ったからである。ネクタイを一応持参しているが、ノータイが良いか、それでも礼を尽くしてネクタイを締めるかぎりぎりまで悩んでいる。初対面の相手は元外交官であり、某財団のトップである。先方からお呼びがかかったのだからキャジュアル・ビジネスで良いのではという軽い気持ちと、相手がきちっと服装を決めてきた時の気まずさが振り子のように揺れ動く。

 まだ時間が50分ほどあるので読み続けている本をソファーに腰掛け読み始めた。明後日から本格的な「旅する暮らし」が始まる。そんな暮らしを盛り上げるために合間を縫って『深夜特急4-シルクロード』(新潮社、1986)を読みつつ、同時に『エスニック空間の社会学』(新曜社、2024)を併読している 。https://www.shinchosha.co.jp/book/123531/

 https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b640719.html

 
シルクロード辺りの部分を読んでいるが、良き時代のアフガニスタンやイランが出てきて、1979年以降のアフガニスタンやイランが未だに落ち着かないことを考えると胸が痛む。イランがイスラエルに対しての報復攻撃を行ってから一日しか経っていないし、まもなくドバイ経由でヨーロッパに出かける身としては若干の不安要素がぬぐえないことも事実である。

 沢木耕太郎や村上春樹の筆力というか描写力を何とか一部でも盗み取りたいという欲望もあれば、そんなことは意識せずに、とりあえず自分の足取りを記録し、必要に応じて再生産する素材を残すだけでも良いのだからもっと気楽に構えなさい、と自分自身に言い聞かせたくもなる。
 
 12時15分ほどにパソコンをたたみ、お手洗いでネクタイをつけるか否か確認しようとしたら、なんと後ろからランチ会をともにする事務方の担当者から声をかけられてしまった。財団の理事長はお手洗いにいるということで、さすがにそこからネクタイを着けるわけにもいかず、私はノータイの選択肢のみになった。案の定、二人ともきっちりとスーツにネクタイ。私が一番若い。参った、否、開き直りだ。
 
 ランチの話題は、日韓、中東、世界の歴史問題や国際政治に及んだ。あっという間の1時間であり、同時に本音を気持ちよく語ってくださる方々でもあった。当然ながら昨今の日韓関係においても深い造詣をお持ちであった。こういう方々と出会うと話が弾む。また、イスラエル・パレスチナ問題においても見解を共にした。なかなか出会えないエッジの効いたトークは遥かに美味より勝る。
 
 


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