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米津玄師『地球儀』ができるまで 『君たちはどう生きるか』主題歌

米津玄師とスタジオジブリの出会い

 米津玄師さんとスタジオジブリの最初の接点が生まれたのは、2018年3月に発行たれた『熱風』です。

 『熱風』とはスタジオジブリが2003年から毎月発行している小冊子で、2018年3月号の特集は『毛虫のボロ』でした。感想を寄稿するため『毛虫のボロ』を鑑賞した米津さんは、直後に宮﨑駿監督との初対面も果たしているようです。

 次なる接点は、2018年5月に出版された『トトロの生まれたところ』という書籍です。書籍の販促の一環として、米津さんに本についてツイートしてもらうというアイデアを、編集担当の方が思い付いたそうです。鈴木敏夫プロデューサーはその依頼のため、米津さんに手紙を書きましたが、名前から「お坊さん」だと勘違いしていたと語っています。


「ジブリ汗まみれ」出演

 2018年7月15日、鈴木敏夫プロデューサーのラジオ番組「ジブリ汗まみれ」に、米津玄師さん出演回が放送されます。7月22日、8月5日と、3週にわたって放送されました。そこで鈴木プロデューサーは、米津さんが抱く宮﨑監督やスタジオジブリ作品に対するリスペクトを目の当たりにします。

 podcastでそのアーカイブ音源を聴くことができます。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol537.mp3

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol538.mp3

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol540.mp3

 また、この放送内容は『熱風』2018年8月号にも、特集「米津玄師とジブリ」として収録されています。

『パプリカ』と主題歌依頼

 2018年8月、NHK『みんなのうた』にて、米津さんが制作した『パプリカ』が放送されます。

 それから数ヶ月後、『君たちはどう生きるか』の主題歌制作の依頼が米津さんに舞い込みます。宮﨑監督が『パプリカ』を口ずさめるほどよく聴いており、それが決め手になったそうです。2019年5月、米津さんに『君たちはどう生きるか』の絵コンテが手渡され、楽曲制作が始まりました。
 『THE ART OF 君たちはどう生きるか』によると、絵コンテの完成は2019年5月1日とあるので、絵コンテが出来上がってすぐに米津さんに依頼があったようでうす。

『地球儀』完成に至るまで

 米津さんが宮﨑監督のアトリエ「二馬力」に出向き、『地球儀』のデモを披露したのが2022年9月26日。その模様は、先日放送された『プロフェッショナル仕事の流儀 ジブリと宮﨑駿の2399日』で確認することができます。

 楽曲として完成するまで、約4年の歳月が必要だったほどに、制作は難航したようです。その制作過程については、あらゆる媒体で米津さん本人から語られています。

 この他に
・『熱風』2023年9月号
・『君たちはどう生きるか ガイドブック』
・雑誌『SWITCH』2023年9月号
・『地球儀』CD+写真集

などでも語られています。

 『地球儀』というタイトルは、宮﨑監督のドキュメンタリー映像の中で、地球儀に絵を描いているシーンが印象的だったことから付けられたそうです。その映像は、『ポニョはこうして生まれた。 〜宮崎駿の思考過程〜』の冒頭で確認することができます。

3種類の『地球儀』

 米津玄師さんのYoutubeチャンネルでは、現在3種類の『地球儀』動画が視聴できます。

・『地球儀』ミュージックビデオ


・スタジオジブリが背景アニメーションを手がけた『地球儀』ライブ映像


・『君たちはどう生きるか』の映像を使ったミュージックビデオ


 宣伝が行われなかった『君たちはどう生きるか』において、主題歌を担当していることも公開日まで伏せられていました。公開当初の米津玄師さんの露出は、大きな宣伝効果をもたらしたと思います。
 また、スタジオジブリ作品を知らない若い世代にも映画が認知されるきっかけとなり、あらゆる意味で最高の抜擢だったのではないでしょうか。

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