食の本 from君羅文庫【食べ物のことについて毎日考えてみた】
2020年の終わりに君羅文庫の総まとめをしました。
このnoteでは、それぞれの本にまつわるお話を載せることができませんでした。
そして、【食べ物のことについて毎日考えてみた】のnoteの中では、君羅文庫を支持してくれる方が結構いましたので、今回は、君羅文庫50選の中から食べることにまつわる本についての君羅の紹介文を掲載していきます。
みなさんの読書の時間の本選びに少しでもお役に立てれば幸いです。
『それからはスープのことばかり考えて暮らした』
吉田篤弘 / 中公文庫
銀幕の女優に恋をした主人公オーリィ君がサンドイッチやスープをきっかけとした素敵な人々との出会いを描いたあたたか〜い物語。
オーリィ君と周りの人々との関係性が、そうなるといいのになぁと思う方向に展開されていくストーリーは、読んでてどんどん嬉しくなる恋愛小説のようであり、読者に推測させワクワクさせるミステリー小説のようでもあります。
そして何より、スープの香りも感じるような美味しそうな表現が沢山のグルメ小説でもあるなと感じます。
本を読み終えて「名もないスープ」を大切な人と一緒に飲みたくなりました。
『ランチ酒』
原田ひ香 / 祥伝社文庫
カバーデザイン 名久井直子
カバーイラスト agoera
妻と休日ランチに行くと、やはりビールを頼みたくなる。
注文の際に「あと、ビールを」とは急に頼まず、まずは妻に確認。
「飲んでいい?」に対し、「一杯だけね」の時もあれば、「夜飲むでしょ?(昼から飲む気?)」な時もある。
まぁどのような言葉が返ってきても飲むことは許してもらえるので飲んでしまうが、妻の目を気にしながらも頼んだそのビールがまぁ美味しい。爽快な喉越し、苦味が日頃の仕事や育児のストレスなど頭から消し去ってくれるほど。これがあれば、平日の晩酌など無しにまた一週間頑張れるとさえ思えてしまう。休日のランチに飲むお酒は次の一週間の生きる力を与えてくれる。
『ランチ酒』に登場する犬森祥子は、夜から明くる朝にかけての「見守り屋」の仕事を終えた後で「ランチ酒」を飲みながら、仕事のことや別れた夫の元で暮らす愛娘のことを考える。悩みは尽きないが、美味しいお酒と料理に癒され、また頑張ろうと生きる力をもらう。
周りの目を気にしながらもランチ酒を頼み、美味しく味わう犬森祥子の姿を休日の自分に重ねながら読む。僕の悩みなどちっぽけだ。
美味しい料理と酒は、食べる飲む時間に関係なく生きる力を与えてくれるんだと感じさせてくれる絶品小説です。登場するお店は実在するらしいので、『ランチ酒』登場店めぐりなんかも楽しそう!見るだけで涎が出てくるagoeraさんのカバーイラストも素敵です。
『イスラム飲酒紀行』
高野秀行 / 講談社文庫
無類の酒好きの辺境作家高野秀行氏が、酒を禁ずるイスラム圏の国においても、どこかにアルコールがあるはずだと探しまわり、その執念で必ず酒を見つけ、イスラムの“酔っぱらいたち”と打ち解けていく様子を描いたルポルタージュ。
イスラム圏の酔っぱらいたちと打ち解け合ったからこそ語ることのできる筆者のイスラム観とイスラム圏の人々の「本音と建前」を知ることのできる一冊だと思います。
『今日もごちそうさまでした』
角田光代 / アスペクト
角田光代さんの「食べ物愛」が詰まったエッセイ。
ごはんの時間に必ずごはんを食べる角田さん。
毎日の食事で出会う食材達にまつわる思いが綴られています。
「本命塩」「アボカドギャンブル」「栗ガーリー」「全世界からすみ」などの気になるタイトルも素敵。
あぁこれ美味しかったなぁ〜これまた食べたくなるなぁとほわわ〜んと幸せな気分で読むことのできる本です。
埼玉の誇るサイボクハムの「ゴールデンポーク」が角田光代さんの愛する銘柄豚として登場します!
『EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅』
スコット・ジュレク/NHK出版
皆さんは「ヴィーガン」を知っていますか?肉や魚を食べないのはもちろん、卵や乳製品も食べずに植物性食品のみを食べる「完全菜食主義」のことです。
もしもこの「ヴィーガン」で100マイル(約160km)レースを走るアスリートがいるとしたら⁉️
今回ご紹介する本の著者スコット・ジュレクは世界各地の100マイルレースやアメリカ3522kmを世界最速で走破するなど世界的に著名なウルトラマラソンランナーです。彼は、ヴィーガンであることも知られており、本書では、スコット・ジュレクの生い立ちからレース中の心情、そしてヴィーガンとしての食生活までが明かされた1冊です。
君羅もランニングを嗜みますが、参加するのはフルマラソンまでです。がしかし、本書の中のスコット・ジュレクの苦しい精神状態とそれを乗り越えて走る「求道者」のような描写、単純に走ることを楽しむ姿を見ていると、とてつもなく長ーい距離のレースに出たくてウズウズしてきてしまうほどの興奮を覚えます!
スポーツ栄養に興味のある学生の皆さんは、世界のトップアスリートの中にはこんなに凄い人がいるのかと驚かされる一冊となると思います。
元々はファストフードも食べる食生活からなぜヴィーガンになったのか、また日本の仏教やおにぎりについての記述から幅広い知識や人とのつながりも知ることのできるまさにスコット・ジュレクの走る・食べる・生きるが詰まった1冊ぜひ読んでみてください!
『むかしの味』
池波正太郎/新潮文庫
「鬼平犯科帳」などで有名な文豪池波正太郎は食通としても有名で、数々の食にまつわるエッセイを残しています。
この『むかしの味』では池波正太郎が愛した国内外数十軒の名店が紹介されています。
店の料理の紹介と共に、その店の店主や一緒に訪れた友について
のエピソードが「粋」で素晴らしいエッセイです。
素晴らしい料理との出会いは素敵な人との出会いでもあるのだと感じさせてくれる作品です。ぜひ手にとって、作品中に出てくる名店に足を運んでみてはいかがでしょうか?
『美味礼讃』
海老沢 泰久 /
日本に初めてフランス料理をもたらしたといわれる、辻調理師学校の辻静雄氏をモデルにした小説です。
料理の素人が本物を極めるためにフランス全土のレストランを食べ歩き、名だたる料理人たちとの交流を経て本物のフランス料理を日本に伝えようと奮闘した人生が綴られた一冊です。
人生において、本物を知ることの大変さと大切さがわかる本です。
城西大学の図書館にも置いてありますので、ぜひ読んでみてくださいね!
『体がよろこぶ!旬の食材カレンダー』
まめこ/サンクチュアリ出版
かわいいイラストと漫画で旬の食材を紹介してくれる本です。
今の季節はタケノコが旬。
本では、タケノコ掘りからアク抜き、タケノコに付着する白い粉の秘密まで、楽しく紹介されています!
レシピもたくさん載っているので、旬の食材を使った料理つくってみたくなります!
我が家では、タケノコをたくさんいただいたのでまずは「土佐煮」を楽しみました。
みなさんもこの本を読んで「旬」を味わってくださいね。
『NHKテキスト まる得マガジン』
講師:神成マサヨ NHK出版
城西大学薬学部医療栄養学科(管理栄養士養成課程)の卒業生で管理栄養士・フードプランナーとして活躍する神成マサヨさんが講師として出演するNHK Eテレの番組「まる得マガジン」のテキストです。
33種類のドレッシングとサラダが紹介されています。
酢の酸味と香りを楽しむ前半4パートと油のコクと風味を楽しむ後半4パート
作りたての手作りドレッシングで毎日が極上サラダ!
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