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フィルム時代のコンパクトカメラたち

【自分史の切片としてのカメラ機材 #3
写真やカメラに対する興味を失っていた30代から50代にかけての30年間、他の何を楽しみにしていたか。書いても詮ないことながら、自分自身の記録として書いておく。
クルマ:子どもの頃から大のクルマ好きなのだが、ランチアもポルシェも到底手が出ない。一生買える身分になることはありそうにない。だからクルマを趣味にするのは封印することにした。それでも30歳を過ぎてから手に入れたボロボロのハコスカGTにはいろいろ手を入れた。というよりも、修理代を節約するために、できるところは自分で修理した。
オーディオ:これも金持ち向きの趣味だ。裸の安いスピーカーを買って来て、棚板に穴を開けて取り付けたりした。これが後の真空管アンプの製作へとつながって行く。
スキー:
30代も中ほどになったら、スキー仲間がだんだんいなくなってしまった。
バイク:教習所へ通って中型免許を取った。会社の人の斡旋で中古のヤマハXJ400SPを手に入れて数年乗り回していた。一番遠くへ行ったのは東京から飛騨高山。大雨に降られてヘルメットのシールドが曇った。前が見えない。道路の白いラインだけを頼りに走った。原付も何台か乗り潰した。駅までの通勤に使っていた。
鮎の友釣り:40歳で転職してから川へは行けなくなった。休みがとりにくい会社だった。仕事に注力しようと決めたことも、鮎釣りから足を洗う要因となった。出初めの頃のカーボン製の棹がまだ残っている。
書道:数年間、近所の師範に蘭亭序で漢字を教わった。初段になる寸前でやめざるを得なくなった。
PCの自作:これを書いているPCも自分で組み立てたものだ。オフィスで使っているメインPCも。ワープロ通信からパソコン通信、インターネット・・・DOS/Vマガジンを愛読していた。
真空管アンプの製作:オーディオを趣味にすると高級アンプがほしくなる。しかしマッキントッシュもアキュフェーズも買えない。それなら作ってみようかという動機で始めた。いま使っているアンプは、このときに手作りしたものだ。
ラジコンヘリコプター:練習し始めたところで大手術をすることになってやめざるをえなくなった。手ほどきしてくれたのは、その主治医だったのだが。
地唄・三味線:地唄は好きではないのだが、ひょんなことから後へ引けなくなって3年ほど練習した。みじめな記憶だけが残った。
ほかにもあるが、このあたりでやめておく。

写真に対する興味は失っていても、生活の中で写真を撮る必要は生じる。スマホのない時代だ。子どもの成長も記録したいし、どこかに出かければ記念写真が撮りたい。お手軽に撮りたい。軽くて小さくて簡単に撮れるカメラがほしい。ということで買ったカメラが何台かまだ手もとに残っている。

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ヤシカSNAP。1978年発売。「一番安いカメラを」と言って買った記憶がある。典型的な駄カメラだろうが、お手軽と言えばこれほどお手軽なカメラはない。オートフォーカスではなくゾーンフォーカス。山型マークや人型マークでだいたいの距離を合わせる。それでもけっこうよく写る。見出しの写真がこのカメラで撮ったもの。サービス判にプリントするだけなら、少しぐらいピントが合っていなくても十分だ。そういうものと割切っていた。そういう世の中がなつかしい。いまはピントが合っているかどうか、Photoshopで拡大して調べている。合っていなければボツにする。どちらが幸せなのかわからない。

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ミノルタAF-E。1984年の発売だったらしい。暗いところでは自動的にストロボが発光するのがウリだったそうだが、どのような動機で購入したのかまったく覚えていない。オートフォーカスが当たり前になって、さすがにヤシカ SNAPでは、と考えたのだったか。日付と時間を撮し込むQUARTZ DATEは使えなくなってしまったが、電池を入れればシャッターは切れるはず。

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オリンパスのコンパクトフィルムカメラでは、XAというカプセル型の、ケース不用というモデルが有名で、いまも人気がある。その次に「ピカソ」というストロボ付きのモデルが出て、当時は盛んにテレビCMをやっていた。その次だったか、これはオリンパスAF-1、愛称は「ぬれピカ」。AF全自動で、かつ生活防水を初めて採用した。調べてみると1986年の発売。すでにミノルタAF-Eを持っているのに、なぜこれを購入したのか。まるで覚えていない。機能の充実したよいカメラだと思うのだが、XAほどの中古人気はないようだ。

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オリンパスペンEEもある。これはカミさんが持っていたものだ。丈夫な機械で、いまでも何事もなかったかのように写真が撮れる。調べると1961年の発売。そんなに古いのか。義父の所有機だったのかもしれない。

〈#2へもどる #4へつづく

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