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日本が舞台の名作オペラ【蝶々夫人】


★蝶々夫人を作ったのは誰??

☆原作はアメリカ人弁護士と劇作家

原作の短編小説が存在します。
1898年にアメリカ人弁護士ジョン・ルーサー・ロングが発表した短編小説【Madame Butterfly】が原作で、それを歌劇台本にしたのが、同じくアメリカ人の劇作家デーヴィッド・ベラスコ。

要するに、最初からオペラ台本として存在していたわけではなく、あくまでも舞台戯曲として書かれたものであり、プッチーニはその舞台に感銘を受けて、オペラとして作曲を始めたそうです。

現在、蝶々夫人が上演される際のチラシやパンフレットには、「プッチーニ作曲【蝶々夫人】」と記載されているのみですが、小説版と戯曲版の作者がいますので、そちらを読んでみるのも楽しみが増えると思います。

☆作曲はイタリアオペラの名手:ジャコモ・プッチーニ

イタリアオペラと言えばプッチーニと言っても過言ではありません。
蝶々夫人作曲時は一番勢いがあったときだと言われています。この前には、こちらも有名な【トスカ】を完成させています。

トスカ以外にも
ラ・ボエーム
ジャンニ・スキッキ
トゥーランドット

など、オペラに興味がない方でも「タイトルは聞いたことがある!」というオペラがあるのではないでしょうか。

中でもトスカ、蝶々夫人は三大オペラ(もう一つはヴェルディ作「椿姫」)と呼ばれるほど、世界的に人気ですし、上演機会が多い作品です。また、上演時間が3時間前後と、長すぎないことも人気ポイントだと思います。

★日本が舞台だけど??

☆基本的にはイタリア語上演・日本語字幕付き

英語の戯曲台本をもとに、プッチーニが作曲し、アリアなどの詩を作っていますので、オペラ自体は英語ではなくイタリア語が原語となります。

原語上演上幕付きと銘打ってあれば、蝶々夫人の場合は「イタリア語上演」となります。

ごく稀に、日本語版で上演されることがありますが、実は意外と日本語歌詞の方が聞き取りづらいので、私はイタリア語上演字幕付きをお勧めします。

劇場によって字幕の位置は異なりますが、舞台の両脇に縦型の細長いモニターがあり、縦書きで字幕が付くことが多いです。

※席によっては「見切れ」といって、舞台の一部が見づらい席があります。
見切れ席は値段がリーズナブルなのですが、字幕が見えづらい場合もありますので、不安な方は劇場チケットセンターに問い合わせください。


ヨーロッパの歌劇場、一度行ってみたい!!

☆蝶々夫人は外国人から見た「日本」

日本が舞台ですが、日本の歴史考証の点から見たら「?」だらけだと思います。ただ、あくまでもイタリアオペラですので、ひとつのエンターテインメントとして楽しめると思います。

イタリアオペラは悲劇的結末を迎えるものが多いです。
そして、それは蝶々夫人も例外ではありません。

ざっくりストーリーを説明しますと・・・

舞台は日本の長崎。
蝶々さんはピンカートンというアメリカ人男性と恋に落ちます。
二人は祝言を挙げ、3年の月日を過ごし、子どもにも恵まれます。
やがてピンカートンは母国に帰ってしまいますが、「必ず迎えに来る」と約束し蝶々さんは彼を一途に待ち続けます。
※ここで歌われるアリアが有名(後述します)

実は最初からピンカートンは蝶々さんのことを本気で妻にしようとは考えていませんでした。そして、彼はアメリカで結婚した本妻を連れて来日します。子どもを引き取りに来たのです。
蝶々さんは全てを察し、奥さんには恨み言を言わず「ご結婚おめでとう」と言い、息子もピンカートン夫妻に預けることを決めます。
しかし、女性として惨めな人生を送りたくなかった蝶々さんは自刃し、最後まで気高い女性でいようとしたのでした。

Michikaが勝手にまとめたあらすじですので、細かい点はご容赦ください


日本人女性=清純でおしとやか、高貴
そういうイメージが強く表れている作品だなと感じます。

欧米の人から見ると、日本の美意識や死生観は不思議に映るのでしょう。
細川ガラシャの話が、海外のクリスチャンの胸を打ったのも、日本女性の儚さと潔さという、相反するものが混在しているからなのかもしれません。


オペラ「蝶々夫人」の着物衣装は独特なデザインであることも多いです

★Michika的推しポイント

☆有名アリア「ある晴れた日に」

上述した、蝶々さんがピンカートンを待ちわびながら歌う曲(アリア)です。これは、歌そのものも有名ですが、BGMとしてCMなどにも使われており、悲劇的で豊かな情緒あふれる旋律が特徴です。

主人公の一途さ、愛しい夫を待ちわびている様子、そして薄々彼は帰ってこないと気づいている心情をくみ取ることができます。
ソプラノ歌手であれば、だれでも一度は歌いたい曲なのではないでしょうか。

☆随所に演出の違いが表れる

私は同じ作品でも3人の演出家による「蝶々夫人」を観ました。
オペラ演出の第一人者の方、元歌手の方、そして演劇畑の方の3パターン。

なかでも、印象に残っているのは、演劇畑の方が手掛けた最後のシーン。

最後蝶々さんは自決しますが、子どもはピンカートン夫妻に預けようと決めていますので、一人で自決します。その自決シーンは障子セットの奥で行われ、客席からはシルエットしか見えません。
その障子の前を、何も知らない小さな男の子がお母さん(蝶々さん)を探して走り去る、という演出がありました。切ない・・・

同じ物語でも演出家によって、見え方が変わります。
これだから、オペラも何度も観たくなるんですよね~

★オペラのチケットは高額??

これはYESです。
海外の歌劇場を招聘している場合、S席5万円以上はするでしょう。

しかし、見切れがある席や学生割引などを使えば1万円以内で観劇することも可能です。

でも、1万円も高いですよね(-"-)
そんな方は、バレエと同じく、Youtubeなどでアーカイブをご覧になってはいかがでしょうか。大きなモニター画面があれば臨場感がありますし、家で観ていれば、好きな時にお手洗いに行けます(笑)

あと、新国立劇場は「国立」だけあって、値段は抑えてくれています。
でもキャストやオーケストラは一流!
新国立劇場は、芸術鑑賞が初めての方にも優しい配慮が随所に見られます。

新宿から一駅「初台駅」直結で、アクセスも悪くないので、
目の前で芸術鑑賞したい
お値段は安いと嬉しい

という方は是非ご検討ください(*^^*)


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