マガジンのカバー画像

三国志・考

6
三国志について正史の記述に基づいた事実と私見を綴るシリーズ
運営しているクリエイター

#董卓

【三国志・考】霊帝崩御と世継ぎ問題

【三国志・考】霊帝崩御と世継ぎ問題

 186年、中国各地で起きた大規模反乱「黄巾の乱」は首謀者である張角の病死によって沈静化した。そして朝廷外での問題が収まれば、今度は朝廷内での権力闘争が激しくなってくるのがパターンだ。

 人が三人、集まれば派閥ができると言われるが人間は同じ主義の者で群れたいものなのか、利害が一致する者と意気投合したいものなのか、筆者にはあまり理解できないのだがそういう傾向がある。

 約2,000年前を生きた人

もっとみる
【三国志・考】董卓はいかにして朝廷を牛耳ったのか

【三国志・考】董卓はいかにして朝廷を牛耳ったのか

 189年、宦官と亡き霊帝の外戚とその部下たちが乱を起こす中、宦官二人に都・洛陽の郊外へと連れ出された幼い皇帝・劉弁(諡・少帝)と陳留王・劉協(のちの献帝)

 後漢書・献帝紀によれば郊外で宦官らを討ち、二人を保護したのは盧植らが率いる軍だったとされている。なお後漢書の盧植伝に上記についての記述は見られない。正史・董卓伝では盧植の実行したことがそのまま董卓にすり替わっており、どちらが真実かはわから

もっとみる
【三国志・考】董卓は暴虐の先に何を見ていたのか

【三国志・考】董卓は暴虐の先に何を見ていたのか

 権力者はふたつのタイプがある。
 尊敬され人心を掴む権力者と、恐れられ人心を支配する権力者だ。

 昔、放送していた勧善懲悪のヒーローものでは世界征服を目論む悪の組織が登場するのお約束だが、彼らは何のために世界を征服し、その後はどのように統治していくつもりなのだろうか。暴政を敷く権力者にも同様のことを感じる。

 国民に重税を課しては、やがて労働力が減り財源が減る。自身の主義と合わない者を消して

もっとみる