あえて面白くなかった映画の原作小説を読んでみた
※この記事は4分で読めます。
ちょっと前に元AKB48 板野友美 主演の、
【のぞきめ】という映画を観ました、演技経験もあまりないアイドルの主演映画なので予想はつくと思いますが、もちろん面白くない…
期待せずに見たので別にいいんですけど、
観終わった後にふと気になった事があります。
「面白くない映画の原作ってどうなってるの?」というどうでもいい疑問を感じたのです。
というわけで【三津田信三著 のぞきめ】を買って読んでみたらどうだった?という感想です。
原作結構面白いじゃん!
どうせ小説も面白くないんだろうと思って読んでみたら、名作とは言いませんが結構面白い。
というか話が全く違うんです。
一部小説の内容に沿ってるだけで他は全くの別物。
そもそも原作小説に主役の板野友美らしきキャラは全く出てこない🙄
ドラゴンボールの実写版くらい原作と違います。
小説のあらすじは
作家である三津田信三が趣味で収集している、
人から聞いた怖い話をまとめた物語の一つとして紹介される、【のぞきめ】怪談
物語は二部構成になっており
第一部はとある大学生がリゾートバイトで経験した怪談話
第二部は民俗学者が学生時代に調査した【のぞきめ】伝承をまとめた回顧録
第一部ではネットロアの典型であるリゾートバイト
第二部では民俗学の基本であるまれびと信仰とまれびとの一部として扱われた六部に関わる物語
【ネットロア】と【まれびと信仰】という古今の民俗学を融合させ一つの物語に集約するという結構凝った伝奇ホラーなんです。
民俗学用語説明
ここでごく簡単な民俗学用語説明
ネットロアとは
主にインターネット上で流布している都市伝説を指し、ネットとフォークロア(民俗学)を融合させた造語。
八尺様やコトリバコとかが有名ですね。
リゾートバイトもここに含まれます。
異人(まれびと)信仰とは
閉鎖的な村社会である集落の外からやって来る旅人を異人(まれびと)と呼び、その来訪者は村に新しい情報や技術であったり珍しい物を持ってくる、福をもたらす存在としてもてなす行為が【まれびと信仰】と呼ばれ、古く日本各地に根付いた文化です。
※まれびともしくは来訪神とも呼びます
六部(ろくぶ)とは
六十六部の略で、六十六回写経した法華経を持って六十六箇所の霊場をめぐり、一部ずつ奉納して回る巡礼僧のこと。いわゆる巡礼者でこの六部もまれびととして扱われ村々で歓迎されました。
※民俗学とまれびとをもっと詳しく知りたい人は【ずんだもんと学ぶ民俗学解説】を観てください。
映画はどうしてこうなった?
あらすじに書いた通り原作は古今の民俗学を、
伝奇ホラーとして一つの物語に集約させる作品なのですが、
映画ではその要素は全部すっ飛ばしてただ幽霊が出てきて主人公とその周辺をぶっ殺して行くだけの単純明快なストーリーに変化します。
仕方ないですよね2時間もない映画で2部構成に分けて、さらにサスペンス要素まで加わる原作をそのままやっても、複雑過ぎるしきっと面白くならないんでしょう。
(その点都市伝説や怪談話が全て一つの原因に集約して行く 残穢 は見事でしたね)
だけど別の見方をすればここまで話が違うと逆に原作を新鮮な気持ちで読めるので、
これはこれでアリだなという気持ちになりました。
映画は原作に興味を持つキッカケとして呼水にもなるでしょうでし、
板野友美ファンは映画に民俗学なんか求めてないでしょう、
考え方によってはお互いを邪魔しないWin-Winの関係と言えなくもないですね。
まとめ
実は僕の叔父も作家で作品が映画化もされているんですが、
その叔父に「映画が原作と話が違うのって気にならないのか?」聞いた事があります、
叔父は「まあこれはこれで別物としてアリなんじゃない、解釈もいろいろだしね」と懐の深い事を言っていました。
皆様も原作レ◯プなどと言わず映画は映画、小説は小説として楽しみましょう。
話が逸れてしまいましたが「ホラー映画ってどれも安っぽくて怖くねえよな」って感じる方はぜひ原作を読んでみてください。
意外な名作に出会うチャンスかもしれません。
【のぞきめ】
読むとゾクリと来るネットロアの醍醐味を活かしつつも、本格的な伝奇ホラーとサスペンス要素も楽しめる内容で、
400ページありますが展開が早く読みやすい文章で、長く感じさせないテンポのいい作品でした。
ただ一個だけ不満があるとすれば登場人物の名前がことごとく、難読漢字で覚えづらい…
格好つけてるのかもしれないけど狙い過ぎでそこは逆に寒かったです。
小能枝(このえ)って普通読めないだろ…
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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