大きな人

春風が横切り

木々が頬を染める。

自販機のあったかい飲み物が消えてしまうのが寂しくて買ったコーンポタージュ。

ダブルベッドは相変わらず広すぎて

端っこで寝る癖はきっと直らない。

時間の流れが早くなったのか

私の足取りが重くなったのか

いつの間にか重ねた歳を数える。

いよいよ両手足でも指を折れなくなった。

成人式の前撮りもしていなければ

今年やるらしい2年越しの式の日程すら把握していない。

もう大人だっていうのに

大人になるのが酷く怖い。

「こんな大人になりたい」

と思う人は大抵

何歳になっても子供のような人だった。

瞳の奥にある純粋さが

あまりに眩しかった。

世の中の大体は

なりたくてもなれないものなのに

大人ってやつは

どうやら嫌でもなれるらしい。

タイミングはきっと人それぞれで

私にはそれが多分、

今なんだと思う。

1番大切にしたい人をよく怒らせる。

1番話したいのに言葉が出なくなる。

やっと見つけた言葉と一緒に

涙が溢れる。

大人になれという君を

幾度となく困らせた。

なりたい大人が見つかったから

もう少し、あと少しだけ、

待ってはくれないだろうか。

たまに子供のように甘える君を

両手いっぱいの愛で抱きしめられるように

ただ真っ直ぐに愛を受け止められるように

君の前では

大人気ない嘘も

子供っぽい言い訳もないように

私と君で話をしたい。