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パーティーガール

喉が熱くなるほど飲んだ夜
力尽きて真冬の公園でうずくまって眠った
初めて飲んだお酒のほろ苦いオレンジジュースの味
思い出せるのは、もうそれだけになってしまった

特別に陽気な性格というわけではないが
なぜか友達は多い方だった。
きっちり20歳になるまで飲酒をしなかった。
絶滅危惧種少女は今や、限界キッチンドランカーへと成り果てた。
楽しかった夜の記憶は段々と薄れて
炭酸の抜けたぬるいレモンサワーみたいになっている。

好きだったバンドマンにおすすめのお酒を教えてもらった日から
ライブハウスで飲む一杯目は必ずそれになった。
当たりはずれのあるタイプのヤツ。でもとびきり早い。
好きか嫌いかで言えば、まぁ、愛ってこんな味かなと思う。

数年前は、パーティって呼ばれる場所によく出入りしていた。
沢山の人がいて、随分と賑やかだったことを覚えている。
ミラーボールってほんとに意味あるんだなんて思ってた気もする。
年齢も住んでいる場所もなにもかもが違う、ちぐはぐな全員が
小さな部屋で同じ音楽を聴いていた。
煌びやかだった。あの時間が全部、宝物だった。
そっと仕舞って大切にしておこう。
いつか私も忘れたころに、のぞける場所に置いておこう。

恋の甘さを知るには遅すぎて、愛の苦さを知るには早すぎた。
拗らせた思考回路を、ほぐすように日々を歩んでいる。
毛糸の絡まりは、無理にほどこうとしてはいけないの。
優しく、押し広げて、いつか糸口を見つけたときに、心も緩んでいるはず。

恋人と瓶ビールをはんぶんこするのが夢だった。
ほんの最近叶えることに成功し、胸がいっぱいになった。
2/3は私が飲んだのだけど。
お酒にもいいところがあるかもしれないな、などと
ほろ酔いで少し素直になった感情を抱きしめてみる。
今度さ、川辺までお散歩しようよ。
晴れた日、昼間から外でお酒を飲むのも、夢なんだ。

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