珪藻土コースターは自分の心のようだった。

あれから沢山の心温まる言葉が溢れている。
Twitterでもネットニュースでも
もちろん、テレビのニュースでも。
最後には必ず相談して下さいと
相談先の連絡が表示される。
誰かに話す事で楽になれる事もあります。
その通りです。
誰かに聞いてもらうと楽になれる。
でも、それも一瞬のこと。
悲しい出来事の連鎖がこれ以上続かないように。
その気持ちは分かる。
でも、連絡するかもしれない側の人間には
優しい言葉はあまり染み込んでくれない。
それは珪藻土のコースターのようだ。
どんなにキンキンに冷えたグラスを置いても
水滴は一瞬のうちに消えてなくなってしまう。
私の心に届く言葉も同じ。
一瞬、救われる。
そっかぁ。弱くても辛くても生きていればいい。
そう思わせてくれる。
でも一瞬で我にかえってしまう。
水滴がすぐになかったことになるように。
だって言葉では根本の解決には至らないのだから。
その方法が分かれば道にも迷っていない。
沢山の人がきっと助けたいと
自分が役に立てる事があるのならと
思ってくれているのだろう。
話す事で楽になれたとしても
それは一瞬、長くていっときの事だ。
そしてふと思い出す。
今、道に迷っているのに誰も進むべき方向も
進み方も教えてはくれていない事を。
それは自分で見つけるしかない。
分かっている。
探し続けている。
それでも見つからない。
だから、生き辛さを感じているのだ。
お金がないなら働けばいい。
働けないならどうすればいいのか。
病気なら治せばいい。
どうすれば治るのか。
自分の環境に苦しんでいるなら環境を変えればいい。
どうすれば環境を変えられるのか。
そこまで誰か教えてくれるのだろうか。
何年もその答えを探して
２４時間３６５日考え続けている人に
そんなに向き合い続けている人が見つけられない答えを
気づかなかった答えを教えてくれるのだろうか。
そんな仙人のような人がいるのなら是非教えて欲しい。
相談窓口ではなく仙人のいる所を。

尊い命を大切にして下さい。
尊い命なんて思える人は大丈夫だ。
誰かに話そうかと思えるだけでも大丈夫だ。
途方に暮れたらそんな事思わない。
寧ろ説得されたり生きろと言われることが
嫌になってしまっているのだ。

Twitterでは色んな人が自分に相談してくれと
そう言っている人が沢山いた。
凄いことだ。
凄いことが起きている。

珪藻土のコースターは使い続けると
やがて水を吸わなくなる時が来る。
途中で天日干しなどをしなければいけない。
私の心もそんな優しい言葉を浴び続けたら
今のこんな気持ちが消えて
生きようという気持ちで溢れる日がくるのだろうか。
私だけではない。
同じような状態の人達の心にも
その心の奥にまで言葉が染み込む日が来るのだろうか。

何もしなかった珪藻土コースターは
水を吸わなくなりコースターの場所が湿ってしまうようになった。
私の心もいつかそうなって欲しい。
そうなれるのなら
もう少し頑張れるかもしれない。
踏ん張れるかもしれない。

今はそんな楽観的には思えないけれど
こうして気持ちを綴っているのだ。
少しは染み込ませることが出来たのではないか。
今日はそう思って生きよう。