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感想「夕凪の街桜の国」(こうの史代)

こちらの感想ではネタバレは極力入れません。
ぜひ、未読の方に興味を持ってもらえたらと思います。配信アプリ「ツイキャス」で、この本の紹介しながら、配信を見ている方とおしゃべりもします。
紹介する内容、ピックアップする点は基本的に記事と同じです。
しかし、ライブ配信なので、予定調和にはなりません。

**配信予定日時

8月5日(月)21:00〜**


https://twitcasting.tv/c:eureka0202

*ツイキャスを見る際に、会員登録等は不要です。

*リンク先は八朔の配信ページに直接繋がっていますので、お気軽にどうぞ。

※アーカイブ視聴も可能です。

このお話はまだ終わりません(p34)

あらすじ

昭和30年。
原爆が落とされてから10年経った広島の街で皆実は母親と二人で平凡に生きる。
皆実の生活、考え方、彼女の全てには、原爆によってもたらされた『モノ』がすぐ隣にある。

あの日もそこで人々は生きていた。
それから、何十年経った今も、そこで人は平凡に生きています。

感想

「この世界の片隅に」の作者、こうの史代さんの作品。
広島の過去と現代を繋ぐ、漫画です。
私がこうの史代さんを知ったのは、この作品からでした。
小学生時代の平和教育により、すっかり「原爆」「戦争」というテーマにトラウマができていた私が、改めてそのテーマに向き合うことができたきっかけの作品です。

1945年8月6日8時15分。
広島に原爆が投下された日時です。

物語の舞台は、その10年後。
復興が進む中で、人々が活気を取り戻しながらも、街も人も傷跡を抱えている広島が舞台です。
皆実は原爆の被害を受けながらも生き残った母親と共に、バラックで暮らしています。
職場の同僚とワンピースを作り、疎開した親戚の家にそのまま住む弟からの手紙を見ながら笑い、銭湯に向かう。

彼女にとっての日常、平和。
ショッキングな内容は少なく、でもたしかに「ヒロシマ」を伝えてくれます。

そして、もうひとつの物語。
石川七波の話。
彼女は被爆二世です。
七波にまつわる物語は、なんにもないように見えて確かに残っていたヒロシマの傷の話です。

けして長い漫画ではないので、なにかの折に見ていただきたいです。

ここからは私の話です。
私の親族に被爆者はいません。
広島県に生まれ、家族で平和資料館に行き、途中で気持ちが悪くなって展示の半分ほどは全く見ることなく、資料館を出たのは、小学一年生。
8月5日くらいには全校集会がありました。体育館の壁には、原爆の被害を物語るモノクロ写真のスチールが貼られていて、それらにかこまれて、戦争を知る人の話を聞き、平和に関する歌を歌いました。
小学5年生の頃には、社会見学で平和資料館を訪れました。
同級生の目があったからでしょうか。
その時は、気持ち悪くなることはなく、全ての展示をみんなと同じスピードで見て歩きました。
大学生になり、県外からやってきた子が、平和資料館に行こうと誘ってくれました。
私は、行きたくない、と言いました。
社会人になり、職場に向かうバスの中から、毎日のように原爆ドームを見ていました。

その日も仕事に向かっていて、ふと、人の多さが気になって日付を確認すると、8/6でした。
あぁ、今日か、と思いました。
引っ越した今、うっかり忘れてしまいそうになっています。
それがなんだか、辛いと思います。

だからこそ、私は、この本を紹介したいと思います。



お前はもっとできると、教えてください。