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乗法的効果【エッセイ】九〇〇字

文章を読むいう行為は脳のネットワークを変化させる。筋力トレーニングのように目には見えない。見た目が逞しくなり異性にモテるようになるわけではない。そのままでは。

語ったり文章を構築する際に少しずつ知的なしゃべり方をしたり含蓄のあるものを書けるようになるかもしれない。効果はなかなか(本当になかなか)現れない。しかし、大きな船を急に止めることは不可能なのと同じように、ひとたび力を得れば勝手に進んで行く。

それは脳のネットワーク構築の仕組みに由来している。神経の伝達の仕組みは加法的ではなく乗法的に作用しているからだ。知能指数は100と101では雲泥の差がある。地震のエネルギーを表す単位マグニチュードと同様に対数なのである(指数って書いてあるでしょ?実数で表すとマグニチュード同様に数値が大きくなりすぎてわかりにくいからだ)。それを知っている人は意外と少ない。感覚的に数値を理解する時、我々は加法的に判断しがちだから仕方ない。

思い悩んでいる時、答えのない問題を解いている時。ふと気づく時がある。今まで結びついていなかった(もしくは活動電位が低かった)神経細胞が何かの刺激で結びつくからである。

普段から良質な情報に触れて良質なネットワークを構築するようにしておくことは多くの選択肢を導き出す助けになる。時には全然自分が興味を持たないような文章を読むのはいいかも知れない。

一般的な知能の人間には到底理解不能な「リーマン予想」という超有名な数学の命題がある。

随分前にNHKの番組でこのリーマン予想を解いたという数学者の特集がなされていた。ちゃんと解けているかどうか精査するのに数年別の数学者がかけて行うと番組で語られていた。果たして解けていたのであろうか?

リーマン予想は私の限られた知識の理解で一言でいうと、素数の出現法則を証明するものらしい。番組中リーマン予想の式と原子核の電子の存在領域だかなんだかの式が酷似していると述べられていた。数学者と物理学者のどこかの大学の先生がコーヒールームだかなんだかで交わした会話で偶然ふたりが気づいたらしい。

そこからリーマン予想の国際的な学会が発足して・・・などとなかなか興味深いが全く理解できないテレビ番組だった。

凡人が導き出せる教訓としては、何気ない会話が大事だよね。


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