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【書評】こんなんいかが?

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忘れた頃になんども読み返す愛すべき紙の束。カバーについた手指の脂、紙の匂いと手触り。それはともに過ごした時間の記憶。本はもはや生きもの。
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2023年12月の記事一覧

「知る」はサミシイ。「驚く」はいつもワクワク。だから「不思議をただ驚いていたいんだ」  国木田独歩。

「知る」はサミシイ。「驚く」はいつもワクワク。だから「不思議をただ驚いていたいんだ」 国木田独歩。

存在理由が欲しい人間

 人はどうしたってそこに「理由」がないとどうにも居心地が悪い。
理由って因果や目的、つまりストーリーといってもいい。
でも、悲しいことに、神さまって、たぶん、宇宙の創造物たるものすべてに、なんの存在理由=ストーリーも与えていないのかもと思う。
自分も宇宙も、ただ「在る」だけ。
 意味などない。
 しかしこれって、考えるほどになんだか怖くなってくる。

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ブンガクって逃避? それを聞き捨てならない人、それが当たり前の人。

ブンガクって逃避? それを聞き捨てならない人、それが当たり前の人。

人々の最後列で丹念に落とし物を拾っていく

 いつだったか作家の高橋源一郎さんが講演で、「文学は逃避だ」と、苦笑しつつあきらめ顔で叫んでいたのを聞いて、ぼくは哀しい気持ちが湧き起こりながらも、同時に「やっぱりな」という思いも抑えることができませんでした。
 もちろん、高橋さんはそこに積極的な意義を込めてはいるわけです。

 作家の小川洋子さんも、文学というのはかつて生きた人々の最後列にいて落としも

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