kikuchi kano

シルホイールと倒立を学んでいます。沢入国際サーカス学校在学/2023.04~

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シルホイールと倒立を学んでいます。沢入国際サーカス学校在学/2023.04~

最近の記事

憧憬を追う #1

目指すものがあるということは、向かっていく先があるということで、それは嬉しいことだと思う。 今日進むことができることの最大値まで技術を上げられるようにすること。いつも頭の片隅に置いている。 発表会までに作品が仕上がるかもしれない、かたや仕上がらないかもしれない。肌感でどちらも感じていて、当日までに理想にどこまで近づけているか未知数だ。 体調は万全ではないから気持ちも弱くなる。でも、家に帰ってどれだけ弱音を吐いてもいいから、今目の前の練習だけは心身ともに向き合おうと思った

    • 現在地

      サーカス学校の発表会は来週末にある。 今日を入れてあと10日。 発表会に向けて新しい作品を作っている。 華やかでエネルギーを感じられる作品にしたいと思って、今までの応用の技や動きで構成を組んだ。 作品は5月の後半から作り始めた。準備期間が2カ月とない中で作品を仕上げるなんて無茶だ。でも無茶だと言ったらそれで終わりだともう一人の自分が言う。 無理をしてもしなくても、作品を完成させられるか分からない。 練習は進んでいる。できる技や動きは増えている。 長期的に見れば、シルホ

      • 静かな夜明け

        サーカス学校へ戻って二週間。 宮城へ戻っていた三カ月が回り道だったのか、近道だったのかは分からない。でも、持って帰ることができたこともある、今はそう思っている。 映画「CODA あいのうた」で歌われた「Both Sides Now」という曲を聴いて、自分自身を重ねていた。学びの場を離れ、何を失ったのか、何を得たのかを日々思い巡らせる自分の気持ちを支えてくれていた。 全ての物事は移り変わっていく。 季節が巡るように。 サーカス学校の花壇に素敵なひまわりが咲いていた。 体

        • 2024.05.09

          幸せという感情を本当の意味で知ったのはいつだろうか。そう遠くない日のような気がする。 生きる意味はと聞かれたら、思い浮かぶのは高校生の時の自分。誰かに生きる力をもらったように、多くの人の想いに支えてもらったように、次は自分自身が誰かの力になれることを望んでいる。誰かの支えになれることを心から願っている。 つらいことも悲しいこともあるかもしれない。でも、楽しいことや嬉しいことに出会うかもしれない。生きる意味や生きる価値があるかもしれない。一緒にたくさんの時間を過ごす中で、ほ

        憧憬を追う #1

          移ろい #4 | Essay

          今日は一日体育館に行って練習していた。 家の隣の公園の桜は、昨日や今日で満開になった。 今まで書いたことがない倒立のこと。 一か月ほど前から、サーカスアーティスト/コーチの杉本峻さんに指導を頂いて倒立の練習に力を入れている。 まっすぐの倒立も、膝を抱えた形の倒立も、コントーションのように背中を曲げた形の倒立も、それぞれ長くとまれるようになった。 倒立に必要なスタミナや筋力がついて、手や腕、体全体でバランスがとれる。バランスをとっている中で少しぶれても、修正して倒立をキープで

          移ろい #4 | Essay

          移ろい #3 | Essay

          今日は一日体育館にいた。隣の市の塩釜体育館で練習していた。 来月の体育館の広報に載せたいので…と今日体育館の職員さんから取材を受けた。いくつかの質問にお答えして、冬の発表会で作ったパフォーマンスもお見せする運びになった。冬の発表会の時より技が安定したスーパーマンや他の名前のない技がパフォーマンスで決まった。よかったなあと思う。 練習をしているとき、隣には地域の卓球サークルの方々がいらっしゃった。ある方が帰るときに、「まだ練習するの?」と声をかけてくれた。はいと答えると手で

          移ろい #3 | Essay

          移ろい #2 | Essay

          今日は晴れてとてもいい天気だった。雲一つない青空だった。あの日もそうだったろうか。 2011年、私はとても幼かった。昨年、地域紙の河北新報に、ある経験談が何日にも渡って特集されていた。3月11日、津波に呑まれながらも助かった方の証言だった。 他にも当時のことを見聞きして、どれほど事が大きかったのか、悲しみがどれほど深いものだったのか、その片鱗を知った。 地元は多賀城という街。市の駅前には「多賀城市 追悼式」と表され、献花台が設けられていた。昨日や今日、多賀城だけじゃない他

          移ろい #2 | Essay

          移ろい #1 | Essay

          明日は明日の風が吹く そんな言葉が頭をよぎる。 今、宮城にいる。そして、近くの体育館へ通ってシルホイールを練習している。理由は、後の記事で書くかもしれない。 体育館へ行くたびにシルホイールを組み立てているから、組み立てるのがとても速くなったという冗談は置いておこう。 「夜明けのすべて」という映画を見た。 原作の本の空気感そのままだった。心や体が自分の思い通りにならないつらさを抱えているけれど、自分が誰かにできることを考えて時に支えあう二人の物語。 本には、映画では語られる

          移ろい #1 | Essay

          車窓のありか #2

          健康って幸せなんだと思った。 どこかのおじいちゃんの言葉みたいだけれど、今は心からそう思う。 体の内側からエネルギーが湧く感覚。外に出て走れる、筋トレをして練習ができる。その瞬間が本当に嬉しい。 茶番でもなんでもなく、外で日の光を浴びているだけで幸せ なんて今まで感じたことがなかった。失うからこそ見えるものがあるのかもしれない。

          車窓のありか #2

          車窓のありか

          本を読むことが好きだ。 エッセイも、小説も、そのほかのジャンルの本も。 エッセイでは、その人の言葉を見聞きして考えや思いに触れられる。 小説では、その物語の世界観に浸ることができる。 最近、一年ほど前に買って手元に置いていた心理学の本を読んでいる。 高校生の頃から、人の気持ちがどんな時にどう動くのかということに興味があった。自分の心の動き、誰かの心の動き、どれも一様ではないけれどどこか共通しているところがあるように感じていた。本を読んで新しく知ったことが自分の経験と重なった

          車窓のありか

          居場所

          当たり前ではない尊い日々が目の前にあること。それはとても幸せなことだなと思った。 昨年の11月頃に、ふとしたことである歌を聞いた。 ミュージカル Wicked の「For Good」という歌。海外のオーディション番組で女性の方2人が歌われていた。 歌われているお二方の背景と自分の今とはもちろん異なるけれど、歌われている姿や歌詞が、自分の気持ちと重なる部分がとても多かった。メロディーが頭の中をこだまするくらいに、日付を超えてもずっと聞いていたのを覚えている。 一昨日あたりに

          道程のかけら

          今日、帰省していた宮城から群馬へ戻った。一週間と少しの間、いる予定。 成人式と同窓会が一昨日にあった。 みんなそれぞれの道で勉強や仕事を頑張っている。一つの節目に旧友と再会できたことは、とても新鮮で嬉しかった。 シルホイールでは、12月末から練習していた 片手を離したベーシックステップが安定してきた。片方の手を離しているのでもう片方の手で動きを付けられる。応用ができる。そのスタート地点に立てたことが嬉しい。 冬の発表会が終わってから、動画でパフォーマンスを見ていただいた

          道程のかけら

          2023年の足跡

          昨年は、多くのことを学び得た年だった。 そして、人との出会いやつながりに様々な面で恵まれた年だった。 2023年の大きな出来事。 一月には、香川の瀬戸内サーカスファクトリーさんの練習場所へ伺った。 日本のシルホイールの第一人者、油布直輝さんに初めてシルホイールをご指導いただいた。直接教えていただけたこと、習うことができたことがとても嬉しかった。 三月、自動車学校を卒業して免許を取った。 四月、サーカス学校へ入学した。 体を使ったアクトのほか、現在サーカス学校の講師である油布

          2023年の足跡

          ひだまりのように。| 歩みを紡ぐ #8 | Essay

          12月16日,17日は、サーカス学校の冬の発表会だった。2日間とも天気に恵まれて、ありがたいことにあわせて170人を超える方にお越しいただいた。 発表会で披露した演目は、夏と同じくシルホイール。4分のパフォーマンスに夏からのおよそ4カ月半の過程を詰め込んだ。 今回は、描きたいテーマをもって作品をつくった。それは「ひだまりのようなあたたかさ」。シルホイールが自分のかたわれとなって、シルホイールとの関係性が深まるにつれてあたたかなエネルギーに包まれていく様を描いた。 音楽に

          ひだまりのように。| 歩みを紡ぐ #8 | Essay

          歩みを紡ぐ #7 | Essay

          たくさんのものごとが力をくれる。 一週間と少しの間、いつよりも増してそう感じていた。 今までに出会った音楽も、どなたかの言葉も、 私自身の心をおだやかにしてくれた。時に、向き合うべきものに向き合う勇気をくれた。 そして、たとえ体の調子が揺れることがあっても、しんどいと思うことを感じても、その思いに呑まれることなくいられるのは、今日や明日に笑顔でいられる時間があるのは、本当に多くの人のやさしさに支えられているから。 皆さんありがとう。 P.S. たまにはシルホイールのこ

          歩みを紡ぐ #7 | Essay

          歩みを紡ぐ #6 | Essay

          ここ一カ月くらい、練習での疲れを除けば体の調子がいい。 少し前まで、どうしても自分では調子を保つことが難しい時があった。おそらく体のリズムが関係していて、調子の崩れてしまう日々をなんとかやり過ごすということが2,3年ほど続いていた。 毎日の練習や仕事に支障がないくらいには元気でいたいと思って、自分の調子に向き合うことにした。結果、体はとても穏やかな感じ。よかった。 元気をなくしているときに支えてくださった皆さん、ありがとう。 今日は発表会前の初めてのネタ見せだった。 作品の

          歩みを紡ぐ #6 | Essay