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正社員とフリーランス薬剤師の手取りを徹底比較!福利厚生の違いも

フリーランス薬剤師として働いてみたい方のなかには、「フリーランスになったら健康保険や年金の制度が変わると聞いたけど、具体的にどう変わるんだろう?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。

「フリーランスは福利厚生が手薄だ」
「フリーランスになると健康保険料の支払額が上がる」

などの情報を耳にして、不安になっている方もいることでしょう。この記事では、健康保険や年金など、会社員とフリーランスで大きく変わる制度について解説しています。

主にお金に焦点を当てて、手取りがどれだけ変わるのかも比較してみました。フリーランス薬剤師の年収や福利厚生の内容が気になる方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

年収の違い

まずは正社員とフリーランス薬剤師で、年収を比較してみます。厚生労働省が2021年に発表した賃金構造基本統計調査によると、正社員薬剤師の平均年収は約543万円でした。

一方フリーランス薬剤師が正社員と同程度の時間働いた場合、年収は下記のようになります。

3,000円/時間×40時間/週×4週間/月×12か月=576万円

フリーランス薬剤師は最低賃金が3,000円以上に設定されているので、地域や薬局によっては上記の年収よりもアップするかもしれません。

正社員とフリーランス薬剤師の年収については下記の記事でも比較しているので、気になる方はぜひ読んでみてください。

社会保険と国民健康保険の違い

フリーランスになると社会保険から外れ、国民健康保険へ加入することになります。社会保険や国民健康保険の支払額は、都道府県や地方自治体により異なります。

SUPPONDが主に展開している福岡県の場合、会社員が加入する社会保険とフリーランスが加入する国民健康保険の金額は以下のようになっていました。

社会保険:年収543万円の場合は月額22,462円(福岡県の場合)
参考:令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表

国民健康保険:年収576万円の場合は月額49,051円(福岡県福岡市の場合)
参考:令和5年度 国民健康保険料の保険料率

社会保険は会社と折半して支払う制度のため、フリーランス薬剤師と比較して負担額が少なくなっています。

フリーランスの場合、健康保険料は会社員と比較して年間で319,068円多く支払うことになります。

同程度の年収でも、フリーランスになると健康保険の負担は大きくなることを知っておきましょう。

また、社会保険と国民健康保険では、保証内容にも違いがあります。内容の違いについては下記の記事でまとめているので、気になる方は合わせて読んでみてください。

厚生年金と国民年金の違い

年金制度も、会社員とフリーランスでは異なります。会社員は2階建て構造の厚生年金、フリーランスは1階建て構造の国民年金です。

厚生年金は都道府県により支払額が異なります。それぞれの年金制度における支払額は下記の通りです。

厚生年金:年収543万円の場合は月額40,260円(福岡県の場合)
参考:令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表

国民年金:月額16,520円(令和5年度の場合)
参考:日本年金機構

国民年金は、年収によらず納める金額は一定です。厚生年金は、年収により金額が異なります。

また2階建て構造のため、国民年金よりも納める金額が大きくなっています。年間では、厚生年金のほうが国民年金よりも284,880円多く支払うことになるのです。

なお厚生年金と国民年金は構造が異なるため、将来支払われる年金の支給額にも違いがあります。

厚生年金:月額約112,000円/人
国民年金:月額約66,000円/人
参考:日本年金機構

支払額は月額23,740円の差ですが、支給額は月額約46,000円の差になっています。厚生年金は支払額が大きいものの、それ以上に支給額が大きくなるのですね。

国に納める金額は同程度だが内容は正社員の方が手厚い

健康保険料はフリーランスのほうが支払額が大きく、年金は正社員のほうが支払額が大きいことがわかりました。両方を合わせると、正社員とフリーランスの間に支払額の大きな差はありません。

ただ、全体的に会社員のほうが、フリーランスよりもサポート内容は手厚くなっています。

たとえば出産手当金や傷病手当金は、社会保険だけについている内容です。

国民健康保険のほうが私たちの支払額は大きいのですが、サポート内容は手薄です。(参考:押さえておくべき社会保険(健康保険)と国民健康保険の違い

年金についても、厚生年金のほうが国民年金よりも将来の支給額は大きくなっています。

もちろん支払額も厚生年金のほうが多くなっています。ただ、支給額を比較すると、支払額以上のリターンがあるといえるでしょう。

フリーランスは年金対策を自分でカスタマイズできるのが魅力

国に支払う金額が同程度でサポート内容が手薄なら、フリーランスになるメリットはないのでは、と感じる方もいるかもしれません。

ただ、フリーランスの場合は、年金対策を自分でカスタマイズできるメリットがあります。フリーランスが活用できる年金対策には、以下のようなものがあります。

  • 国民年金基金

  • 付加年金

  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)

  • 小規模企業共済

厚生年金の場合、支払額は年収に合わせて自動的に決まります。しかしフリーランスは、自分の経済状況に合わせて掛金を自由に決められるのです。

それぞれのサービスに関する詳しい内容は、下記の記事で紹介しています。フリーランスの年金対策が気になっている方は、ぜひ下記の記事も合わせて読んでみてください。

メリットとデメリットを理解したうえで働き方を考えよう

正社員とフリーランスが同程度の時間働くことを想定した場合、年収に大きな差はありません。また、健康保険料や年金の支払額にも大きな差がないことがわかりました。

既存の制度のみを利用した場合、フリーランスのサポート内容は会社員よりも手薄になってしまいます。

一方で、自分の経済状況に合わせた年金対策ができるメリットもあります。会社員とフリーランス、それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、これからの働き方を考えていきましょう。

なお、フリーランス薬剤師になって収入が安定しないことに対する対策について、下記記事で解説しています。気になる方は、ぜひ合わせて読んでみてくださいね。

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