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大事なことを「大事です」と言える社会へ。ゆりさんが「気候変動を考える場」をホストする理由

「みんなの気候変動ゼミ・ワークショップ」のプログラム・コーディネータ兼代表ホストとして、チームメンバー、そして参加者のみなさんと共に走ってきた牧原ゆりえさん(ゆりさん)。

ふだんは一般社団法人サステナビリティ・ダイアログという会社で場作りをしていますが、どうして札幌市のプロジェクトに関わることになったのでしょうか?そしてその根源にあるものは何なのでしょうか?

前回の佐竹さんインタビューに続き、今回はゆりさんにお話を伺います。

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─お話を聞いた人─
牧原ゆりえ(まきはら・ゆりえ)さん
スウェーデンのブレーキンゲ工科大学大学院を卒業したのち、一般社団法人サステナビリティ・ダイアログ代表理事として、Art of Hostingというグローバルのコミュニティの世話人をしています。


─まずは、ゆりさんのこれまでの活動と思いについてお伺いできますか?

「つながり方が変わったらもっといろんなことが楽しくなるんじゃないかな」という思いのもと、対話というツールを使って活動してきました。

過去、静岡のあるプロジェクトで、まちに帰ってくる素養は「繋がり」だというお話が挙がったことがありました。「仕事がないんだよね〜といえる友達がいれば、仕事がなくても帰ってくる」と。ただ、小さいまちの取り組みは大都市では通じないと言われることが多々あって、それを残念に思っていました。札幌市のような大都市でも、帰ってきたくなるつながりは見つけてみたい。

地縁は薄いけど、帰ってこられるまち。ここにいてもいいというまち。自分が住んでいるまちも、そうなったらいいなとすごく思っています。小さい火がまた帰ってきて、「あそこにいくとなんだか話せるね」となることが必要な状況だと思うので、その火がゆっくりと育つような場をみんなで作れたらいいなと思います。

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─「みんなの気候変動ゼミ・ワークショップ」にホストとして参加したのは、佐竹さんからのお誘いがあったと伺いました。それを受けて、手を組むことにしたきっかけは何だったのでしょうか。

私は大学院で気候変動を学んでいたので科学的なお話は知っていたのですが、気候変動だから!と人の行動に訴える人たちを信用できなかったし、「なんか好きじゃなかった」んです。だから、それまで気候変動と名のつく活動には一切関わっていませんでした。佐竹さんから最初にお話をいただいた時も、「気候変動は人為的な原因ではない」という可能性すら持っていたくらいです。

でも、「気候変動の対策」と「私の考えている、やらなくちゃいけないこと」はソリューションレベルでは重なることが多いことは知っていて、私が何かしたいなあという思いはあるんですと伝えたら、佐竹さんは「一緒に組みましょう」と言ってくれました。そういう人の器には入ってみたいなと思ったし、その中でできるつながり方を作っていくことに役に立ちたいと感じたのを覚えています。

もちろん、自分のやりたいことと完全に重なるわけではないのですが、佐竹さんを応援するつもりでやろうと思いました。だから、佐竹さんからのお誘いでなければチームに加わらなかったかもしれませんね。

─佐竹さんたちと実際に場を開いてみて、どんなことを感じましたか。

自分でも意識していなかったのですが、どこかで私は「自分の大切にしたいことを曲げない、という観点から、やりやすそうだと感じる場を選ぶ」というクセがあったように思います。だから誰かと一緒にさせてもらうということは、どこかで自分に嘘をついてしまうかもしれないと最初はドキドキしました。でも場が与えらたのだからそこでチャレンジすれば良い、そして実際に何が起こるかはやってみなければ分からないなと知りました。

今では、パワフルに繋がっていけたら、どんな場でもできないことはないと思っています。「一緒につながって生きていこう、頑張っていこう」という人がいるならば、そのための場はどこでもよくて。

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─みんなの気候変動ゼミ・ワークショップに限らず、どのような社会を作っていきたいと考えていますか?

一人ひとりが自由に生きることができる社会になったらいいなと思います。自分の大事なことをやってみても受け入れてくれる場があって、自分がしていることをそのまま伝えられる。その場に無理に合わせたりするのではなく、大事なことを大事ですと言えるような

また、全体をいっぺんに変えることはできないので、誰かを「説得する」のではなく、何かやり始めることで「あの人たちは何だかよさそうね、楽しそうね」という輪を作って広げていけたらなと思います。
 
─そこに付随する、ゆりさんの個人的な熱意も聞きたいです。

子供たちに自由でいていいよ、と何らかの形で伝えていきたいです。子供の不安が消えないでいる、ということは、社会の状況が悪化しているように感じています。そして、子供たちの幸せを考えるなら、どこの子供たちも幸せにならないといけない。自分の子供だけが幸せになればいいわけではないんです。

だから、何を考えているかわからない大人に子供たちの時間が侵食されているのを見ると、とてももどかしい。私はせっかちなので(笑)。息子たちの代のみんなが幸せになるには、私たち大人が、使えるものはみんな使って、とっととやらないと!と思います。佐竹さんと同じことができる人が全国にいる保証はありませんが、呼びかけに応える人に出会えるかもしれないと信じてこのブログを企画しました。

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─今後の進み方について、どんなふうに考えていますか。

何かに向かって歩いてはいるんだけど、それがなんだかはわからないというのが難しいところです。ただ、何かのために今を犠牲にしているというよりは、やることに意味がある、やるたびに意味が見つかる、ということをみんなで共有していければいいなと思います。自分が完璧にできてなくても、みんなと一緒なら何かできるかもね、と思ってもらいたいな。

─ ─ ─

大事なことを大事だといえる、自由でいられる社会を目指して活動していたゆりさんは、佐竹さんからの熱いお誘いに共鳴し、「みんなの気候変動ゼミ・ワークショップ」のホストとしてチームに参画しました。「場が与えられたら、そこで自分のミッションに全力を尽くすことで次の場が開く」。それを信じ、様々な変化に直面しながら共にプロジェクトをデザインしています。

何に突き動かされ、どこに向かうのか。参加者のみなさんも、気候変動ゼミ・ワークショップに参加した理由は人それぞれかと思います。でも、だからこそ、そんな異なる考えを持った私たちが一緒に何かをつくるということには、大きな意味があるのではないでしょうか。

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