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家族が集まる日にはすき焼きを〜Adeus, Lara! さよなら、ラーラ!〜

 日本がお盆休みを迎えていたこの日曜日は、ブラジルでは父の日でした。子供たちはオットにささやかな贈り物をして、オットは祖父母や父の眠るお墓に一人でお参りに行っていました。世界中で不安が募るご時世。その上に家族の健康問題や仕事の悩みなどcriseが重なり、一人静かに故人と向き合いたい心境だったのでしょうか。

 カナダから単独で帰国中の16歳の姪っ子が、土曜日の夕飯に義弟と一緒にやってきました。北半球は夏の休暇の時期。3ヶ月近くを普段は離れて暮らす父親と過ごし、20日にあちらに戻るそう。彼女の送別の会でもありました。

  客人を迎えるこの日の夕飯はすき焼きに決定。文句なしに美味しいし、寒いこの時期にぴったりなメニューです。なんと言っても、鍋奉行がオットなのは私にはありがたい限り。肉と野菜をたっぷりと用意して後は白米を多めに炊き、別腹のデザートがあれば皆お腹いっぱい。

 金曜日の朝市で買った新鮮野菜の中で、すき焼きのために用意したのは :

 
 玉ねぎ
 白菜
 青梗菜
 イタリアンパセリ
 (イタリアンパセリのブーケの中に紛れていた)
 細ネギ少々
 しめじ
 もやし
 クレソン(春菊の代わり)

 そして、豆腐はしっかりとした沖縄の島豆腐。(焼き豆腐は見かけたことがないかもしれません。)
 
 糸蒟蒻、しらたきの類いは見つけられなかったので割愛。

 メインとなる薄切りの牛肉。
 薄切り肉は普通のスーパーにはないため、東洋人街で買い求めた冷凍品です。こちらでは霜降りの高級牛肉は一般的ではなく、庶民的な赤身肉(contra filé サーロイン)となります。同じ店で豚の薄切り肉も手に入ります。

牛赤身肉1キロのパック。
薄切り肉がくるくると巻かれて、くっつかないように、間にフィルムを挟みながら冷凍されています。

 オットの両親はそれぞれ岡山、高知の出身なのですが、オットが用意するすき焼きはどちらかといえば関東の割下派。実家ではヘッドを使ってまず肉を焼いていたようなので、全くのオリジナルレシピのようです。

 先ずはバターとオリーブオイルを敷き、野菜を炒めて蓋をします。

野菜はたっぷりとが美味しい。

 野菜から水分が出てきたら少し水を足し、醤油とブラウンシュガーで味をつけ、豆腐、そして肉の順に具材を入れていきます。

日本からの輸入品のすき焼きのタレを使う場合もありますが、この日は自己流の味付けで。
グツグツとひたすら煮ます。
出来上がり

 結局大人6人でも1キロの肉は消費できず、少し余りました。翌日は残りものに野菜を足し、余っていた肉を入れて卵でとじて丼にしました。

 このすき焼きは濃いめの味付けなので、白いご飯が進みます。私は海外では生卵は遠慮しがちなのですが、私以外の家族は生卵もいただくチャレンジャー。割り解した卵に肉や野菜をどっぷりとつけて嬉々として食べていました。なんとも羨ましいけれど、私は勇気が出ず。

 とても小柄で普段は少食な印象の姪っ子も、食が進んだようなのが何より嬉しかったです。多分、カナダでわざわざすき焼きをすることはないでしょうから。今度帰ってくる時も又すき焼きにしよっか(笑)

 姪っ子は一年前に会った時よりさらに大人びて、美しくなっていました。ヘアスタイルはサラサラのボブ。正面は金髪なのですが、頭の半分から後ろは地毛のブラウンのままという奇抜なスタイル。でもそれが又彼女にはとても似合っていました。そういえば若かりし頃の彼女のお母さんも、髪をブルーや赤に染めていることがあったなぁ。。
 
 今回のお土産に、本人の希望でピアスを選んだ時(出生時からあったピアスホールを、小学生時代に自らの意志で一度閉じたのを最近開けたようです。)、どのような好みなのか義弟に子供たちがリサーチしたのですが。。愛娘のためと義弟がいろいろうるさいのが微笑ましかったです。本人は(多分お嫁さんも)案外何でもOKで、そんなに拘りはなさそうなのですが。兄弟でもオットはそういうことには無頓着なので面白いなぁと。(娘としては少し窮屈かな。)


*** 


 姪っ子には、今回の旅で15歳になる愛犬のラーラをカナダに連れ帰るという重要なミッションがあります。今のところ義弟の移住は年末か年始の予定なので、厳冬のカナダへの入国、検疫の待ち時間など高齢犬のラーラには耐えられないのではないか、という配慮から決まったことです。
 
 カナダで仕事を始めたばかりのお嫁さんは休みが取れず、姪っ子は自分ひとりの力でラーラを連れ帰らなければなりません。幸い乗り換えはなく真っ直ぐモントリオールに飛ぶようなのですが、腎臓に病気を持ち、めっきり体力の衰えたラーラが無事にカナダの地を踏むことが出来るのかは誰にも予想がつかず。一種の賭けのようにも感じられます。

 小型犬ならキャリーに入れて飼い主の足元に置くことも可能なはずですが、ラーラは空調の効いた貨物室で10数時間を過ごすこととなります。飼い主と離れるその時間は、間違いなくラーラを不安にし、ストレスを与えることになるでしょう。

ラーラはほとんどcavalo(馬)の大きさだからねー、と姪っ子(笑)右がラーラ。左は家族の移住後、しばらくして亡くなった姉犬のフィオーナ。

 パンデミックや、義弟の勤め先である銀行の撤退に伴う残務処理などもあって、長らく家族が別々に暮らして来ましたが、ようやく家族が一緒に暮らせる目処が立って来たところ。義弟もこのクリスマス休暇をあちらで過ごして、カナダでの生活のイメージも、より鮮明になったことと思います。

 義母が入院中にオットが病室に泊まり込んだ際、別日に来た義弟の話を義母がしてくれたそうです。「自分の生き甲斐は娘である」と。義弟にとってこの3年あまりの年月は、どれだけ長く感じられたことでしょう。今更ながらどちらも頑張って来たのだなぁ、とその話を聞いて何とも泣けて来ました。
 
 ラーラが姪っ子と無事にカナダに到着して、残りの年月を愛する家族のそばで穏やかに過ごしてくれることを願っています。ラーラ、お父さんももうすぐ行くからね。それまで元気で。2匹の猫ちゃんたちとも仲良くね。

 ブラジル、日本、カナダと、世界の別々の国で暮らす我がファミリー。会いたい時に簡単に国を跨いで移動できる「どこでもドア」があったら良いのに、といまだに思ってしまいます。

ワンコたちはどんどん子供たちの年を追い越して。。
ラーラ、元気でね!良い旅を!
Boa viagem!


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