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ブラジルの卒業パーティーはオールナイトで

 先日、娘の大学の卒業式についての記事でも触れたのですが、あの式典から2週間が経ち、今回は卒業パーティーに参加してきました。日本で卒業パーティーは謝恩会的なイメージ。でも、こちらでは先生方のご招待はありません。本人とその家族や親戚、友人たちで盛り上がるフェスタ、お祭りなのです。23時から明け方5時までのオールナイトの時間帯ということもあり、金曜日がその日としてスケジューリングされていました。

 パーティーといえば(女子の場合は特に)ヘアメイクや衣装選びには力が入ります。娘の場合は高校の卒業パーティーで新調したロングのドレスを使い回しするので、衣装はバッチリ。私もその時に購入したものが着られるので助かりました。節約のためにも体型の維持は大切と、数日前にホッと胸を撫で下ろしたのでした。(もし入らなかったらと思うとゾッとします。。)

 当日、娘は夕方まで普通に仕事をして、予約していた美容院でヘアメイクを施してもらっていました。私は数日前に美容院でヘアカットだけ済ませて、後はセルフでカラーリング。もちろんメイクもセルフで済ませることにしていました。あくまで主役は本人ですから。

 ブラジルの卒業パーティー参加は強制ではなく、希望者のみで有料です。会場を借りてビュッフェ式で食事が用意され、アーティストによるショーがあるのがスタンダード。食べてお喋りして踊って、となかなか賑やかなのです。まさに社交の場という感じがします。

 今回は基本、卒業生1人につき1テーブル、10名分の席と食事が用意されるスタイルでした。我が家は家族のみの参加でチケットが余ってしまうので、娘の中高、予備校時代の友人たちを招待することで、いい具合に席が埋まりました。高校の卒業式の時は、どうしても1名分のチケットが余ってしまい、fbで呼びかけて知らない方に買っていただいたりも。ショーが人気なので、卒業生でなくとも参加したい若者も多いのです。

 今回はこの卒業パーティーと、サンパウロの海岸での日帰りシュラスコ(BBQ)ツアーがパックになっていて、それなりの費用がかかりました。幸い、娘はインターンで少しお給料をいただいていたこともあり、去年1年間をかけて月々自分のお給料からコツコツと支払いをしてくれていました。家の事情も理解してくれて、親としてこんなにありがたいことはありませんし、娘からの招待というのが何よりも嬉しかったのです。彼女にとっては初めての大きな買い物となったことでしょう。



💃🕺💃


 娘が帰宅すると家で軽く夕飯を済ませて、22時過ぎに自宅を出発しました。息子が女の子連れで参加するということで、まずはその子を自宅でピックアップ(家族は彼女さんとは初対面)。そして会場に向かいました。車で40分ほどの道のりです。

 やっと車を駐車する場所を見つけ(駐車場が何処もいっぱいで路上駐車でしたが、その場にいた案内人らしき人に場所を確保してもらい、法外な手間賃を取られるオマケつき)、会場の建物の入り口に辿り着きました。

 そこで危険物の有無を調べるため、バッグの中身を厳重にチェックされました。個人的な記録用にと持参したデジカメを見つけた係員の女性が

「カメラはプロフェッショナルなものですか⁉︎」

と訊いてきました。会場ではプロの写真屋さんがあちこちで卒業アルバム用の写真撮影をしています。アルバム用の写真は、卒業式、パーティーでの卒業生個々の写真を集中的に撮影します。その後本人の希望で写真をチョイス、カスタマイズする、オリジナルの写真集のような仕上がりになるのです。皆が同じものを受け取る、日本の卒業アルバムとは大分イメージが違います。

 我が家では娘も息子も、今まで卒業アルバムは購入してきませんでした。家族や友達に撮ってもらったスナップ写真で充分。でも、パーティー会場は往々にして暗がりであるために、より美しい写真を、とデジカメを持参したというわけです。。写真屋さんがアルバム撮影用に用意したスポットで、家族が写真を撮るとなると営業妨害、厳重に注意されてしまいます。

 会場に一歩足を踏み入れると、こんなアイコンが目に飛び込んできました。ここでは写真屋さんの写真撮影はされておらず、自由に写真を撮ることが出来ました。

このアイコンの前で、たくさんの卒業生たちが入れ替わり立ち替わり写真撮影をしていました。


 娘がリザーブした席を探すと、アーティストの演奏があるステージからは大分離れた後方にありました。でも音楽の聴こえ方もちょうど良い塩梅だし、ビュッフェの食事が並ぶテーブルから程近く、仲良しさんたちともお隣同士。なかなか良いロケーションにありました。

1テーブルには10名が着席。友人の中には、恋人の親戚も含め3テーブル、30名分の席を確保していた子もいたそうです。


 友人たちを見つけてはワイワイガヤガヤと挨拶をして、ハグ。久しぶりの再会あり、思いがけず贈り物もいただいて娘もとても嬉しそうです。マスクをしている方などほとんど見受けられず、以前の日常が戻ってきたと実感した瞬間でした。(昨年の息子の高校の卒業式ではマスクによるコントロールがありましたし、こんなパーティーはありませんでした。)

 しばらくするとアナウンスで卒業生とその親(娘なら父親、息子なら母親)がステージ前のダンスエリアでワルツを踊るように、と呼び出されます。正装で来るように言われているのは、このダンスがあるからなのです。今回は建築科とデザイン科の合同のパーティーであり、とにかく人でごった返していました。私は娘と夫がその列に並ぶところまでは見ましたが、残念ながら踊っている姿を見ることは出来ませんでした。

 本人が留守の間、テーブル席の女子たちの話は勝手に盛り上がっていました。同じ年頃ではありますが、皆が皆知り合いというわけでもないのに不思議と違和感なくお喋りできてしまうのですね。社交的ではない私には神業にさえ思えました。若い人たちは若い人たち同士で、放ったらかしでも大丈夫。おばさんは只々人間ウォッチングを楽しんでいました。

 その後ビュッフェの食事が開放され、それぞれが好みの料理を選んで席につきます。そしてお待ちかねのショーも始まりました。今回のゲストはこのグループだったようです。

EXALTA 。サンパウロ市のお隣、サンベルナルド・ド・カンポ市で結成されたグループで、ブラジル特有のサンバをベースとしたパゴージを演奏し、ラテンアメリカグラミー賞の受賞歴もあるそうです。
私たちのテーブル席から見えたステージの様子。ステージ前には老若男女、踊りたい人々が繰り出しています。

 私には馴染みのないグループでしたが、曲は若者のみならず年配者にも心地よい響きで、聴いていて自然に体が揺れてしまう感じでした。上の曲が代表曲のようです。(Light of desire)

 会場での演奏の様子を少しだけ撮影してみました。アプリで視聴できない場合はこちらから↓

https://vimeo.com/809353654


 MCでリーダーが、

「スマホを持っている人はどんどんsnsで宣伝してね!」

と何回も言っていましたので、動画のアップは多分問題ないと思います。

 人間ウォッチングをしていると、私たちのテーブルの正面にいらした、娘の友人のお父さんとおじさん?ペアが微笑ましかったです。ダンスエリアに繰り出さないまでも、席から立ち上がり、曲に合わせてステップを踏む。合いの手を打つ。反対側のテーブルにつかれた、一糸乱れずお行儀の良いご家族とは非常に対称的でした。聞けばこのノリノリのご家族はリオ出身とのこと。サンバのリズムには血が騒いで仕方がなかったのでしょうね。プチショーも観せていただけて、大満足でした♡

 留守勝ちな若者たちは、お腹が空くと時折テーブルに戻って来てまた出て行くを繰り返していました。深夜2時にビュッフェの肉をいただくという、非日常的な光景。息子カップルも良い雰囲気でした。非日系の彼女さんに気の利かない息子がリードされている感じでしょうか。熱気のせいか会場のエアコンがキツめで寒いな、と思っていた時、「良かったらこれを羽織りませんか?」とショールを差し出して来られて、優しいお嬢さんでした。膝丈で裾が揺れる萌黄色の清楚なワンピースが似合っていて、一生懸命オシャレをして来たのだなぁ、微笑ましく思いました。

 午前3時を過ぎるころ、ビュッフェの食事が片付けられて待望のデザートが並び始めました。傍の夫を見遣ると、コックリコックリと居眠りをしています。そろそろ老親たちは退場の時間を迎えたようです。そう思う親御さんたちも多かったようで、ビュッフェの列に並んでいるのはシニア層ばかりでした。若者たちはダンスに忙しいですから。。デザートをいただき、夫が正気に戻った時、私たちは会場を後にしました。お行儀の良いご家族も、ダンスおじさんたちも、時を同じくして帰られたようです。

 最後まで残っていた若者たちの話では、その後ビュッフェの食事はミニハンバーガーやフライドポテトなどの軽食に変わったそうです。正式な食事の時は遠慮がちに見えた?息子も最後には耐えきれずに本性を現していたとか。誰もが幸せな時を過ごした、良いパーティーでした。我が家の若者たちは車を呼んで、ご帰還は朝の6時でした。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました♡前回で連続投稿50週をマークしたのですが、今回はうっかり(泣)これからはマイペースで行きますので、今後ともよろしくお願い致します‼︎

オマケのショット。

入学以来の1番の仲良しさんと。新生活で不安に思っていた時、偶然にも隣駅からほど近いアパートで、お姉さんと二人暮らしの彼女と出会いました。NYの旅行の時期が重なって、二人でフランク・ロイド・ライトのグッゲンハイム美術館を見学したのは5年前。大学に入学した年でした。二人とも素敵でしょ⁉︎

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