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日本を発って丸28年になりました

 今朝はまだ暗いうちにパチっと目が覚めた。昨晩は日を跨がず早めに就寝したせいか、スッキリと気持ちの良い目覚めだった。就寝前のスマホチェックではなく、読書で1日を終えられたのも良かったのかもしれない。今読んでいる本はKANAさんおすすめの、「火車」(宮部みゆき著)。昨年末に転倒から入院手術、今でも室内は歩行器で移動している義母がまだ元気だった頃に日本の書籍の古本市で買い求めたもの。私は本も映画もTVドラマも、サスペンスやミステリーには全く関心がなかった。(福山さんが主演された、東野圭吾さんの「ガリレオ」だけは別♡)だからこの本も読まずにそのまま返そうと思っていたのだが、なぜか思いとどまって本棚に戻していたのだった。ちょうどその日に読んだKANAさんのこの記事。その当時ではなく、「今」この本に出会ったことにも、何か意味があるのかも知れない。

 スマホで日時をチェックする。今日、5月14日は何か特別な日ではなかったか。。そうだ。年によっては前日、あるいは数日前から密かにテンションが上がるこの日は、私がブラジルに移住するために日本を離れた日なのだった。今日で移住して丸28年、29年目の一年を新たに始める。

 28年前のこの日は確か土曜日だった。会社の先輩から「出発の便は週末にして!空港に見送りに行くから。」と言われた通り、土曜日の夜に出るヴァリグブラジル航空のこの便を選んでいた。当日の夕方、私の家族、会社の先輩や同期、後輩、学生時代の友人たちなど総勢20名ほどが見送りに来てくれて、成田空港のファミレスでお茶をした。この時は、母国を離れる寂しさよりも、新生活への期待の方が断然勝っていたように思う。8年間勤めた会社を退職する日の挨拶では、切なくて涙したというのに。

 両親とは翌月早々にある結婚式で再会することが決まっていたし、残す人への気遣いより、自分の旅が滞りなく済むように、と願ってもいた。旅人は実に勝手なものなのだ。(同じようなことを、結婚式後の観光で訪れたリオの空港で経験した。日本行きの飛行機のゲートを目指す両親を涙ながらに見送ったのに、彼らは後ろを振り返ることなく小さくなって行った。それはそうでしょう、その時は必死だものね。)荷物の検査を終えて、上から見守る皆さんを見るために振り返った時も、悲しいという気持ちにはならなかった。気持ちは既に前を向いていた。

 土曜日の夜に成田を発ち、給油のためだけにロサンゼルスを経由する直行便だった。ブラジル時間が日本より12時間遅れている関係で、24時間の飛行時間を経ても、こちらに到着したのは日曜日の朝だった。空港に到着して無事に入国、到着ロビーでオットとなる人の姿を見つけた時、心底ホッとしたことしか記憶にない。その前にブラジルに来た時はカーニバル前の真夏だったけれど、やっぱり28年前の5月はそれなりに寒かったのだろうな。(予報によればサンパウロの来週半ばの最低気温は6℃になるとか。ブラジルでも、サンパウロは熱帯の楽園ではない。)

 結婚式当日のドタバタな様子はこちら。思いがけずnoteの「今日の注目記事」に初めて入れていただき、たくさんの方々に読んでいただいた記事。もしよろしかったら。

 その後の新生活はまさに山あり谷ありだった、と今振り返っても思う。娘と息子、二人の子供たちに恵まれたが、彼らが幼かった頃のオットは激務で家には寝に帰るばかりだった。日本の企業に勤めていたから、日本その他、海外出張の機会も多かった。子供たちの長期休暇中に3週間家を留守にする、なんてこともザラ。まさに「24時間闘えますか」を地で行っていたようだ。数年前にサラリーマンを辞め、個人事業主となった今はまた別の苦労に直面している。その度に家族は翻弄されるが、乗りかかった船、健康に気をつけてこの正念場を無事にやり過ごせたらと祈る日々が続く。

 娘と息子はそれぞれ22歳、18歳になった。建築家を目指す娘は大学の5年生。年内には卒業、社会に羽ばたく。最近取り組んだプロジェクトはクラスで唯一A評価をいただいたとかで、半日インターン生として働いている経験が力となっているようなのは喜ばしい。息子は高校を卒業して今は予備校生に。土曜日も授業があるため、今日も朝早くに家を出た。今日は午後から模試もあるはず。数年前よりは流石に大人になってきたと実感している。(でも時々「ヤクザな中学生」の顔もちらほら。)来年2月には自分が目指す道で大学生になれるよう、母は応援するのみだ。28年前には想像すらしていなかった日々を今もひたすら更新中。あの時のボーイングではなく、船に乗ってゆっくりと。


 記念すべき日の夜明け直後に、ベランダから見た風景。ヘッダー写真のbem-te-vi (ベンチビー)の叫び声が入っています。(18秒目くらいに。)雑音が多めなので、音量はMaxで是非お聴きください。


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【今日のサイドミュージック】

 ジャズピアニストの大江千里さんのジャズのデビューアルバム、Boys Mature Slowの中からMy Islandを。私にとってこの地は果たしてMy Island になったのか答えは出ていない。まだまだ旅の途中なのだから。








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