【夫婦秋旅】大塚国際美術館#2(スクロヴェーニ礼拝堂・ゴヤの家ほか環境展示)
2泊3日の四国旅行最終日に「大塚国際美術館」に来ています。
▽前回の記事はこちら▽
大塚国際美術館は、地下3階から地上2階までの観覧ルートの総延長が4kmあるとんでもない美術館なのですが、地下3階にある展示からスケールと物量がMAXで待ち受けているので、見るのに気合いが必要です。
この美術館の展示スタイルは大きく、現地の本物の姿を立体的に再現した「環境展示」、西洋美術史の流れに沿った時代ごとの「系統展示」、画家や主題をピックアップした「テーマ展示」に分かれています。
観覧導線は、古代から現代までの西洋美術史に沿った系統展示がメインになっていますが、スケールの大きい環境展示は地下3階に集中しています。(エントランスのシスティーナホールなんかがそう。)
全部は紹介しきれませんので、環境展示から印象に残った展示を紹介しようと思います。
▷聖マルタン聖堂
フランスの小さな村に建っている聖堂が環境展示として再現されています。
作られたのは12世紀。当時文字が読めなかった人々が神父さんの話を聞いてキリストの生涯を理解するための壁画なので、画風が少しポップです。
▷聖ニコラオス・オルファノス聖堂
ギリシアのテサロニキという都市に建てられた聖堂。
青色というか藍色?が見事です。壁画の剥がれやくすみまで再現具合が凄いですね。
聖ニコラウスというのは、12月にプレゼントが入った袋を担いでやってくる赤いおじさんの元ネタです。
▷ポンペイ・秘儀の間
西暦29年のヴェスヴィオ火山の噴火で埋もれてしまったポンペイの街の壁外に残されていた壁画。ディオニュソスの秘儀を描いているから「秘儀の間」と後世になって呼ばれるようになりました。
ディオニュソスというのは、ギリシャ神話の酒と豊穣の神で、「デュオニュソスの秘儀」というのは、簡単に言ってしまうと当時の子供のいない女性や、結婚したばかりの女性の間で流行った新興宗教の謎の儀式です。
ちょっとエロチックで危ない感じがします。
現地の本物は部屋の中に入って見られないらしいです。ポンペイ行ってみたい…
▷スクロヴェーニ礼拝堂
入った瞬間「な…なんだここは…」と思わず言ってしまった。
イタリアのパドヴァの古代ローマ競技場の跡地に建てられた礼拝堂です。
パドヴァの資産家が高利貸しをしていた罪滅ぼしのためにパトロンとなって建てたとか。壁画は中世後期の画家「ジョット」の作。
私的な礼拝堂の域を超えた豪華さ・美麗さに、近隣の教会から苦情が殺到したとか。
個人的にシスティーナホールより好きかも。
▷モネの大睡蓮
みんな大好きクロード・モネ。印象派の代表作家ですね。
レストランのテラス席の横で屋外展示されています。
みんなここで記念写真撮るんだ…
▷ゴヤの家
みんな大好きモネやフェルメールと対照的に、わたしが大好きなゴヤです。
西洋美術史の系統で言うと「ロマン主義」の宮廷画家だったゴヤ。
煌びやかな王族・貴族の肖像画なんかを描いていましたが、晩年は打って変わって暗い絵を描いたことで有名です。
ゴヤは晩年、マドリードの郊外で「聾者の家」と呼ばれていた小さな家を購入し、家の壁中に不気味で暗い雰囲気の絵を描き、そこで生活しました。
そんなゴヤの聾者の家の内部を再現してしまったのが、この環境展示です。
大塚国際美術館の環境展示の中で一番好きかもしれん…
『黒い絵』と呼ばれていますが、発注主がいるものではなくゴヤが私的に描いた絵なのでタイトルはなく、どんな意図やテーマがあって描いた絵なのかもゴヤ自身にしかわかりません。
ゴヤで一番有名でインパクトがある絵じゃないでしょうか。
ソフトクリームを食べていたり、猫を抱いていたり、よくパロディネタにされているのを見ます。
サトゥルヌスはローマ神話の農耕神なのですが、「将来、自分の子に殺される」という予言を真に受けて恐れを抱き、子を次々と飲み込んでいったという伝承をモチーフに描かれています。
飲み込むというより、頭から丸かじりじゃないですかー。
目が逝ってしまっているサトゥルヌスに狂気を感じるし、この絵をわざわざダイニングに描いてしまうゴヤにも狂気を感じる。
余談ですが、制作当初、このサトゥルヌスには勃起した陰茎が描かれていたが、後世に黒塗りされたとか。余計世に出せんわ。
きっと大塚国際美術館の中の人にゴヤ大好きな人がいたんだろうな…
みんなもゴヤの狂気を体感しよう!
次回、引き続き系統展示を古代から簡単に記事にします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?