改めまして、双極性障害になりました。
今住んでいる団地に引っ越してきてもうすぐ一年。
越してきた当初は枯れ果ててほぼ砂漠だった団地内の公園が、養生されてクローバーでもっさもさになっているのを今日、見つけた。
ずっとうつ病患者として闘病してきて約三年。
こちらに引っ越してきてからも、二ヶ月に一度なら通えない距離ではないので以前の病院に通い続けていた。
そのうちそのうち、と思いながら半年以上通い続けてしまい最近やっと近所の病院に転院した。
「双極性障害ですね」
一昔前でいうとこの「躁うつ病」です。
医師からそう告げられて、私は少しだけ安堵した。
なんとなくそうなんじゃないかと思っていたから。
こんなに治らないのはおかしいんじゃないかと思っていた。
とはいえ
「もっと早く病院変えてれば……」とか「あのヤブ医者め畜生」
とか言っててもしょうがないので前だけ見ることにした。
(あと一応断っておくと見分けるのが大変難しい病気なので前の医者はそんなに悪くない)
そうして双極性障害としての生活が始まった。
まず薬がガラリと変わった。
睡眠薬は以前の半分以下に減らされ初めは辛かった。
依存性が高く危険なのは対精神病の薬ではなく睡眠薬の方なのでなるべく睡眠薬は減らす方針の病院だった。
今では処方された量で問題なく眠れる。今後はもう少し減らしていって最終的には飲まなくても眠れるようになりたい。
次に「心理教育」という講座を週に一回受けることになった。
そこでは同じ双極性障害の人たちが数十人集まって医師の講義を聞いて、後半軽くディスカッションする。
これが私にはとても効果的だった。
双極性障害がいかにうつ病とは違う病気なのか、自分が飲んでいる薬がどういうもので自分に対してどう効果があるか、併発しやすい障害や気をつけなきゃいけないこと、とにかく色々勉強になる。
私はまだ通い始めたばっかりで、医学的なことなので講座の内容の詳細については今回は省きます。
心理教育は数ヶ月で1クールのサイクルが何度も繰り返し行われている。私はクールの最後の方からの出席だったので他の出席者は既にかなり勉強が進んでいる人が多いようだ。
「今、うつが来ているなとか、今躁に入ったなとか自分で判断することが出来る人?」
と医師が聞くと半数以上の人が手を挙げる。
私はまだ自分で自分の躁とうつの早期発見ができない。
人間どうしたってストレスは避けられないし、躁もうつもやって来てしまう。だからとにかくそのコントロールが大事で、それが生涯通して出来るようになるための教育らしい。
そのためには躁になりたての軽躁状態の発見が大事。
うつは自分でも他人でもわかりやすいけど軽躁はただの絶好調と捉えがちなので見つけにくい。放っておいて躁が重くなると重大な事件にも繋がりやすく、他人に迷惑をかけたりすることでその後のうつがより重くなる。だいぶ慣れている人は薬の切り替えも自分で判断して医師に申告出来る。
心理教育は夜の二時間弱、数百円とはいえ有料なので強制ではない。来ている人は積極的に自身の障害を受け入れ付き合っていく姿勢の人だけなので穏やかで距離感が正常な人が多い気がする。
双極性障害の治療を始めて三ヶ月ぐらい。
最近はここに引っ越して来た当初より遥かに穏やかな気持ちで暮らしている。
毎日毎日死にたい気持ち(※)と闘いながら、自分の手首を眺めたり九階のベランダの下を眺めて一日が終わってしまうなんてことはなくなった(今のところ)。午前中に起きられることが多くなった。以前は好きだった料理をするのが苦でなくなってきた。
今までは17時に閉園する近所の大きな公園に一度も行けなかった。例えば15時には着替えて出かける準備も万端なのに、どうしても部屋から出られない。毎日毎日、外に出なきゃと思えば思うほど、本当に透明の壁があるとしか思えないのだけど、出られない。今は天気によるけどほぼ毎日散歩に出かける。春になって日々花が咲くのを確認している。
この穏やかな私が本来の私だったのか、軽躁になりかけているのか、それは今の私にはまだわからない。これからも勉強を続けていかなきゃいけない。
少なくとも、越してきた当初大嫌いだったこの街を、今はそんなに憎んでいない。
※補足かつ忠告
「『死にたい死にたい』と言って死なない奴はただ構って欲しいだけ」とか言う人いますけど(私の母ですが)、全然違います。死にたい気持ちは確かにあります。でも他人に迷惑をかけたくないから死ねないだけ。それはその人の優しさでもある。そして同時に生きたい気持ちもあります。
普通は死にたい気持ち10、生きたい気持ち90とかでごく楽しく過ごせる。
でもその数値が逆になってしまうことがある。
「死にたい」はサイレン。生きたいが0になった時、人は本当に、あっけなく死にます。
それだけ覚えていて欲しい。
私の周りにはそんな簡単なこととっくに知っているよという心優しい人が多いので言うまでもないですが。
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