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オルガン&ハープ デュオ 'Fika' 誕生

アイリッシュハープの演奏活動と、レッスンをしているKIKIです。

4月になると、学生でなくても新しいことにチャレンジしてみたくなったりしますね。色とりどりの花や、新緑の美しさに後押しされるからでしょうか。
そしてコロナ禍という、想定外の出来事に翻弄されたこの3年間の出口が、そろそろ見えて来た、ということもあるのだと思います。

思えばそのコロナ禍に、オルガニストの越川伊豆美さんと『メサイア』というヘンデルの大曲の、ほんの一部の場面で共演したことがありました。
もちろん『メサイア』のアイリッシュハープ用の譜面はありませんので、鍵盤とペダル部分が書かれた三段のオルガン譜から、「ここにこんな感じでハープを入れたら、クリスマスの色合いが出るかしら。」という具合に、ハープパートをアレンジして、ご一緒させていただきました。それがなんとも新しい響きがして、「こんなことができるんだ!」という思いがけない発見があったのです。

そもそもオルガンとハープという楽器は、それぞれの役割が同じです。
ソロで全部弾くか、アンサンブルでは歌や他の主旋律楽器の伴奏部に回るか、そのどちらかになります。
そういった役割が一緒の楽器同士は、一人いればもう十分でしょう、ということで、普通だったら「共演NG」なのであります。ハープは弦楽器でありながら、機能的にはピアノと同じですので、オルガンとピアノのデュオがほとんど聴かれないように、オルガンとハープの組み合わせなども、私たちは聴いたことがありませんでした。

そしてもう一つは、楽器の性格の違いです。
オルガンの音は荘厳で長く伸びるのに対して、ハープは残響がとても少なく短いのです。特にアイリッシュハープは元は民族楽器ですので、静かで素朴な音を出します。アンサンブルは楽器同士のおしゃべりですから、こんなに性格が違う楽器同士が、一体どのような会話をするのがよいのか・・・・最初はお互い手探りで始めたと思います。

でも、人と会話をするように、よーくお互いの声に耳を傾けると、主張は違うものの、一人ではできないことができていて、良い化学反応を起こしていることがわかるようになって来たのです。
いくつかの季節が過ぎて、レパートリーも増えてきた頃、この珍しい組み合わせのデュオを正式に始動させてみましょう、ということでユニットができました。

ユニット名は  'Fika'(フィーカ)、 スウェーデン語です。
「甘いお菓子と温かい飲み物でほっと一息つく時間」として、スウェーデンで持たれている習慣が Fika です。いわゆる「ティータイム」よりももっと意味合いがある、大切な時間のようです。

このユニット名に至るまでの変遷は、また別の機会に書きたいと思うのですが、この 'Fika' は私たちにとって、本当にしっくりいくユニット名なのでした。
なぜなら、私たちはよく打ち合わせを兼ねてカフェを利用するのですが、その場所はどこでもいいとは思わないのでした。いい音楽が流れていて、ゆったりとしていて、美味しいケーキやデザートがあって、インテリアが素敵で・・・。
そんな風に新しいカフェ情報にアンテナを張りつつ、カフェ巡りを楽しんでいましたので、'Fika' は正に「言い得て妙」なのでありました。

冬が長く続く北欧の人たちは、美味しいものを囲んで Fikaを楽しみ、人と人との温かい交流が持てるようにしているのです。
そんな Fika のような時間を、オルガンとハープで皆様におもてなしができたら、という願いを持って命名したのでした。

『オルガン&ハープデュオ 'Fika' 』のご紹介と、それぞれのプロフィール等はこちらになりますので、是非ご覧くださいませ。そして、ご興味を持っていただけたら嬉しいです。

Harp by KIKI ホームページより『オルガン&ハープデュオ 'Fika’』

こちらは自作のスウェーデンのケーキ、"Mjuk Pepparkaka"
いろいろなスパイスが入っていて、
スウェーデンの寒い時期に家庭で作られるというレシピから。

ご支援は、楽器のメンテナンスや二作目のCD製作の費用に使わせて頂きたく思います。よろしくお願いします。