愛してるじゃ、足りないんだよな
星野源がラジオの電波に放った言葉だ。
12月4日の深夜、新曲”POP VIRUS”がラジオにて初解禁された。
ベッドで寝ていながらもひっくり返る位ものすごいかっこいい曲だったが、何より、歌が始まってすぐのこの歌詞に完全に腰を抜かした。
『君を愛してる』
………えぇぇええええええ?!?!?!?!
今?!?!あの星野源が?!?!
あ、愛してるって言った〜〜〜?!?!?!
とまぁ、一ファンとしてとんでもなく驚いたのは、新曲初解禁どころかこれが星野源の「愛してる」初解禁だったからである。
たとえラブソングでも頑なにその言葉を使わない人だった、のに。
初解禁後のちょっとした歌解説でも『歌詞について語るのは野暮』と言って多くは語らなかったが、同じく「愛してる」初解禁に驚いたリスナーからの感想メールに対してこんなことを言った。
「愛してる」じゃ足りないんだよなってずっと思ってるんだけど…
使おう!と(笑)
足りないから使わないじゃなくて、
いや、使おう!というモードなんでございます。
で、足りない部分を音で表現するという、なんかそんなイメージ。
こともなげに、腰が抜けたほどの変化をあっさりと語った。
それを聞いてふと頭に思い浮かんだのが、約8年前に自身初のシングル曲として発表された「くだらないの中に」の歌い出しだった。
髪の毛の匂いを嗅ぎあって
くさいなあってふざけあったり
くだらないの中に愛が
人は笑うように生きる
「愛してる」を使わないラブソング。
生々しいくらい素朴な歌詞をアコギで歌い上げるこの曲はなかなか好きになれなかったが、ライブで聴いて虜になった。曲にこもっている塊のような「愛」を丁寧に真っ直ぐ歌う星野源に、自分が丸ごと吸い込まれていった感覚が今でも忘れられない。
「愛してる」の一言だけじゃ足りない、でも確かにあるその「愛」を自分の言葉でそっと紡ぐ人だった。そんな人がその”足りない”を支える音を作り、曲に乗せ、そしてようやく「愛してる」と歌った。これは、すごいことだ。
何がそうさせたのか聞いてみたい。でもそれも野暮、なのかな。
人は変わる
のかもしれない。
のんちゃ
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