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過去はもう救えないけど

ボカコレ2024冬TOP100参加曲

「メサイア」

公開しました。


ということで今回のnoteは

セルフライナーノーツ〜MVイラストを添えて〜

です!

子どもが旗を掲げて、瓦礫の上に立っていますね。
こちらの女の子が、この曲の主人公「メサイア」です。
自分のことを救世主だと思っています。

瓦礫はよく見ると三角やら半円やらの「積み木」になっています。
本来子どもが遊ぶべきものを踏みつけて、旗を手に気丈に振る舞っている子ども様子。
子どもであることをやめておとなであろうとする様子を表すことで、この曲のテーマ「アダルトチルドレン」を表現しました。

アダルトチルドレンには大きく6タイプあるのですが、メサイアちゃんは「クラウン(道化師)」タイプ。
場の緊張や不和をいち早く察知し、自分がおどけることで空気を変えて場を和ませる子。
見た目にはおどけて笑っているけれど、内面はいつも怯えて警戒しているのが特徴です。

みんなを救うためには自分が頑張るしかない状況のメサイアちゃんですが、本当は自分が一番救い主を求めています。
でも助けてくれる人はいない…。
そんな極限状態なものですから、「今を犠牲に頑張り続けていれば、きっと未来の私が立派になって、夢を叶えて救ってくれる」と自己暗示をかけ続けて、本心を隠して道化であり続けます。
「自分は特別だ!」というありもしない幻想に縋るしか拠り所がないのです。

しかし残酷なことに、今を犠牲に、子どもらしさというある種の本能を犠牲にし続けてきた先に待ち受けているのは、おとなになりきれず子どもでもない歪な未来。
自分自身を救えないどころか、子ども時代に作り続けてきた道化癖だけが残り、自分の本当の心が分からなくなってしまったのでした。

とまあそんな曲です。

歌詞に「繭」とか「絹糸」とか出てくるんですが、「蚕」がモチーフになっています。
蚕って家畜であり続けたことで筋力が退化したのか、成虫になっても飛べないんですよね。
人間のために本能を犠牲に頑張り続けて退化した蚕と、みんなのために本心を犠牲に頑張り続けて歪になったメサイアちゃん。
なんか似てるなあと思って。

正直なことを言うと、この曲は今まで出した曲の中で一番自信がありませんでした。
自分はこの音楽好きだけど、多分他の人はこの音楽好きになりにくいだろうな、みたいな自信のなさ。
でも絶対にボカコレで出したかったんです。
何でかっていうと、「メサイア」は曲だけで完成、という作品ではないからです。

曲を公開して、周りの反応がどうだろうが、数字がどれだけ伸びなかろうが、自分がメサイアを愛し続けられるかどうか。
たとえ周りに理解されなくても、愛されなくても、揺るがない自分の姿をメサイアに示すことができるかどうか。

それがこの作品の根幹です。

曲中には全く救いがない。
過去のメサイアはもう誰にも救うことはできない。
だけど、受け止めることならできるよと。
そんな未来の姿を、過去メサイアだった自分自身に見せるための作品でした。

あえてボカコレで出したのは、欲が出るからです。
公式がランク付けして、みんなも「良かった10選」とかやるじゃない?
周りの評価が顕著なイベントだから、つい欲が出て「もっと私を理解して!」みたいにメンヘラ化してたんです過去のボカコレwww
音楽で悔しくなってないの、自分の心が理解されないことに孤独だったりなんだり感じてばかりで。

だからこそ、自分を試すのに最適だと思い、ボカコレで公開することを決めました。

ボカコレが終わって、純粋に音楽だけで悔しさを感じることができていて、私の中に寂しさや自己嫌悪は何もなく。
「メサイア」は無事完成したな、とホッとしております。

そんなこと言って、結局ライナーノーツ書いてるじゃん!
て思われそうだけどこのnoteは自分のケジメという感じです。

音楽を自分を理解されるための道具として利用していた、音楽を道具とか家畜みたいな扱いしていた不誠実な自分への決別と言いますか、戒めとして。

そんな理由でYouTubeも作り直しまして!
誠実に音楽と向き合う、再出発をすることにしました。

不器用な人間ですが、再出発な雨草の音楽も聴きに来てくれると嬉しいです!


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