KIKA gallery

京都・北山のコンテンポラリーアートスペース、キカ・ギャラリーです。

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最近の記事

ゆるやかな死の中での遊び

文:原田桃望  泣き子党との出会いは2年前の6月、画材店の入り口にあるワゴン車だった。普段はイベントや展示のチラシが置かれているワゴン車が、その日はピンク色を基調とした「泣き子党」を掲げる団体に占拠されていた。このワゴン車ジャックは2021年5月に結成した泣き子党による初の活動で、選挙ポスターを模したイメージが車に貼られていた。   車内には、街中で見かける政治活動ポスターや選挙ポスターを撮影し印刷したものが選挙掲示板を模した板に貼られていたり、その周囲には泣き子党が所持

    • Onsen and Art

      Text by Jun'ichiro ISHII Translated by Kei Ota 日本語 で読む There was one time a Japanese language student asked me this question. —What is the difference between an “onsen” and a “sento”? I enjoy teaching Japanese, especially moments like th

      • In the Name of Art, How Much Are We Allowed to Do | Kazuya Nakayama Exhibition

        Text by Jun'ichiro ISHII Translated by Kei Ota 日本語 で読む I was fired as a gallerist for this exhibition. Meaning, of course, that the artist "fired" me as part of the narrative of the work without explicitly saying so. The artist Kazuya Nak

        • 温泉と芸術 | 髙瀬きぼりお展

          文:石井潤一郎 read in English ある時、日本語の学習者からこう訊かれた。 ——「温泉」と「銭湯」はどう違いますか? 日本語を教える仕事をしていて楽しいのはこういった時である。目の前の「日常」に亀裂が走り、見知らぬ「謎」が姿を見せる。ああ一体、わたしはどれだけのことを知ったつもりになって生きているのだろう。わたしの頭の中に桶を打つような音が響いた。 ◉ 言語体系というのは一つの宇宙(ユニバース)である。ひとつの言語を使用することによって、わたしたちは意

        ゆるやかな死の中での遊び

          L'eau gazeuse avec beaucoup de fraises de la coopérative commence à avoir du goût.

          3ème semaine de l'exposition Kazuya Nakayama Texte:Keijiro NAGAMINE 日本語で読む L'exposition de Kazuya Nakayama "What do you think about an exhibition that uses a photograph? ~New recruitment of a gallerist~" a passé sa troisième semaine. Depu

          L'eau gazeuse avec beaucoup de fraises de la coopérative commence à avoir du goût.

          J'ai acheté la confiture au lait de Normandie.

          2ème semaine de l'exposition Kazuya Nakayama Texte:Keijiro NAGAMINE 日本語で読む La galerie KIKA attire des personnes qui parlent de nombreuses langues différentes. Ils discutent dans l'espace bar situé à l'arrière de la galerie, mangent du pai

          J'ai acheté la confiture au lait de Normandie.

          Il existe de nombreuses œuvres d'art qui sont moins intéressantes que les vôtres, alors étudiez comment ces artistes les créent.

          1er semaine de l'exposition Kazuya Nakayama Texte:Keijiro NAGAMINE 日本語で読む KIKA Gallery a le plaisir d'annoncer l'ouverture de l'exposition "What do you think about an exhibition that uses a photograph? ~New recruitment of a gallerist~" do

          Il existe de nombreuses œuvres d'art qui sont moins intéressantes que les vôtres, alors étudiez comment ces artistes les créent.

          ロドリゲス邸に住んでいるが、ロドリゲスさんはいないのでiPhone 4を置きました。

          中山和也展 4週目レポート ロドリゲス邸に住んでいるが、ロドリゲスさんはいないのでiPhone 4を置きました。 文:渡辺いお  和也さんと初めて会ったのは、二〇一七年の春頃のパリで、日本人学生たちの飲み会でのことだった。「先生」でも「アーティスト」でもなく、友人「和也さん」として出会い、一緒に遊ぶようになった。だから、私が和也さんの作品について何か書くとしても、それは批評家としてではなく、パリで一緒の時間を過ごした友人として印象論を記すだけだ。  和也さんはいつも誰か

          ロドリゲス邸に住んでいるが、ロドリゲスさんはいないのでiPhone 4を置きました。

          アートの名において、わたしたちはどれだけのことが許されているのか | 中山和也展

          文:石井潤一郎 read in English 今回の展覧会において、わたしは「ギャラリスト」をクビになった。 というのはもちろん作品の中の話で、作家本人も決してわたしを「クビにした」とは言っていない。作家・中山和也は、あくまでも新しいギャラリストを「新規採用」しただけであって、しかしこのギャラリストが、わたしが今まで行ってきた仕事を(展覧会期間中だけであるとはいえ)十分な情熱と責任を持って取り組んでいるのだから、わたしの仕事がなくなった、という事実には変わりがない。

          アートの名において、わたしたちはどれだけのことが許されているのか | 中山和也展

          生協で買ったイチゴをまんぱんに入れたスパークリングウォーターが美味しくなってきました。

          中山和也展 3週目レポート 文 : 長嶺慶治郎 lire en français 中山和也展「写真を使った展覧会ってどう思う?~ギャラリストの新規採用~」の3週目が過ぎた。昨年、日本に帰ってきて久しぶりにこれだけ多くの人と作品について話をしている。いや、これまでこんな短期間にこれほど多くの人と作品について話すことはなかった。今回のレポートでは3週目を過ごして、知ってきたこの作品について周囲の状況を確認しつつ、「ギャラリストの新規採用」を照らし合わせたい。 中山は故意に自

          生協で買ったイチゴをまんぱんに入れたスパークリングウォーターが美味しくなってきました。

          ノルマンディーのミルクジャムを買いました。

          中山和也展 2週目レポート 文 : 長嶺慶治郎 lire en français KIKA Galleryにはいろいろな言語を話す人たちがやってくる。英語、フランス語(しばらく使っていなかったので言葉が出ません)、日本語を行ったり来たりしながら、ギャラリーの奥のバースペースで話をし、隣のケーキ屋Comme toujoursでパンやケーキを食べ、中山はこれ今日はアロンジェじゃないんじゃないとか話していた。話題の中心の一つは語学で、僕は帰りの車の中でその話を思い返していたら多

          ノルマンディーのミルクジャムを買いました。

          君たちより面白くない作品がたくさんありますので、その作者たちがどのように制作しているか勉強していってください。

          中山和也展 1週目レポート 文 : 長嶺慶治郎 lire en français KIKA Galleryでは中山和也展「写真を使った展覧会ってどう思う?~ギャラリストの新規採用~」が始まった。そして、作品である新規採用されたギャラリストが僕で、これまでのギャラリストに習い、展覧会の紹介や批評をしようと思う。 来週、再来週と展覧会の会期が進んでいくと書くことになっていくのかもしれないが、今回の中山の展覧会で何が起きているのか具体的な内容を書くのは今週、ここでは避けること

          君たちより面白くない作品がたくさんありますので、その作者たちがどのように制作しているか勉強していってください。

          Sin and Beauty | Foster Mickley Exhibition

          Text by Jun'ichiro ISHII Translated by Kei Ota 日本語 で読む If you walk along a beach today you may notice the plastic garbage around you before you notice any seashells. Given the nature of the contemporary art world today, any discussion woul

          Sin and Beauty | Foster Mickley Exhibition

          罪と美 | フォスター・ミックリー展

          文:石井潤一郎 read in English 今日海岸線を歩くと、貝殻よりも先に目に入ってくるのはプラスチック・ゴミかもしれない。そして貝殻よりも先にプラスチック・ゴミに目を向ける方が、今日のコンテンポラリー・アートのムードであるかもしれない。 フォスター・ミックリーの言に従うならば、「貝殻の美」とは、注目されることによってはじめて発見される。ならば、わたしたちは社会の「美」に注目するよりも先に、社会の「罪」に注目する行為に「アート」という名前をつける時代に生きているの

          罪と美 | フォスター・ミックリー展