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長寿

全部見守るのなんて
やなこった
一人で残るなんて
やなこった
ぎくしゃくと
穴掘った
私を
笑ってる
藁縒った
穴の蓋を
笑ってる
お前は
不運なのに
つまらんね
足掻いたら
褒美でもやったのに
もったいないね
と美しき神々は
笠に着た
お前は誰だ
偽神め
お前の穴も
掘ってやろうか
なんだその笠
ああお前は
やられすぎて
穴だらけ
おお神よ
こうやって
見透かしてるんですね
穴の向こうに
走馬灯用の
スライド映写機が
鎮座ましまし
スクリーンは最早
簾のように
裂き垂れて
神々の溜息に
揺れている
お前が後悔してるシーンをズームイン!
音割れする拡声器
お前はあと五十年は生きるのだ!
身近な者が居なくなったら
五十年加算されるのだ!

私は何故か神々の棒読み具合が気に入ってしまい、気に入りの本を携えて、神々に朗読をさせようとするが、なかなか上手くいかない。
こちらが嫌がると思わせなければならない。神々の目の届かないところに本を隠すところを見つかるようにしたり、力のないゾンビが本を破ろうとする演技をしてみたり、本を持ってヤメローヤメローと気が狂ったように叫んだり。
なかなか上手くいかない。
ある時ニヤつく神々の前で直球に頼んでみた。意外なことに神々は快諾し朗読を始める。
えうおおおいういあんいおううおあお

なんだてめぇ等
ふざけやがって
お前のために
読んでやったんだよ
割れた拡声器の
神々の笑い声は
生き生きとし
私は怒りのあまり
血圧が上がって

死ななかった
母音の朗読が
気に入ってしまった

私はこの先五十年以上は
神々の玩具となるらしい

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