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大好きな記事まとめ

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#写真

夏至祭の前夜は

この国では6月最終週の土曜は、夏至祭だ。 その前夜である明後日金曜の晩には、海や湖の畔などの水辺で、大きなかがり火が焚かれる。 これは長い冬の間待ちに待った短い夏の到来を祝うため、または夏至を過ぎると夜が少しづつ長くなってゆくため悪魔が徘徊するのを追い払うなどと言われているが、まだこの国にキリスト教が広まる前からある伝統的な儀式で、クリスマスと同じくらい重要な日なので田舎へ帰省して過ごす民も多く、ちょっと日本のお盆にも似ている。 夜といっても今の時期は白夜のため明るく(北部

写真をはじめて1年がたって「何気ない日常」なんてないとわかりました。

出版社で働いている辻敦と申します。ぼくは写真家・幡野広志さん編集担当をしていて、『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』という本を幡野さんと一緒につくりました。写真を撮る前に知っておいてほしいことから、写真の撮り方、RAW現像の方法まで、幡野さんが写真についてはじめて書いた本です。 ぼくは完全な写真シロウトです。本のお話をいただいたときは、ぼくが幡野さんの写真の本を作ってよいのだろうか、そんな気持ちもありました。でもむしろ、写真をやっていないからこそ、ぼくにお願いしたいと

写真のように 第10回 ある同時代性の話、「写真」と「漫画」 展評 「即興 ホンマタカシ」 東京都写真美術館

最初に言い訳を。2023年の秋は忙しかった。この年の秋は展評に書いておきたい写真展や写真集がいくつもあったにも関わらず、まったく書けなかった。11月から手間の掛かる煩雑な仕事を引き受けたり、12月の初めから新宿のゴールデン街で人生初の写真と文章による創作個展をおこなったり(「寿命の縮み食事」という食エッセイ+iPhone写真による展示でした)とかなかなか落ち着いて書く時間が取れなかったというのがその理由である。それでも10月5日から東京都写真美術館で始まった「即興 ホンマタカ

自己紹介をします

みはらです。日本出身、アイルランド在住で、植物調査員として働いています。 私の人生の始まりは、ゼルダの伝説というゲームから。アイルランドに住み始めたのも、植物調査員になったのも、全てはゼルダの伝説のリンクのようになりたい!という童心の夢を追って辿り着いたものです。 *植物調査員は、平たく言うと自然保護と開発事業の仲介をする仕事。建物を新しく建てたりする前に、その場所に育つ植物を調べて、事業主に「問題なく工事をするにはこういう環境配慮をしないといけませんよ」、とアドバイスを

彼の「故郷」は、写真の中で輝いていた。

先日、語学学校の授業の中で「あなたのHeimatstadtについて書いて説明しましょう」というものがあった。 ” Heimatstadt ”というのはいわゆる「 故郷」のこと。 自分の故郷がどこか、そして魅力についてドイツ語で書いたあと、ペアになってその文章読みつつ、故郷の写真を見せるというものだった。 「あまり話さない人の話を聞くように」と先生に言われて、私は先日別の記事で書いたウクライナ出身の彼と話することになった。まだ20歳に届くかどうかの年齢で、まだ少しあどけなさも