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雨天決行(創作小説メモ用)

    • 雨天決行 Part.3

      雨天決行 第1章 雨 ────────「雨が上がった日には世界の欠片が落ちているんだよ。」
ある日、君と雨上がりの道を歩いていた時に僕の横でふと呟いた。
「世界の欠片?」
「足元を見てみなよ。」
僕は言われるがまま足元に視線を落としてみると、そこにはたしかに鏡のように晴天の空を映し出す水溜まりがあった。 突き抜ける青と全てを包み込む白がバランス良く描かれているその水溜まりは、まるでこの世界の破片が確かにそこに落ちているように見えた。─────── 「えー明日雨かあ。」


      • 雨天決行 Part.2

        雨天決行 第1章 雨 「えー明日雨かあ。」
君はそう言うけれど、僕は雨が好きだ。 雨は心を落ち着かせてくれる。雨が降った日は家でゆっくり読書をする。雫が滴り落ちる音がなんとも本と相性が良い。 予報通り、次の日は雨が降っていた。身支度をして、傘を持って僕は玄関を出た。 幼馴染なのと、家が近いという理由から毎日一緒に登校している君の家に向かう。 君とは幼稚園からの付き合いで、小中と同じ空間で過ごし、高校も家から近いからという理由で同じ高校を選んだ。 進路を選ぶにあたって本当

        • 雨天決行

          「えー今日雨かあ。」 君はそう言うけれど、僕は雨が好きだ。 雨は心を落ち着かせてくれる。雨が降った日は家でゆっくり読書をする。雫が滴り落ちる音がなんとも本と相性が良い。 かといって、外にいる時に降る雨は困る。誰だって濡れるのは好きじゃない。 傘を差すだけで手の自由が縛られて、太陽が影ることで歩く意欲も無くなる。 水溜まりを踏んだ時はとことん付いてない。 家に帰るとまず濡れた靴下を脱いで洗濯かごに投げ込む。ここで不快感はおさらばだ。やっと雨から解放される。 床に残る濡れた

        雨天決行(創作小説メモ用)

          夜は魔物が住んでるから

          「夜は魔物が住んでるから早く寝るんだよ、夜更かししてると魔物に食われるからって昔教えてくれた友人。今なら意味がすごくわかる。」 この言葉は僕が見ていたSNSでたまたま見かけた投稿である。ほんとにただ平凡な投稿だった。 ただ、なにか小説の一節のようなそんな感じがして思わずスクリーンショットをして保存をしておいた。 ほんとによく出来た文章である。 現にそんな僕も夜の魔物に襲われる時がある。 過去の過ちがフラッシュバックし、どうしようもない後悔と何も出来ない自分にやるせなくなる

          夜は魔物が住んでるから

          人生とは。日常の価値とは何か。

          もしその人が死んだら毎日墓参り行くってくらい大切な友達がいるんだけど、そもそもその人が先に死ぬ確証もないし、もう知り合ってから10年くらいなるけど会う度にその時間大切にするし、その度に受け取った目に見えないものは精一杯返そうと思う。 優しさでも安心感でも帰り道に寄るパン屋で買ったパンでも。ちょっとしたものでいいから少しずつ生きてる内にそういったもので返していこうと思う。 でもその人がいなくなったら何もあげられなくなるから、それこそお墓参りが唯一のお返しだと思う。自分の思うお返

          人生とは。日常の価値とは何か。

          【実話】夢の中で見た不思議な話

          これは私が実際に夢で見た不思議な話です。 ──元哉(もとや)── 好きな人がいた。その人に一緒に帰ろうと言ったが無理だと言われた。 しかし、学校がおわり、門のところを出ると彼女は声をかけてきた。「一緒に帰ろう。」 「無理だ」と断られたのに。なぜ今更? 奇妙なものでその時他の生徒は彼女が4方向に分身していったところを見たという。 ──時が経ち、元哉はその彼女と結婚した。いわゆる順風満帆な結婚生活を送っていた。時が経ち、お互いに歳を取った。皺が増えて足も覚束ず、外に出るのが辛

          【実話】夢の中で見た不思議な話

          早すぎた男

          あまりにも早すぎた。どうしていつも置いて行ってしまうの。 彼はいつもそうだった。 まるですれ違うかのように、同じ方向を向いていても距離は遠のくばかりで。 どれだけ追いつこうとしても、彼は一番にゴールして笑ってる。そして私に笑顔を向ける。「追いついみろ」って。 でも、もう追いつけないみたい。あなたと私じゃ次元が違うから。住む世界が違うから。 もう、会えない。あなたは、いつもみたいに、はやく、この世界を去ってしまったから。 まだ、泣いてる顔も見たことないのに。早すぎる

          早すぎた男