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自分と環境にとって、「ちょうどいい」と「心地よい」が大切、デンマーク食のサステナビリティ

Feel Sustenabilityをテーマに、未来へのヒントとなるような取り組みを紹介していきます。

今回はデンマークの食に関わるサステナビリティをレポーティングしたいと思います。



野菜や果物はオーガニックが基本、消費者が選ぶから生産者もオーガニックを選択する

デンマークは世界一のオーガニック市場と言われている程、国民1人あたりのオーガニック商品の消費額が多い国です。オーガニック商品の認証基準も厳しく、オーガニック農園と認定されるまでには一般的に2年程時間を要すると言われています。

今回はコペンハーゲン郊外にあるロラン島でオーガニックでリンゴ栽培をする農園を訪ねました。

ロラン島の農作物の多くは首都コペンハーゲンに出荷される

個人的にリンゴは虫や病気にかかりやすい印象があり、オーガニックで育てられるの?という疑問がありましたが、農園の方いわく育てているリンゴは野生種に近いため病気にも強いとのことでした。日本のリンゴと比べても低木で実が小さい品種のようで、酸味が強いため生食ではなくシードルやジャムなどに加工し出荷しているとのことです。

低木のリンゴの木が並ぶリンゴ畑
リンゴのお酒シードルだけでも種類が豊富

オーガニック栽培するのは、多くの人がオーガニック商品を選ぶからという理由もありますが、農薬を利用した場合の地下水への影響も考慮しているとのことでした。デンマークは世界でも珍しく水道水が飲める国であり、その水源は地下水をくみ上げているため、農薬が土壌に浸透し水質に及ぼす影響も考慮しているようです。

日常に溶け込む、量り売りと包装ゼロのスーパーマーケット

量り売り商品が並ぶ店内

デンマークでは100%オーガニックの商品だけを扱い、包装用品を一切使わず量り売りを基本としたスーパーLØS marketもサステナビリティの視点で多くの人に支持されています。日本にも斗々屋さんのような、オーガニックや量り売りを主軸にしたスーパーもありますが、まだまだ少ない印象です。
LØS marketでは、パスタ、ナッツ、洗剤などの数百種類の商品を自分で持参した容器に詰め必要な分だけ買うことができ、消費ロスを防止することができます。


動物のウェルビーイングを配慮する、アニマルウェルフェア


日本ではまだ聞き慣れないアニマルウェルフェアという考え方も、デンマークを旅する中で初めて知る機会がありました。アニマルウェルフェアは「動物は生まれてから死ぬまでその動物本来の行動をとることができ、幸せでなければならない」という考え方で、家畜含めた動物の権利を保証する考え方です。

写真出典:SDGs ACTION

例えば、鶏の場合は狭いケージに閉じ込めるのではく平飼いで鶏が自由に動き回れるようにしたり、牛や豚の場合はコンクリートの建物ではなく土のある場所に放牧したり、なるべく動物にストレスをかけず本来の習性に近い形で育てる飼育方法です。デンマークをはじめヨーロッパ諸国ではEUが2013年よりアニマルウェルフェアを規制しており、食肉を買う際に、アニマルウェルフェアに配慮した育て方をしているか考慮し商品を選ぶ人も多いようです。

デンマークで放牧飼育される豚。豚は本来土を掘り
集団で生活するためより自然に近い飼育方法
(写真出典:めぐみネット)

アニマルウェルフェアの広がりを受けて、スターバックスやユニチャームのような世界的企業も、利用する卵を平飼いへ切替を発表したり、取り組みを始めています。日本では動物の権利より生産効率を重視する考え方が多く定着には遠い現状ですが、動物の育て方や資源の循環を大切にする企業も少しずつですが増えてきています。

放牧した牛のミルクや平飼いの鶏の卵を利用したお菓子を作るユートピアアグリカルチャーさん
(写真出典:ユートピアアグリカルチャー)
土地利用が難しい山岳部を活用し牛を放牧している
(写真出典:AGRI JOURNAL)

今回はデンマークの食に関わるサステナビリティをレポーティングしました。最後までご覧頂きありがとうございます!

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