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Forest Angels

あかりちゃんとひかりちゃん。

かわいいふたごの、森のてんし。

きょうもなかよくおさんぽに。

てくてく。てくてく。


「もしもし、たまごがありますよ。」

にわとりのクックさんが声をかけます。

「ありがとう」あかりちゃんのかごにはたまごがたくさん。

ふたりはなかよくあるきます。

てくてく。てくてく。


「もしもし、ミルクがありますよ。」

牛のムーさんが声をかけます。

「ありがとう」ひかりちゃんのかごにはミルクがたくさん。

ふたりはなかよくあるきます。

てくてく。てくてく。


するとあかりちゃんのおなかがなりました。

ひかりちゃんのおなかもなりました。

グーグー。グーグー。

えーんえーん。えーんえーん。


そこへ森の中からクマのテディさんがやってきました。

「おやおや、おなかがすいてるの?」

ふたりはおおきくうなずきました。

「ボクのどなべでプリンをつくろう」

テディさんはふたりをりょうてにだっこして、

ずんずん、ずんずん。あるきます。


テディさんのおうちについて、たまごとミルクと、

テディさんとっておきのはちみつでプリンをつくります。


あかりちゃんはたまごをじょうずにわって、

ひかりちゃんはミルクをじょうずにそそいで、

はちみつも入れて、ぐるぐるぐるぐる。かきまぜます。

テディさんがじまんのどなべにバターをぬると、

ふたりはよいしょとながしいれました。


たき火にかけて10分。火をけして10分。

あまいかおりが森にひろがって

どなべいっぱいの大きなプリンができました。


かおりにつられて、クックさんもやってきて、ムーさんもやってきました。

あかりちゃんとひかりちゃんは思いました。

「おばあちゃんにもあげたいね」

「おばあちゃんとたべたいね」


ふたりはみんなにおはなししました。

おばあちゃんは森のずーっとおくの

あかいやねの小さなおうちにすんでいて、

いろんなことをすぐにわすれてしまうのだと。


「それじゃあ、これからみんなでとどけに行こう」

テディさんは言いました。


ふたりはテディさんのりょうてにだっこされて、

クックさんはどなべのプリンをやさしくかかえて

ムーさんのせなかにのりました。

みんなで森のおくの小さなおうちをめざします。

ずんずん。どしどし。ずんずん。どしどし。


やがて、ゆうひがみんなほっぺをオレンジ色にてらすころ、

やっとあかいやねのおうちにつきました。


コンコン、コンコン。

ノックしてとびらをあけると、

おばあちゃんはしずかにすわっていました。

「あかりだよ」「ひかりだよ」

はなしかけても、おばあちゃんにはわかりません。

「わすれちゃったの?」

「わすれちゃったの?」

ふたりはかなしくなりました。


「でもね、おばあちゃんはこれまでにあったいやなことも

ぜんぶわすれちゃったから、きっと今はとってもしあわせなんだよ」

テディさんはやさしく言いました。


「プリンたべてね」「ゆっくりたべてね」

ふたりが言うと、おばあちゃんはニッコリわらって

とってもおいしそうにたべました。

そして、みんなもいっしょに

「おいしいね」「おいしいね」

まんまるえがおになりました。

おばあちゃんのほほには、

キラキラひかるなみだが、ひとしずくこぼれました。

みんなの心は、ぽかぽかしました。


おばあちゃんにさようならをした森のてんしたちは、

かがやくおうし座にてらされた夜の森を

てくてく。てくてく。

みんなでなかよくかえりました。



風待 栞

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