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朝が来る



私は泣き虫だけど、というか感情が昂ると全て涙になる。
それでも、あまり映画や本で泣いたことはない。

たまたま見た「朝が来る」
1人きりの部屋で、嗚咽を漏らしながら泣いた。


私の偏った語彙ではうまく表せない。

この映画は2時間以上あるのだけど、終わってしまえば2時間に感じない没入感が私を慰める。
慰められれば慰められるほど私は泣いてしまう。


以下、ネタバレを含む可能性があるのでお気をつけください。









子供の出来ない夫婦(永作博美/井浦新)と、14歳で望まぬ妊娠をしたひかり(蒔田彩珠)。

ベビーバトンという特別養子縁組を取り持つ団体を通じ、ひかりの子供は夫婦の元へ。


夫婦の人生は迎え入れた子供と彩られていく。

ひかりの人生は、恋人を失い、家族とも溝ができ、ひかり自身もやるせなさや孤独感、いろんな思いがあってどんどん、陽の当たらない方へ進んでいく。


タワマンに住んで趣味を楽しむ余力があり経済的にも豊かな夫婦。
新聞配達の仕事をして、おそらく自分で染めたであろう傷みきった髪で、ネイルも剥げ、狭く古い部屋に住むひかり。
その対比があまりにも残酷に見えた。

私は考察とか、そういうのは苦手なのでただの感想。

まず、台詞が本当に言葉をひとつひとつ絞り出して紡いでる感じ。
どう言えば伝わるのか、どう言えば傷付けないのか、どう言えば…と普段の会話のようにひとつひとつが語られる。
だからある種ドキュメンタリーを見ているような、そんな感覚にもなる。


14歳のひかりは、きっとどこにでもいる普通の女の子で、普通に恋をして、普通に親や大人への反抗心があって、普通に自分が思う未来を歩むはずだった。

14歳の少女の妊娠を、親は喜べるわけもなく、恋人とは別れ、ひかりは孤独になる。


大好きな人との間にできた子供が「14歳」「中学生」という理由で受け入れられない、非難されなければいけないのは、もし私が14歳なら納得できないし世界中の全てが敵に見えて仕方がないと思う。
だけど私は元14歳なだけで、今はもう大人。
今の私から見たら14歳はまだ子供で、子供が子供を産むなんて…という気持ちになる。

14歳って、自我だけが肥大して「まだ」14歳「まだ」中学生じゃなくて、「もう」14歳「もう」中学生だと思い込んでいた。

お腹の子を産んで戻れば、高校受験に間に合う。
戻れば、なかったことにできる。
普通の子に戻れる。

そう思う両親の気持ちも痛いほど分かった。

世間体を気にしているだけだ!と思うけど、誰だってまっすぐ道を歩いてできれば苦労せずできれば傷付かず、そう思うだろう。
私だって、子供はいないけどもしいたならそう思う。


ひかりちゃんは、どれだけ見た目が変わっても
言葉遣いが荒々しくなることもなく、しっかり敬語も使えるし、やっぱりちゃんと育った子なんだなぁとも思える。
中学生の頃、好きな人と一緒にいるシーンは陽があたり、どこもかしこもキラキラ眩しくて、本当に幸せだったんだなぁ。

そして最後のシーンで佐都子がひかりを見つけてくれたシーンで、またひかりに陽が当たる。


劇中で何度か歌われるC&Kのアサトヒカリ。
これがもう…苦しいほどに涙が出る。


エンドロールの最後の方、ひかりが産んで、夫婦が育てる朝斗くんが歌って1番最後に
「会いたかったよ」
と言う。

号泣。


蒔田彩珠ちゃん、おかえりモネ(永瀬くんでてた)とか妻、小学生になるとか、可愛い子や〜って思ってたけど本当にお芝居も上手だし、中学生の頃のひかりちゃんの陽の当たる場所で恋をしてる感じがとっても可愛くて良かった。


引きこもって1日中寝てるもんだから腰痛いな〜と思ってたのに、腰痛を忘れるほど泣いた。
今は泣き止んだので普通に腰が痛いです。

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