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#忘れられない恋物語
【小説】ラスタパスタ
初めて入ったレストランで、あれこれ言いながら君とメニューを見る時間が好きだ。
なんだこれ?って怪訝な顔で初めて目にする名前のメニューに挑戦してみるのも良いし、結局いつも頼むようなメニューを頼んでみるのも良いと思える。
知らない名前のパスタを指差して、「今日はこれにしてみる」と君が笑った。
「あ、同じものふたつで」
別のものを頼もうとしてたのにその笑顔につられて、同じものを頼んでしまう。「あ
【小説】明日に生きる
「悪いとこあったら直すから」
章太郎からのLINEは、返す気が失せる言葉のオンパレードだった。
家を出たのは突然ではないし、理由は再三伝えているし、悪いところを直せるのなら、今ではなく1年前から直してくれれば良かったのだ。
少しずつ掛け違ってきたボタンの数が、最後に合わなくなってしまっただけにすぎない。
たとえ数が合わなくなってしまっても、私は傍を離れないだろうと思われているのだな、と気が付
【小説】今日が暮れる
その日は、何の前触れもなくやってきた。
いつもと同じ時間に起きて、いつもと同じように無難に働き、いつもと同じような時間に退社した。コンビニで8個入りの餃子とビールを2本買って、だらだらと帰路についた。
玄関のドアを開けて、微かに違和感を覚える。
部屋に入って電気をつけたところで、しばらくなにが起こったのか分からず、その場で立ち尽くした。
-無い。
友美の物が一つ残らず無くなっている。
こ